表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

空気を読んでみよう

「はっ!」


清澄は目を覚ました。

ん?前にも見たことあるって。

気にしないでください。

清澄は周りを見回す。

ものすごく豪華な部屋に居た。


「牢屋じゃない。縛られてない。自由だ~!」


「うるさい!」


バンッと扉を思いっきり開いて入ってきたのは綺麗な金色以下略の女性だった。。

腰には剣。服装は至って女ものの服とは言えなかった。

ズボンに白いTシャツ。腰にベルト。

男みたいな服装だ。


「ん~・・・・・おぜうさん。お名前は」


清澄は肩膝を着いて手を差し伸べる。

そこにチョップが遠慮なく繰り出される。


「お前はまったく私を覚えていないのだな」


「えっと・・・・どこかでお会いしましたかおぜうさん」


今度は蹴りが繰り出された。

しかも顔面に。

清澄は頬を押さえてうずくまる。

そして、一言。


「ぼ、暴力反対!」


「安心しろ。暴力じゃない。躾だ」


そっちはそっちでひどいですね。

躾ってペットにでもするのでしょうか。


「私はジャンヌ。ジャンヌ・アラークシア」


ジャンヌといってあのジャンヌ・ダルクではないようですね。

でも、美しさは文献でみたジャンヌに劣りはしなかった。

なぜなら美しいからだ。


「一応お前は国王を使徒から守った恩人。国王から死刑が取り消され、丁重にもてなすようになっている」


「へ~そうなんだ~」


「ということで来い」


ジャンヌは清澄の襟を持って引きずる。

これのどこが丁重なんだろうか。

しばらく引きずっていくと、扉の前で止まった。

そこは前回、国王が居た部屋の扉だ。

ジャンヌが扉を開く。

そこには新しく新調された椅子に座った国王がいた。


「おお!そなた気を取り戻したか!」


「う~ん、俺ってそんなに寝てましたか?」


「かれこれ三日間は寝ていたぞ」


そんなに寝ていたんですね。

ちょっとは手加減してやってくださいよジャンヌさん。

そんなジャンヌさんは隣で私は悪くないって顔しています。


「そなたもしや、真白 仁の知り合いの者か?」


「ましろじん?誰だそれ?」


「ゴホンッ。500年前、この国に現れた英雄だ」


「500年前って俺生まれてねぇじゃん。少しは考えろよ」


確かにそうですね。

500年前はまだ清澄の父親も生まれていない。


「そうか。だが、お主はこれを使えた」


国王の手には日本刀があった。

それは、三日前に清澄が使った刀だ。

国王は立ち上がり、清澄に近づく。


「この剣は我が兵たちは誰も使うことができなかった代物じゃ。真白 仁というものが使っていたもの。確か、叢雨むらさめと言っておった」


「へ~そうなんすか」(どこかで聞いた事があるが・・・・どこだっけ?)


「お前はこれを使うことができる。頼む、世界を救ってくれ!」


「だが、断る!」


ゴッ!


清澄は頭をジャンヌに殴られた。

頭には大きなたんこぶができた。

しかも、いつの間にか手には手甲をつけていた。

これは痛い。


「わかりました。とりあえずやるだけやってやめます」


ゴッ!


本日二つ目のたんこぶ。

同じ場所にたんこぶが出来上がって面白い頭になった。


「おお!ありがたい。では、お供としてジャンヌ」


「はっ!って・・・・え?」


「お前が清澄のお供として旅の手助けをしてやるのだ」


「ちょっと待ってください!私は王に仕える身。それを」


「わしの頼みじゃ。やってくれるな」


ジャンヌは言葉を詰まらせた。

いつも国王の言葉は命令だったが、初めて頼まれたごとをされたのだ。

そのことでジャンヌは感動していた。

肩膝を着いて頭を下げるジャンヌ。


「はっ!このジャンヌ、王のために全身全霊をかけさせていただきます!」


「うむ。では、支度を済ませて行くがよい」


「失礼します!」


ジャンヌは清澄の襟を掴んで引きずって王室を出た。

その後、国王は一人つぶやいた。


「ジャンヌの丁重は少しずれておるな・・・・・」


清澄とジャンヌは部屋に戻ると早速支度を始めた。

ジャンヌは服などを詰め込んでいる。

清澄は叢雨を抜いて刃を見た。

案の定ヒビが入っていた。

さすが500年前の刀。

綺麗に手入れされていても何度も使われていたせいでヒビが入ってますね。


「なぁ、これヒビが入ってるんだけど」


清澄がジャンヌに見せようとした。

と、刀が部屋の壁に当たった。そして、


キンッ!


音を立てて折れた。

その刃は清澄の鼻先をスレスレで落ちて床に突き刺さった。

しばらく清澄は考えた。

そして、


「なぁ、これ折れたんだが」


「何が折れたんだ?」


「刀」


その言葉を言った瞬間、ジャンヌはものすごい形相でやってきた。

そして、清澄を問答無用で蹴り飛ばした。

ちなみに足には足具を取り付けていた。

清澄の頬に足がめり込む。

派手に清澄は吹っ飛んで壁に叩きつけられる。


「何してんだ!綺麗に折れてる!どうやったら折れるんだ!」


「元から・・・ヒビが・・・・・」


「先に言え!どうするんだ!」


「別の武器は・・・・」


ジャンヌは急いで倉庫へ向かった。

倉庫にはこれまでに手に入れた武器や防具が入っていた。

入っていたのはいいが、まったく整理されていなかった。

ジャンヌは倉庫の中身を出しながら武器を探していく。


「これならどうだ!」


ジャンヌが出したのは湾曲した剣だ。

だが、


「なんだそれ、使えるわけ無いだろ」


と、一蹴される。さらに、


「これは!」


短い刃がついたもの。ククリと呼ばれる剣だ。それも、


「そんなちっちゃな武器使えるわけ無いだろ」


と、再び一蹴。ジャンヌもやけになったのか倉庫の中身を外にぶちまけた。

そして、仁王立ちで清澄の前に立って言った。


「この中からお前が好きなのを選べ!以上!」


「・・・・・・・・・」


無言の清澄。

ジャンヌはそんな清澄が気になって問う。


「どうした?」


「今日は白か」


「白?・・・・・・・・・~~~~~~~~~~っ!」


気づいたのか、一気に顔を真っ赤に染めて大きく足を振りかぶった。

まるでサッカーボールを思いっきり蹴るように。


「ちょっ!待って!待ってくださいジャンヌさん!」


「問答無用ー!」


「ぎゃぁあああああああー!」


足具をつけた足で思いっきり蹴り飛ばされてしまいました。

清澄は頬を冷やしながら仕方なく武器をあさる。

鞭やら剣やら槍やらあるが、どれも使えそうに無い。

と、手になじむ感じのものを掴んだ。

引っ張りだして見ると日本刀だった。


「これは俺の刀!なんでこんなところに!」


それは、清澄が剣術道場で卒業の証として授かった霊剣だ。

清澄は子供の頃からかなりの剣の使い手であった。

その道場で師範を倒して卒業の証としてもらったものだ。


「ああ、それはお前を捕まえた場所に一緒に落ちてた」


新しく手に入れた物なのになんで下のほうにあったのでしょうか。

ジャンヌは片付けはあまりどころかかなり不得意だったのがわかります。


「これでいいぜ!ひゃっほう!」


テンションあがってますね。

よっぽどうれしかったのでしょう。

ジャンヌも容易ができたようです。

ですが、荷物は手に持ってません。

一体どうしたのでしょうか。


「おい、荷物はどうした?」


「荷物はこの中だ」


ジャンヌの手にはコンパクトでかわいい長方形の箱があった。


「なんだこの箱は?」


「これは物をたくさん収納できる箱、リンクボックスなのさ!」


リンクボックスとは中に入れたいものを選択すると、入れることができる優れもの。

取り出す時は指定すれば簡単に取り出すことができる。

青狸のポケットみたいなものだと思ってもらえればいいです。


「そんな便利なものがあるのか」


「お前の持っていたリンクボックスはこれだ」


「俺、そんなものもってたっけ?」


リンクボックスを清澄に投げ渡す。

試しに清澄はリンクボックスの中身を確認した。

中には上越家のタンスに入れていた服などが入っていた。

家のタンスとリンクしているのだろうか?


「じゃぁ、そろそろ行くぞ」


ジャンヌの格好は上半身は胸当てと手甲。

下半身はスカートと足具だけの軽装備だった。

ちょっと、この間までの装備と差がありすぎないか。


「んじゃ、さっそく旅に!行く前にちょっと寝ますかな」


「お前は空気読め!」


本日三個目のたんこぶを出来上がらせた。

果たしてこんな調子で本当に旅ができるのでしょうか。

不安を抱えながら二人を見守りましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ