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足元には要注意

「おーい、上越ー、野球するぞー」


「おー、今行くー」


上越と呼ばれた青年は野球のバットを持って走っていく。

彼は上越かみごえ 清澄きよすみ

さっぱりとした髪型の黒髪、青い瞳、身長175cm、スリーサイズ以下略、15歳の青年だ。

スポーツ万能成績普通現実主義の普通の青年。

好きな食べ物は林檎。

嫌いな食べ物は酢の物。

極普通の青年である。


「センターバック!」


「オーライオーライ」


今日は友達と野球の試合をしているようです。

清澄はセンターを守っているようです。

ボールはフェンスギリギリのホームランボール。

だが、清澄はフェンスに足をかけて上に跳ぶ。

ボールより高く飛んだ清澄は見事キャッチしました。


「うおっしゃー!ナイスキャッチだ上越!」


「はっはっは!どんなもんだ!」


余裕の笑みを浮かべています。

この後も試合は続いて清澄の打順。

9回裏9-9のランナー満塁2ストライク3ボール2アウト。

絶体絶命の中の大逆転撃。

皆はそれを期待しています。


「上越ー頼んだぞ!カツ丼が俺たちを待っているぞ!」


「おう、満塁逆転ホームランをお見舞いしてやるぜ!野球はやっぱ9回裏2ストライク3ボール3アウトからだぜ!」


「そうだなー。ていうかそれじゃぁ試合終わってんじゃねぇかボケェ!」


チームの皆そろって清澄に公式ボールを投げつける。

公式ボールは硬いから痛いぞ。

だが、清澄はバットで正確にバントを巧みに決めていく。

動きに無駄がありません。

一体どういうことでしょう。


「ふはははは、もう同じ失敗は繰り返さないさ」


「ちくしょー!対策済みか」


「てか、さっさと打てよ!相手待ってんじゃねぇか!謝っとけ」


「すいやせ~ん」


バカにしてますね。

だけど、相手選手ももう馴れましたって顔してますね。

完全に清澄のことを白い目で見ていた。

そして、最後の1球が投げられた。

清澄は大きくバットを振ったと思われた。

だが、


「す、スクイズだと!しかもグリップ!」


清澄は無駄に大きなモーションでスクイズをした。しかもグリップバントで。

他のランナーもわかっていたかのように全員で走塁していた。

虚を突かれた相手選手は対応しきれず失点。

ゲームセット。10-9で清澄たちの勝利。


「やったぞ・・・・俺たちはやったんだー!」


「うぉおおおお!上越ぇぇえええええ!」


チーム皆で集まりあう。

やはりここは決めた選手の胴上げが定番ですね。

皆は清澄を持ち上げてそして高く投げて、


「てめぇ!ホームラン予告しときながら何してんだ!」


「ぐえぇっ!」


落としました。

胴上げからの落下は相当痛い。

それどころか、


「2ストライク2アウトでバントするバカがいるか!失敗したら負けてカツ丼もらえないどころかおごるかもしれなかったんだぞ!」


「いや、某野球ゲームでバントでもホームランできたのがあったからもしかしたらって」


「そんな超人野球できると思ってんのかゴラァ!」


蹴りが何回も清澄に繰り出される。

最後にはよい子も悪い子もやってはいけない技。

ミス○ーフル○イング参照。


『ちょ~ちょ、ちょ~ちょ』


両腕と両足を持って上下に大きく振る。

その反動でお腹と背中が思いっきりのけぞる。


「ぎゃぁああああ!やめっ!やめてくれ!うぷっ」


清澄は吐きそうになった。

それと同時に地面に叩きつけられた。

吐くのを耐える上越に対して仲間同士でハイタッチする友達。

いずれ大物になりそうですね。


「皆でカツ丼だー。明日の昼はカツ丼パーティーだ!」


友達は肩を組んで大喜び。

いつの間にか復活した清澄も肩を組んでいた。

体力はかなりあるんですね。


「さぁ、皆お開きだ!解散!」


清澄はその号令と共にバットとグローブを持って自転車に乗り込む。

川沿いを自転車で走行する上越。


「らららら~らら~ら~」


走行しながら歌っています。

でも、かなり音痴ですね。

周りの人もばれないように笑ってます。

そして、あるアパートに自転車を止めた。

どうやら自宅に着いたようです。

部屋に上がるとすぐに服を脱いで洗濯機に投げ込む。

そのまま風呂へダイブ。


「ぷは~、極楽極楽」


清澄は半分くらいまで減った浴槽につかる。

お湯の温度は39度。

一応、心臓にあまり負担がかからない温度らしい。

一度風呂からでて体と頭を洗って再び風呂にダイブ。

今度はお湯が減っていたからあふれ出てこなかった。


「今日はカレー食って明日はカレイでも食うかな~」


カレーとカレイ・・・・あまりギャグセンスないですね。

清澄は風呂を出て鍋に作ってあるカレーを温めさらに盛っていく。

冷蔵庫の中のサラダを取り、食べる。

その後、皿を洗い、歯を磨いて仏壇の前に座る。

そこには綺麗な長い金髪の女性と黒髪ポニーテールのかっこいい男性の写真が飾ってあった。


「ただいま父さん母さん。今日も無事に帰ってきました」


清澄の父親の母親、兄2人の写真だ。

母親は清澄を産んだときに死んだ。

父親は死因不明だが死んでいる。

自殺なのか殺人なのかいまだわかっていない。

父親は自宅アパートの下で死んでいた。

後頭部を強く打って死んでいた。

兄2人は父親の葬式の後、家に帰っていたら殺されていた。

犯人は捕まった。空き巣の常習犯だった。

空き巣に入って見られたから殺したとのこと。

その時、清澄は知人の家で無き疲れて寝ていた。

生き残ったのは清澄一人だった。

清澄は今は親の保険金で生活費および学費を払っている。


「じゃぁ、今日も寝るね。おやすみ」


清澄は布団に入り眠りについた。

そして、次の朝。


「やっべぇ!遅刻だ!」


清澄が起床したのはAM8:30。

学校まで自転車で30分。

朝のHRは8:45。

あと15分しか残っていなかった。


「行ってきます母さん父さん!」


清澄は急いで玄関をでて長い直進階段をを急いで駆け下りる。

と、その時だった。


「えっ?」


足が滑った。

いや、滑ったのは足じゃない。

階段の滑り止めタイルだ。

何度も使われるうちにセメントから外れていたのだろう。それを誰かがただ乗せていたのだろう。

それを踏んでしまって体が斜めになって飛んで行く。

階段の塀を越えてアパートの外へ。

そのまま落ちて後頭部を強打。


「がっ!」


清澄一気に意識が飛んだ。

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