プロローグ
十異世界。
この世界は十もの巨大な国で構成されている。
昔、500年前にある者が世界のあり方を嘆き、憎み、妬んだ故、世界を滅ぼそうとした。
その男の名は、ヴァーミリオン。
元はただの学者であったヴァーミリオンはこの世界が嫌いであった。
大きすぎる国は全てを管理できず、王宮に離れた場所では争いや殺人が絶えなかった。
ヴァーミリオンはいつものように書庫をあさっていた。
その時に「白の禁書」を見つけてしまった。
「白の禁書」とは神が作り出した裁きの書。
人々はその裁きを「ジャッジメント」と呼んでいる。
禁書には神の裁き「ジャッジメント」を下すための方法が載っていた。
ヴァーミリオンはその方法を実行し、自らを神に変えた。
そして世界に裁きを与え、全ての生命を滅ぼそうとした。
その時、ある者が十位世界へやってきた。
整った顔立ちに高身長。黒髪を後ろで束ねた青年だ。
その者は20代半ばの身にして神となったヴァーミリオンと戦った。
刀を手に、「カミヨミ」の力を駆使し、世界を救った。
その者は自らの体に「白の禁書」を封印し、深い眠りについた。
だが、彼は眠りにつく前に言った。
「ヴァーミリオンは生きています。私の中で生き続け、いずれ復活するでしょう」
その言葉に国王たちは驚愕した。
だが、その後の彼の言葉で国王たちはさらに驚愕する。
「でも、その時にはまた私の変わりになるものがやって来ます。その者は必ずヴァーミリオンを完全に殺せるでしょう」
「そなたが殺せなかったヴァーミリオンをその者が殺せるというのか!?」
「わしらはそなたより強きものは居ないと見ている。それでもか!?」
「ええ。それと私より強い人は居ますよ。それが、どんだけ危険な能力者でも」
「・・・・・わかった。そなたの言葉、わしは信じるぞ。白真 仁よ」
白真は頷くと、ゆっくりと目を閉じ、眠りについた。
そして、500年の時を経て動き出す。
500年前に封印された「白の禁書」が何者かの手によって盗まれたのだ。
封印の地から盗まれた「白の禁書」からは悪意が溢れ出し、それが再び、人を狂わせ、動植物を突然変異させた。
再び「白の禁書」ヴァーミリオンを復活させられようとしている。
国王たちは慌てた。
500年と言う時でそれぞれの国王が変わっていた。
現国王たちは慌てていた。だが、中には落ち着いている国王も居た。
そう、その国王たちは知っていた。500年間伝わっている言い伝えを。
そして、その時がきた。