第6話 少年の正体
ガラッ
ドアの開く音。
入ってきたのは中年のおじさん・・・じゃない 先生。
「あー、みんなそろってるかー?」
答える人は1人もいなくてみんな黙ったまま席に着く。
「誰も座ってない席はないから全員だな・・・」
その後入学式があり終わったら教科書の入った袋を配られ 下校。
「あー疲れた!!」
飛鳥がため息をついて背伸びをする。
正門をくぐると夢乃もため息。
他のみんなを見てもため息をついてたり疲れた顔をしてた。
「・・・まったく 男ばっかでいやになる・・・」
夢乃はまたため息。
「あのさー」
肩を軽く3回たたかれた。
後ろから聞きなれない声。
男の子の声。
遠慮がちで 気弱そうな・・・
振り返るとあの茶髪&青瞳の少年。
「・・・何か用?」
飛鳥がその人を睨みつける。
いつもこう。
私達女子に話しかけてくる男子は全員睨みつける。
「もしかして・・・燐?」
「へ?」
「俺 覚えてない?カノンだよ!!」
カノン・・・?
茶髪に青い目・・・?
カノン・・・
こんな知り合い・・・・・・・・・・・・・・??
「オイ なんなんだよお前?」
今度は新一が強気に言う。
「ちょっと 新一!えーと・・・?」
「幼稚園一緒でさ!小学校にあがる時俺が引っ越しちゃったんだよ!!」
幼稚園・・・
不意に美しい青い瞳から大粒の涙をこぼす少年が浮かんだ。
「カノンちゃん!?」
「ちゃん・・・ね アハハッ」
そうだ!いたよ!!こんな子!!
そうだそうだ!!なんで覚えてなかったんだろう!?
「高校生になると同時に帰ってきたんだよー よかった!また会えて」
「アハハ!そういえば廉次とかとはまだ連絡とってるよ?」
「そっかー今度みんなで集まりたいなー!」
にっこりと微笑むカノン。
幼稚園の頃を一瞬思い出して安心した。