第32話 嫌いになるわけ
本当はわかってた。
カノンに 何されたかくらい 後ろから見たってわかる。
座り込む燐
そのすぐ前に座り込むカノン
燐の声
わかってるけど・・・
なんでかわからない 燐から言ってほしかった。
だけど燐は泣くばっかりで 何度聞いても答えてくれない。
どうしてだよ?
「・・・燐?」
腕をつかんでこちらを向かせると燐はぎゅっと目をつむりそのまま立ち上がった。
「え?」
驚く俺をほっといて燐は逃げ出した。
キーンコーンカーンコーン・・・♪
あぁ またサボらなきゃいけないみたいだ
はーっとため息をついて俺は燐の進行方向へ向かった。
燐のいる場所は 大体見当がついてたんだ。
タンタンタンタン・・・・・・・・
旧館の階段を1段1段ゆっくり上がる。
昨日の場所にいるんだろうし・・・
だんだん近づくと泣き声が聞こえた。
その場所につく頃には泣き声はすぐそばに聞こえた。
やっぱりここか・・・
「・・・燐?」
階段の手すりを持って燐のほうを見ると燐はこちらに今気がついたらしく驚いた顔をする。
「なんで逃げるんだよ」
ため息まじりに言うと燐はしたを向いてしまった。
「おい燐・・・?」
燐のほうへ腕を伸ばすと燐は震えた声を吐き出す。
「や・・・触んないで・・・ッ」
「はぁ?」
触るな?
なんでだよ なんで触っちゃいけねぇんだよ
なんだか腹が立って燐の腕を力強く握る。
そのままその手を階段の壁に押し付けた。
これで逃げられないだろう。
燐はそれでも俺から目をそらしたまま涙を流す。
つかんだ腕のシャツは濡れていて 燐の目も真っ赤だった。
「おい 燐・・・頼むから話してくれよ」
「・・・や・・・だ・・・ッ」
「なんで」
「だって 飛鳥・・・・絶対私のこと嫌いになる」
「はぁ?」
カノンにキスされて 確かにいやだったよ。
俺以外の男が燐に触るなんて そんなの耐えられない
だけど あれはお前からしたわけじゃないし 悪いのは100%カノン。
だったら 嫌いになんて・・・
「絶対 嫌いになるの・・・私・・・だって・・・ッ」
そこで燐の涙の量が増した。
「・・・・・・」
燐の罪悪感の意味がわからなかった。
「・・・燐 こっち向いて」
「や・・・なんで?」
「いいから 怒らないから 絶対嫌いにならないから。」
「・・・・・・・・・」
燐はゆっくりこちらを向いた。
どれだけ泣いたんだろう
やっぱり目は真っ赤で涙は耐えない。
頬にも乾いた涙の跡があって 首筋も少し濡れてる。
腕も 手も濡れていた。
「・・・飛鳥?」
唇は震えてて かすかに赤い内出血の跡があった。
震えた燐の唇に口付ける。
「・・・ッ」
燐の腕に力が入る。
抵抗するつもりだろうけど そんなのたいした力じゃない。
燐の唇に吸い付くと燐の体が小さく跳ねる。
しばらくして唇を離すと燐は真っ赤で そのまままた下を向いてしまった。
「燐?大丈夫か?」
「・・・ごめん・・・なさい」
「へ?」
「わた・・・し・・・ッ 飛鳥・・・ぅ」
「燐 落ち着いて話せよ どうした?」
「カノンに・・・私・・・キス・・・・・・・・された・・・の・・・」
ようやく燐が言った。
「初めて・・・なのに・・・飛鳥じゃなくて・・・カノンに・・・無理矢理・・・ぅ・・・ッ」
「燐・・・」
「だから・・・飛鳥に 嫌わ・・・ると・・・おも・・・ッッ」
「・・・それぐらいで俺が燐のこと嫌いになると思ったんだ?」
そういうと燐は驚いたように顔を上げる。
その燐の頬に手を添えて親指で涙をふき取る。
くすくすと笑ってまた燐に口付ける。
唇を離すと燐は目を大きく見開く。
「初めての相手は・・・そりゃ 俺のがよかったけどさ・・・」
正直 それに関しての怒りは大きい。
「・・・けどさ 初めてが俺じゃなくてもカノンにされたのはあくまで1回だろ?」
「・・・ぅ・・・ん・・・・」
「だったら 俺がこれから先何回でも 何十回でも 何百回でもしてやるよ」
「・・・・・」
「・・・だから そんなに気にするなよ」
「・・・ぅ」
また燐が泣き出す。
「燐?どうした?いやだったか?ごめん!」
「違・・・飛鳥 やさしいから・・・絶対 怒られると・・・ッ」
「・・・だから 俺が燐のこと嫌いになるわけない。悪いのはカノンなんだよ?それなのに燐を責めるわけないだろ?」
両手で燐の頬をつつむと燐はこくんと頷いた。
・・・さて カノン
あの野郎ぶっ潰す!!!!(燐は許せても奴は許せん)




