第19 教室 裏門 裏庭 飛鳥 私
しばらくトイレにこもって 落ち着いてきたら教室に戻った。
「あぁ、春日部さん・・・大丈夫か?」
4時間目 総合 担任の先生が私に気づいて言う。
「・・・大丈夫です」
席に座る。
横ナナメ前が飛鳥。
あぁ 気まずい
後ろから奈央がシャーペンで私の背中をつつく。
『どうかした?』
小さな声でそういう。
「・・・なんで?」
『泣きそうな顔してる』
やっぱり わかるんだ?
「なんでも・・・ない」
不意にこすれた音がする。
見ると白い折りたたまれた紙。
「?」
手紙・・・?
先生の様子を見て机の中に手紙を握ったままの手をつっこむ。
中を見ると飛鳥から。
『カノンだけ1人で帰ってきてたけど なんかあったのか?』
なんで 心配するわけ?
意味わかんない
どうしてこういう事するの?
距離おくって話は?
ねぇ
飛鳥 勝手だよ
私が傷ついてるなんて 全然気づいてないんだよねぇ?
手紙をぐしゃりと握る。
『放課後 一緒に帰ろ』
新しい紙に書いて渡す。
『わかった 裏門にいて』
返事はすぐに来た。
「・・・・・・」
ねぇ 私の思ってること全部話したら飛鳥・・・どんな反応する?
やっぱり 困るよね
放課後 夢乃達に声をかけられる前に裏庭に行く。
しばらくここにいて 夢乃達が諦めて帰るのを待とう。
裏門に行くのは それからで・・・
はーっとため息をつく。
がしっ
「へ!?」
後ろから肩をつかまれて振り向くと飛鳥。
「飛鳥?」
「・・・んだよお前 裏門来いよな」
「え?な なんでここいんの?え?」
「教室 早歩きでお前出るから追いかけたんだよ!なんで裏庭にいんだバカ!」
飛鳥はイラついてるらしく それを吐き出すように怒鳴ってる。
「ご ゴメン」
「で?なんで一緒に帰ろうとか言い出した?」
「!」
いえる かな
飛鳥が目の前にいて ジッと私を見下ろしてる。
見下ろすっていっても ほんの数cmの差だからたいしたことじゃないけど
なんか こわい
全部 見られてるみたいで・・・
「あの・・・ね」
「うん」
あれ 私 何が言いたかったんだっけ?
飛鳥が目の前だと 頭が・・・真っ白になりそう
「不安っていうか・・・寂しいっていうか なんかわかんない・・・の」
「は?何が」
「飛鳥が 距離おこうって言った時 すっごい悲しくて すっごい辛かったの」
「・・・・・・・」
「それで・・・もしも飛鳥に彼女とかできたら?って急に考えたら すごく寂しくて 凄く・・・嫌で・・・ッッ」
恥ずかしい
何言ってんの?私・・・
「ゴッゴメン 私が・・・そんなこと思っていいわけないのに」
だけど
「けど 飛鳥が離れてったらやだって すごい・・・思って・・・」
頭真っ白 何言おうとしてるのか忘れた 今何言ってるのかわからない 口が勝手に動き出す
とまらない
「飛鳥が離れてっちゃうなんて やだ!」
言い終わって 息がきれる。
しばらく沈黙が続いて我にかえる。
「あ えと・・ え・・・私 何言ってんだろね は・・・ははははは・・・・・?」
頭がカーッと熱くなる。
血が駆け足で上へのぼっていくみたい
顔 赤いかも
ぐいっ
「ひゃ!?」
飛鳥が私を抱きしめる。
ドクンッ
胸が大きく揺れた。
ビックリ したから?
それとも・・・
「俺が 離れるわけねぇだろ」
ぎゅっと飛鳥の腕に力が入るのがわかった。
「・・・っ!」
飛鳥の胸も 同じようにドクンと鳴ってた。
「なんていうか・・・・・・・・・・驚くなよ?」
「へ?」
「これから言うこと・・・聞いて 俺の事嫌いになんなよ?」
「え?え? 何?」
飛鳥の顔が私を離す。
見ると 飛鳥の顔は真っ赤。
私の目を見た後 飛鳥は静かに目をつむって 口を開いた。
「・・・お前の事 好き・・・らしい」