第15話 理科室で(飛鳥視点)
さっさと理科室に行って教室に戻ればいいんだ。
何事もなく・・・。
「ホラ燐 理科室ついたぞ」
「あ、うん!」
少し持ってやったのにそれでも燐は重そうにのろのろ歩いてる。
もっと持ってくれって言ってるつもりか?いや、そこまで賢い奴じゃない。
どちらかといえば・・・
ガラッ
理科室のドアを開けて ある事実に気づく。
この教室の中で 俺と燐は2人きりだ。
「・・・・っ」
思わず本を1冊落とす。
「え?飛鳥?」
「あ・・・いや なんでもない」
キョロリと辺りを見回すと大きな棚があって張り紙。
『資料(主に本)入れ』
ご丁寧なことだ。ここに入れればいいらしい。
棚のそばまで行き開けるとすっからかん。
全部持ってきたのかよ!?
ため息をついて本を中へ並べる。
すぐ後ろで飛鳥が本を机の上に置く音がした。
棚は理科室の1番奥。
燐 なんでドアを閉めるんだよバカ!
口に出せば意識してることがバレバレだから言わない。
「・・・燐 先に教室戻ってろよ」
「え?でも 1人じゃ教室の場所わかんないし・・・」
なんだよそれ!!
そういやこいつ方向音痴だった・・・
ため息をついてまた本を片付けにかかる。
もちろん1番上の段から。
1番上の段はきっと燐には届かない。
俺の持って来た分を棚に収めた棚から離れると入れ替わりで燐が来る。
「おい燐 気をつけないと・・・」
遅すぎた。
ドンッ!!!
「・・・燐ッ!」
バサバサバサバサッ!!!
燐は棚に頭を打った。
そしてそのいきおいで上の本を落としてしまった。
「・・・って」
俺の頭や肩から本が落ちる。
自画自賛してもいいだろうか?
さすが俺。
「燐 大丈夫か?」
とっさに燐を抱きしめるかたちになって本から守った。
「う・・・ん 飛鳥大丈夫?」
燐が俺の胸の中で言う。
そう 胸の中。
「・・・・!!!!!」
かあぁっと顔が赤くなるのを感じる。
どんだけ俺は定番を達成していく!?
しかも燐相手に!!
いきおいで座り込んでしまったらしく燐のスカートがめくれている。
いや、もちろん下にはいてるんだが。
変なことを考えそうになって慌てて燐から離れる。
「はっ 早く片付けるぞ!!」
「? うん飛鳥何怒ってるの?」
「ぉ お前のドジさに呆れてんだよ!」
「だって ぶつかっちゃったんだもん!」
わかってるよ!!
クソ 情けない
顔はきっとまだ赤い。
そして みっともないことに体に燐を抱きしめた柔らかい感触が残ってる。
心臓がやかましい。
「・・・・・・ッッ」
何燐相手にドキドキしてんだよ俺!!!!!