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第3話:大量のゴブリンを退治して大金を稼ぐ方法

「明日太郎、あんた混乱の女神って何よ。

 私は愛の女神って言ってんでしょ」


「あー、ちがったな。混沌(カオス)の女神だったわ、すまん」


「ひどい! 無職!」


 ここは冒険者ギルドの食事スペースだ。

 結構うまいし、飯も酒も良心的な値段で、2階はぼろいが安く泊まれる。

 今の俺にとっては生命線だ。


「わたしたちの、でしょ。なにぶつぶつ言ってんのよ」


「なー、女神は何ができるんだよ」


「私、いっぱいスキルあるんだからね。ありがたく見なさいよ」


 ギルドカードを渡され、スキルを見た。

 空間にウィンドウが開き、スキルの一覧と詳細が表示される。


「く……痛いスキル名で内容がわからん。

 使えそうなのはメモっておくか」


「どう? すごいでしょ」


 《迫りくるは背後の死神、血塗られた友情に死の花束を》

 同じマスにいるプレイヤーを強制的に攻撃しなければならない。

 与えたダメージの半分を自分に与える。


 《世界は神の手により無に帰する》

 クエストマップのすべての効果をリセットする。

 2回休みとなる。


 《屍を超えて行け、暁に手を掲げよ》

 1マス進む。

 進んだ1マスの影響は受ける。


(見るの疲れるわー)


「たくさんあるな」


「でしょー! いっぱい考えたの!」


 かわいいじゃねーか……いや、いかん。

 こいつは混沌の女神だ。惑わされるな、俺。


「なー、ルナリス。プレイヤーって敵と味方、どっちのこと?」


「どっちもよ。ダイスを振ることができるのをプレイヤーっていうの」


「同時にスキル発動したらどうなるんだ?」


「最初にダイス振る順番が決まるでしょ。

 その順で発動するわ。

 順番によっては、後のスキルは発動しないから」


「なぁ、私はずっとここにいて、どうしておまえは私に声をかけないんだ」


「ん、どうしたエリス。いたのか」


「んぐ……副団長の任をおろされた」


「そうか。あ、ビールもう1杯ください」


「あさっぱらからビール飲んでんじゃねええええ!」


「ちがうな。ビールを飲んでるのが朝なんだ」


「同じだろうが! おまえのせいでーーーわーん」


「剣も持てない騎士なんていらないって」


「ふーん。あ、から揚げください」


「き、きさま……私は昨日から何も食べていないというのに」


「ちっ、わかったよ。ほら、から揚げ食えよ」


「……しかたない、もらってやろう」


 フォークを持った瞬間、砕け散る。


「ど、ど、どうして」


「なるほど、武器が持てないのか」


「フォークも武器扱いなのね。

 素手でいいじゃない」


 ******


「ところでルナリス」


「なーにー」


「お前、金持ってるか?」


「もうないわよ」


「俺もそろそろ金が尽きる」


「異世界来た時に500Gもたせたでしょ」


「宿代と食事代で消えたわ」


「私もよ。このパフェおいしい!」


 まいったな、と思っているが、働くしかない。いやだけど。

 クエストボードを見た俺は、金稼ぎの案を巡らせた。


「……エリス」


「何よ、無職」


「お前のギルドカード見せろ」


「何でよ」


「おまえ無職なんじゃないか」


「はぁ? 私、白銀騎士団なんですけど」


「見てみろよ」


「はぁー……ひっ」


「やはり、か」


「どうしてよ、どうしてよ!」


「剣も持てない騎士なんていらないって。

 ……そういうことだろ?」


「おまえがあああああああ!」


「なぁ、このスキルなんだ」


 《運命を断ち切るは地獄の鉄鎖》

(うんめいをたちきるはじごくのてっさ)

 ・パッシブスキル

 ・打撃属性で攻撃すると1マス後退させる。


「ふ。私と同じ場所に並び立とうなど、10年早いからな」


「打撃属性?」


「ああ。盾を使って攻撃するんだ」


「お前、盾は?」


「……剣で十分だ」


(こいつ、盾を売ったな)


 《天理を蹂躙する勇者の零式》

(てんりをじゅうりんするゆうしゃのぜろしき)

 ・パッシブスキル

 ・プレイヤーごとに、1度だけ先制攻撃を可能とする。

 ・発動時、次のターンは1回休み。


 ……名前だけ聞くと世界が終わりそうだが、

 実際にやってることは「先制攻撃」だけである。


「スキルたくさんあるな」


「白銀騎士団の副団長だぞ、私は」


「今は無職だろ」


「うわーーーん」


 ******


「エリス、おまえクエスト手伝え」


「は? なんでよ」


「俺のサポートするって約束だろ」


「あんなの、無効よ無効!」


「1000G出してやる」


「やる」


「決まりだな(にやり)」


 受付嬢さん、ゴブリン退治に行ってきます。


「はい、行ってらっしゃい」


「行くぞ、混沌女神と無職騎士」


******


「ちょっとー、クエストで何すんのよ」


「なにって、金稼がないと食事も宿も取れないだろ」


「あんたが私を連れてきたんだから、養いなさいよ」


 ――こいつ、魔王倒す気なんてないな。


「私は何をすればいいのだ」


「このゴブリン退治クエストは、ゴブリンが無限に湧く。

 1000ターン以内でどれだけ倒せるかが勝負だ。

 マップを見ると、棘のマスがあるだろ。ダメージ食らうやつ」


 マップを指さしながら説明する。

 こいつら、いい匂いがするな。

 ……いや、違う。そんなこと言ってる場合じゃない。


「棘のマスは、止まった時と出る時にダメージが入る」


「そうね。よく知ってるわね」


「冒険者ギルドの攻略本が置いてあったからな」


「そんなのあるのか」


「エリス、A級冒険者だろ」


「剣があれば大丈夫だからな」


「もう持てないだろ」


「うわーーーーん」


「まとめると、だ」


「作戦だ。よく読んどけよ。痛くてもな」


 ★★★★★★★★★★★★★★

<クエスト内容>

 ・ゴブリンはゴール近くの特定のマスに湧く

 ・ゴブリンを倒したら次のゴブリンがすぐに湧く

 ・ゴブリン1匹につき10Gの報酬

 ・10匹ごとに100Gのボーナス

 ★★★★★★★★★★★★★★


<作戦・ゴブリン・デス・パンチ>

 エリスはゴブリンが沸くポイントの1マス先で待機する。


 《略:屍を超えて行け》

 ゴブリンの湧くマスに設定。

 強制的に1マス移動して棘ダメージが入る。

 エリスのマスに並ぶ。


 《略:背後の死神》

 エリスと強制戦闘。


 《略:勇者の零式》

 エリスが先制攻撃で殴る。


 《略:地獄の鉄鎖》

 ノックバックして棘ダメージ

 

 敵は死ぬ。

 ★★★★★★★★★★★★★★


「ゴブリンが死ねば、次にまたゴブリンが来る。

 武器の持てないエリスの格闘スキルも上がる」


「これって……なるほど。

 だが、それだけではゴブリンは死なんぞ。

 もう1撃くらい欲しいが。

 それは明日太郎がやるのか」


「いや、俺は武器を持ってないからな」


「……武器なしでクエストに来たのか」


「ふっ、だから俺のスキルを使う。

 《略:虚無に沈め》。

 効果付与で、攻撃力を2倍、防御力を0にする。

 ゴブリンは防御力0になるからな。

 棘ダメージもパンチも結構入るだろ。

 これならいけるんじゃないか」


「いいんじゃない?

 あまりルールを無視するのはだめだけど。

 プレイヤーが不利になるなら、基本的にはOKだから」


「ルナリス、今さらっとおかしなこと言ったな?」


「え、そう?」


「プレイヤーが不利ってなんだよ」


「だって、このマス止まったらクエスト終了とか、

 魔王が死ぬとか、

 そんなのだめでしょ?

 だからダメージを負うけど、次は剣が必ず当たる、

 プレイヤーにもそういうのがないとだめなの」


「女神を降臨させる、ってのはルール違反じゃなかったな」


「そうね」


「プレイヤーが不利になるってことか」


「ひどくない!?」


******


「すごいねー、これ」


「最初のゴブリン退治とマス合わせで

 ……10ターン使ったけど。

 あとはゴブリン倒すと、

 勝手に棘に刺さり、

 殴って、

 棘に刺さる、

 死ぬ」


「明日太郎、格闘スキルも上がるが、腕が疲れてきた」


「昼も食べてないし、パフェ食べたい。

 帰ろーよ」


「そうだな。300ターン、6時間くらいか。

 ルナリス、スキル頼む。

 そろそろ、

 《略:世界は神の手》

 で効果を消して、ゴールしよう」


「はーい」


 ルナリスとエリスは仲良く返事した。


******


 冒険者ギルドに戻った俺は、ギルドカードを受付嬢に渡した。


「おかえりなさい」


 300匹討伐 × 10G = 3000G

 10匹討伐:30回 × 100G = 3000G

 合計:6000G


「は……300匹……?」


「ああ。報酬は一旦、俺に全部くれ」


「明日太郎さん、一体どうやって……」


「ゴブリンが弱かっただけさ」


「あすたろー、パフェー」


「1000Gくれ。返済があるんだ」


 冒険者ギルドのどよめきは、しばらく続いた。

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