魔法使い
いきなりの姉貴の技かけに、オレは止めにかかった。
「ちょっと‼︎何してんだよ⁉︎」
ってさ。
そしたら姉貴は、さも当たり前のように
「施術だよ。猫背から治さないと」
っていい、心愛さんの肩と背中をクイクイした。
「え、心愛さん…痛いっすよね⁉︎遠慮なく言ってください。なんなら突き飛ばしてもいいですから」
って慌てて話しかけると心愛さんは、意外にも自分一人じゃできないストレッチみたいで、気持ちいいってこたえてくれた。
そしてプロレスみたいな施術が終わると心愛さんが、背中がとってもスッキリしたし頭痛が和らいだってスッキリ顔で微笑んだ。
そんな心愛さんをみて姉貴は、また張り切りだして、今度は心愛さんの頭をグリグリとしだしたのだ。
「姉貴‼︎なにしてんだよ⁉︎」
「あ、これはむくみ取りだよ?痛そうに見えるかもだけど、めっちゃ軽くやってるから大丈夫。ね?心愛ちゃん痛くないよね?」
姉貴が心愛さんを覗き込むと心愛さんは、めっちゃいいです‼︎と、喜んでいた。
…
たしかに…姉貴がいつも自分で頭グリグリしてるやつだけど…
でもさ…
それは…心愛さんが遠慮して痛いの我慢してるんじゃないかって心配になったんよね…。
だから、一回オレにもやってみてよって姉貴に言ったら…
まさかの心愛さんがオレに頭のマッサージをしてくれていた。
「痛くないでしょ?」
って。
こ、これは…
当たり前に気持ちいい。
てか、そんなことされてオレはますます好きがマシマシになったのであります。
「てか、心愛さんは今日メイクレッスンにきたんだよ⁉︎いきなりプロレス技まがいなことされて頭グリグリはないでしょうよ…」
と、姉貴をプチ怒りした。
そんなプチ怒りをスルーした姉貴は、基礎が大事なんだよー。ほら、あんたも頭グリグリ自分でやってむくみとりなさいって、逆にプチ怒り返しされてしまった。
…仕方なく頭グリグリを姉貴に言われた通りに下から上にやってみたら、意外と気持ちよくて、なんなら頭も目もスッキリしていたオレがいた。
そんな小技があるなんて…
こりゃすげ〜って感動していると、今度は心愛さんの鼻をグリグリしだす姉貴…
「姉貴…まさか、それもマッサージか…?」
「当たり前」
…
もう、心愛さんがやられ放題だった…
しかしそれもまた優しくマッサージしているから痛くないのだそうだ。
そして本日、初めて知った新事実があります‼︎
なんと…マッサージで鼻の形が変えられるのだそうです‼︎
そんなこと…ある⁉︎って思ったんだけど…なんか心愛さんの小鼻がシュッとしたように思う。
姉貴は、なんだか魔法使いみたいだった。
魔法使いのマッサージが終わると、魔法使いは、心愛さんにホットティをおもてなししていた。
…
まだメイクしてないのに…なぜだろう。
心愛さんがいつもより、さらに美しく見える…
これでメイクしたら…ヤバいね…。
どんだけ美しくなっちゃうんですかね…。
少し怖くなってきました…。
マッサージだけでお顔がシュッとする心愛さん。
心愛さんをどんどん綺麗にしていく魔法使い姉貴は、なにやらミニ魔法の杖を出してきました。
ん?ピンクの…つまようじ⁇かと思えば、先端が二本に枝分かれしてございますね?
これは…どうやって何に使うのか凝視していると、魔法使いは心愛さんのまぶたにその棒をつっ刺しました。
⁉︎
な、なにが始まったんよ⁉︎
「えっ⁉︎姉貴…危ないって…」
「これは、ふたえはばをつけるやつだから大丈夫」
と、なにやらまぶたをプシュプシュしてございます。
「どう?心愛ちゃんのまぶただとココがベストなんだけど、もっと大きくしたいならこうするけど、これだとクセがつきにくいんだよね。どっちが好み?」
と…
姉貴は、ふたえはばまでも自由自在に操っていた。
で、心愛さんはクセがつきやすい方を選んだ。
そんな…ふたえってそうそう簡単にできないだろうよって思っていたのに、なぜかあっという間にふたえになる心愛さん。
一重でもかわいいが、目つきが悪いと睨まれたとか言いがかりを言われることもあるらしく、心愛さんはふたえ希望を魔法使いに申請していた。
すると魔法使いは、魔法のテープをプレゼントしていた。
これまぶたに貼れば楽勝とか言って。
しかもめっちゃ安いから、なお共感。
まさか一瞬でふたえになるなんてびっくりだ。
姉貴のメイクのうでは、本物だと確信した今日この頃なのであります。
続く。