待ち合わせデート⁉︎
メイクレッスンのため、心愛さんをオレは最寄りの駅まで迎えに行くことになっている。
なんかこれって…
これってさ、デートみたいじゃね⁉︎
ワクワクがとまらん‼︎
オレは姿勢をピンとして心愛さんを待った。
あー、緊張してきたわー。
ドキドキしていると、いきなり知らない女性に話しかけられました。
「あのー、この辺で美味しいパスタのお店ってありますかね?」
と。
ちょうど近場にあるので教えて差し上げた。
すると…
教えてくれたお礼に一緒にいきませんか?って言われたんよ…。
オレはきちんとお断りしたよね。
そしたら、ちょうどタイミングよく心愛さんから連絡がきた。
どこにいます?って。
だからオレは辺りをキョロキョロした。
あ、いたいた。
「心愛さん!」
オレは心愛さんを見つけてワンコみたいに駆け寄った。
そしたら、まさかの…
「えと…なぜ?…わたしの名前知っているんですか?」
と、オレの目をまっすぐみておっしゃる心愛さん。
「あ…昨日も名前呼びしましたけど…やっぱりイヤですよね…」
「え、昨日って…待って!この声塩崎くんなの?」
…
まさかオレって気づいてなかった?
たしかにオレは今日メイクをして、なんなら髪の毛もいつもと違うけど…
わからないくらいって…
やっぱり姉貴のウデはすごいのか?と改めて思った。
「オレです…。やっぱり名前呼びなんて生意気ですよね…すみません」
「あ、ううん。そうじゃないよ。全然心愛って呼んでくれて大丈夫。ただ知らない人かと思ったから、ごめんね」
と、優しく謝ってくれた心愛さん。
…別人にみえるとか、やっぱり化粧と髪型って大事なんだと改めて確信した。
てか、もしかして心愛さんは…天然なのかもしれない。
可愛らしい先輩だ。
「あのさ…それで…さっきさ、話してたのはお友達?」
と申し訳なさそうに、道案内した人の方に視線を向ける心愛さん。
だからオレは、ただお店を聞かれただけだよと教えると、安心したかのように笑顔になった。
ドキッ
やっぱり笑顔が可愛すぎる…。
心愛さんの笑顔に魅了されまくるオレなのです。
そんな可愛らしい心愛さんを連れてドキドキしながら家に歩いて向かったわけなんですけど…
めっちゃデートみたいー‼︎って、心が踊りすぎて手繋いじゃおっかな?みたいなノリになったよね。
…オレの脳内で、だけなんですけどね。
まぁさ、そんなことしたらキモがられるだろうし、一瞬で嫌われる確定だからそんなことしませんけど…。
…
そしてデート気分もあっという間に終了して、目的地周辺です。
…
はやっ‼︎
いつもは、家までダリーとか家が向こうから寄ってきてくんねーかなぁなんて思ってたけど、今日ばっかりは家が少しずつあとずさりして、そっと距離おいてくれたらいいのに…なんて都合のいいことを考えるオレなのでした。
そんな都合のいい家ではなかったため、仕方なく家へ入りました。
家に入るといきなりみたこともない、かわいいうさぎのスリッパが用意されていた。
これは姉貴の仕業だろう。
とにかく女の子にメイクをするのが好きな姉貴は、嬉しくてかわいいスリッパを購入したに違いない。
なんなら、これから頻繁にうちに来てほしくて心愛さん専用のスリッパを用意したのかもしれない。
そこに関しては、オレも賛同だ。
そんなナイスな姉の元へ、オレは心愛さんをエスコートしながら二階へあがった。
そして姉貴の部屋に入るなりオレは驚いた。
なぜなら、すでにメイクグッズがずらりと並んでいて、さらには髪の毛用リボンなんかも用意されていて、洋服も何パターンもハンガーにかかっていて、ここはヘアメイクさんの秘密の部屋なんでしょうか?ってなくらいおしゃれで埋め尽くされていた。
「あ、姉貴…まずはありがとう。そしてこちらが心愛さんです」
って紹介させていただいた。
すると姉貴は、にっこり微笑んで
「今日は、来てくれてありがとう。どうぞ座って〜」
と、いつものオレに発するトーンよりも少し高めのトーンで心愛さんを招き入れていた。
そして心愛さんが座るなり姉貴が…
まさかの行動にでたんです…
おいおい…姉貴…
何してんだよー‼︎
ってなくらい驚きました。
たぶん一番驚いたのは心愛さんでしょう。
だって…
心愛さんが座るなりいきなり、姉貴は心愛さんの後ろに回り込み、ちょっとごめんなさいねーって言ったかと思ったら、プロレス技みたいなのをかけてきたんですから…。
…な、なにしてるんよ?
姉貴…
…
続く。