いつまでもあると思うな、お気に入りの店
小学生の時からよく通っていた古本屋
夏のプールの帰り
習い事の帰り
外食のついでに………
他の本屋さんでは見つからないような本も
その古本屋に行けば必ず買えた
ことあるごとにお店に行ってはマンガやら怪獣図鑑やらを買い漁った
二十歳を過ぎた頃にはアダルトな本やDVDも購入した
いつの間にか行く事がほとんど無くなって、
久しぶりに行ってみたら………
古本屋は潰されてコンビニとマンションが立っていた
となり町の駅前にレンタルビデオショップ
学生時代も就職してからも
週末になると立ち寄ってDVDを借りた
アニメも借りた
特撮も借りた
洋画やアダルトな作品も借りた
しかしある時
ショップの掲示板に『閉店のお知らせ』 が出ていた
完全に閉店する前に
店にあるレンタルDVDをセールに出すということで
思い入れのある作品のDVDは購入した
幼稚園の頃から自宅の近所にあるファミリーレストラン
お祝いの日
大晦日の深夜
母さんが疲れて料理をする気力が無い日
そこに行けば馴染みの料理がいつもの味で迎えてくれた
僕の定番はコーンポタージュと目玉焼きorチーズインハンバーグ
僕にとってそれはまさに
『お袋の味』ならぬ『地元の味』だ
しかしある日、そのファミレスが閉店する事になった
閉店当日に家族みんなで行ってみると
ここ2~3年、閑古鳥がカーカー鳴いていたのがウソみたいに大盛況
僕の家族以外にもこのファミレスが大好きな近所の人がいたんだと驚いた
行きつけのお店
お馴染みのお店
お気に入りのお店
子供の頃からそこにあるのが当たり前で
自分がおじいちゃんになって死ぬ時までずっとあると思っていたのに
ある日突然姿を消してしまった
『いつまでもあると思うな、親と金』
なんて言葉があるけれど
それはお気に入りのお店も同じだ
『いつまでもあると思うな、お気に入りのお店』
いつ姿を消してしまうか
いつ2度と行けなくなるか分からない
行こうと思ったらすぐに行こう
「なんであの時行かなかったんだろう……」
という後悔の思い出が残るより
「あの時行って良かったぁ~」
という嬉しい思い出が残った方が一番良いと思うから