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怪談ピアノの掃除当番  作者: 愛原ひかな
Ⅰ 出会い
1/67

お昼休憩

新連載です。

まったり更新していきますのでどうぞよろしくお願いします。


「小鳥ちゃんは知ってる? 奏宮(かなでみや)高校の放課後、誰もいないはずの旧校舎の音楽室から綺麗な音色が聞こえることを…………」


「放課後かぁ。ちょっと、聞いたことないような」


「そうなの?」


 肘を机の上につけて指を軽く咥えている、同じクラスメイトの笹倉夏実が不思議そうな眼差しで見つめていた。


「こういうの好きそう、って顔をいつもしているのに?」


「ううん、そんなことないよ。たしかに私は、学校の怪談とかホラー系は少しばかり好きだよ。だけどそれは、創作物だからということを知った上であって」


「昨日の放課後も、音楽室の前で聞き耳を立てていたでしょ?」


「うっ……それは……」


 否定できない決定的な情報を掴まれていた私は、ほんの少し顔を俯ける。


「いつから見てたの……?」


「うーん、わたしが直接その姿を見たたわけじゃないよ。たまたま近くを通りかかった担任の先生がね、ちょっぴり心配していたみたい」


「それで、夏実さんに情報が行き渡ったと」


「そうみたーい」


「そうみたーい、じゃないよっ。奏宮高校に入学してまだ半月というのに、朝比奈小鳥の変な噂が広まらないか心配になってきました……」


 両手で顔を覆い隠して、深いため息をつく。


「それは大変だね。また面白い噂が見つかったら、教えてあげるね」


「うん、どうも」


「もうすぐ授業始まるから、お花摘みにいくね」


 夏実が席から立ち上がると、そそくさと教室から出て行った。


「予鈴まで、まだまだ時間あるけど」


 昼食を取り終えた生徒が増えてきてる中、弁当箱に残された最後のひとくちウインナーを口の中に放り込んでゆっくりと噛みしめた。


「ごちそうさまです。きょうの放課後、音楽室にまた寄ってみようかな……」


 窓の外に振り向いて、ぼんやりと眺めてみる。


 視界の中に映りこんでいる旧校舎の建物から、ピアノの音色が鳴っているような気がした。



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