転生仔竜はニンゲンの言葉もわかんない
二本足走行の生きもん、実在したんだ。
われが巨大神殿遺跡に住み始めてしばらくたった。
相変わらず、時々お立ち台立たされる、最近は緑がよく光るようだ。
この間、二本足走行の前世でみた生きもんと同じような多分ニンゲンらしき生きもんが二人? なんか背負って持ってきてくれた甘いもんとかしょっぱいもんも美味しかった。
短い髪の黒髪黒目の小柄な女の子と茶色の髪に琥珀の目の男性の匂いはするけど、長い髪をきれいに結い上げた、多分前世で言うところのおネエさんがえっちらおっちら来てくれた。
二人とも忍者? って勢いの黒っぽい絞り染めの作務衣っぽいの着てた。
ほんとにある日、あの険しい山道を踏破して背中に大きな荷物持ってきてくれたようだ。
われは赤兄弟竜に抱かれて翡翠兄弟竜のねずみ攻撃をかわしていたのだが、それまでわれたちを目を細めて見守っていた黒親竜が動いたんで入口を見たら、われより大きいが家族よりちっちゃい生きもんが二人汗だくでいた。
ニンゲン、やっぱりいたんだ〜と感動してると黒親竜がグアとかエラソウに鳴いてニンゲンがひざまずいて頭を下げた。
どういう状況なのであろうか?
身長差ありまくりの究極の上から目線な黒親竜とちょっとおもった。
グアアと黒親竜が再び鳴くとニンゲンが頭を上げ立ち上がって荷物をリュックからだして積み上げた。
なにか言ってるけど……ニンゲンの言葉もわかんない……
われ、ほんとにどうすれば良いんだろう。
そんなことを思ってると荷物が積み終わり再びひざまずいた、黒親竜がわれと兄弟竜の方にキューなんたらと鳴いた。
赤兄弟竜がわれを抱いたままニンゲンのそばまで来た。
うん、前世のニンゲンそっくりだ。
グアと黒親竜が鳴くとニンゲンが頭を上げた。
赤兄弟竜がわれをみせるように前に抱えた。
赤兄弟竜、ちょっと脇が痛いんだが?
ニンゲンたちがじゃかりかなんきゅらとかいってうっとりわれを見てた。
可愛いとかそんな感じか?
赤兄弟竜はすぐに抱き直して奥に引っ込んだ。
翡翠兄弟竜が好奇心旺盛で前に出そうになるのを尻尾で抑えてる、ほんとにいいお兄ちゃん?お姉ちゃん?だよ。
翡翠色兄弟竜もいいお兄ちゃん?お姉ちゃん?なんだけどすぐねずみを食べさせようとするし、それ嫌なの。
その後、黒親竜がまたグアアとか言ってニンゲンたちは立ち上がり名残惜しそうに山道を降りていった。
その後、器用に黒親竜がわれたちに荷物からなんかいい匂いのする、前世で見た四角い和菓子っぽいのをくれた。
月色の何かが詰まった和菓子はすごく美味しかったけど、赤兄弟竜と翡翠兄弟竜が包みごと食べそうになって、黒親竜が慌てて紙の包みをはいであげてた。
われは何故かはがれたものをあーんされた。
われははげるんだが?
その後、度々、ニンゲンコンビが来てくれるようになって果物生活から少し開放された。
普段は生肉とか生魚とかたまに与えられるが、絶対に拒否だ、ついでにねずみもノーサンキューだよ。
まあ、ニンゲンが持ってきてくれた丸魚どーんも怖くてたべられなかったが……。
ニンゲンは残念そうだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
最近、キューヌは植物属性に反応する、まあ良いけど、菜食のせいかもしれない。
水たまりで足踏みしておいたら案の定、いつもの連中がやってきた。
あの黒に水玉模様の格好の生き物はかなり前から竜さんと言いながら我々の周りをウロウロして色々と用をしてくれていた。
ここ何十年は見かけなかったけど。
愛しい妻が長老に可愛い末っ子キューヌの様子を見に来て欲しいと頼みに行った翌日にやってきた、あの生き物は以前より数が少なかった。
多分メスとメスの格好をしてるオスが来た。
珍しいと思う……まあ、僕には関係ないけど。
「遅かったね」
「申しわけございません」
黒い水玉の生き物がひざまずいて頭を下げた。
「まあ、いいよ、そこにおいて」
僕が指示するといそいそと黒い水玉の生き物が床に物品を置いた。
うん、人族の食べ物が入ってる、キューヌもそれなら行けるかな?
少しだけお礼をしようとキュアスにキューヌを連れてこさせる。
「末っ子のキューヌだ」
「可愛いべ〜」
「なんて愛らしいでしょう」
黒い水玉の生き物がキューヌにメロメロがよくわかった。
ふふん、うちの子はみーんな可愛い。
キュアスにキューヌを抱えさせて奥に戻す、キュラがいつも通り魔ネズミをキューヌにやろうと可愛い行動が見えたけど、今はこっちの生き物と対話だ。
「心遣い感謝する、今後はもう少し早く来て欲しい」
「かしこまりました」
「はい」
オスなのにメスと小さいメスがひざまずいて頭を下げた。
黒い水玉の生き物が名残惜しそうに去ったあと子どもたちと月虹菊の菓子を食べようとして子どもたちが紙をむかないのにあわてた。
まあ、そうだよね、食べたことないもんね。
キューヌに紙をむいてあーんしたら美味しそうに食べてホッとしたよ。
その後も度々、黒い水玉の生き物は物品を持ってきてくれた……水たまりでとれたらしい魔鱒の燻製はキューヌは嫌がった。
本当にタンパク質どうやってとらそうかなぁ。
まあ、キューヌは黒い水玉の生き物の到来は喜んでるしお菓子とかチーズとか食べられるし……当分来てくれるとうれしい。
この世界にニンゲンっているんだ。
いつか大人になったらニンゲンの世界も行ってみたい。
でも、この竜型だとびっくりされちゃうよ。
人型って取れないのかな?
それよりなによりわれ、ニンゲンの言葉もわかんないから意思の疎通ができるようにしないとそれどころではない気がするが……ゆ、夢は大きく果てしなく……ということで……ああ、乾いた笑いしか浮かばない。
読んでいただきありがとうございます。