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転生仔竜は会話できない

 おおーすごいキラキラしてる〜。

 そして竜が増えたんだが?


 親竜に連れてこられたのは今までよりもかなり山の中であった。


 空の旅はそんなにかからなかったが、安定感がある親竜の背中のぬくもりを感じてもやっぱり怖かったのでなるべく遠くを見ていた。


 途中で石造りの人の住居らしき建物の屋根とちっちゃい生きもんがはるか下で動いてたからたぶんこの世界の人なんだろうけど、われが朧におぼえてる人と下の生き物が同じ種類なのかはよく分からなかった。


 だんだん、岩だの森だの辺鄙のなっていく下の風景の合間によくわかんない遺跡っぽい崩れかけたものがあった。


 そして山頂近くにある壮麗な崩れかけた親竜も余裕で入れる遺跡にそのまま入っていった。


 列柱立ち並ぶキラキラした素材の礼拝堂らしき部屋に着地した後黒い竜に優しく降ろされた。


 色々な色の石の大きいサイズのお立ち台みたいなものがそこここにあり、床も壊れかけた柱も壁も高級そうにキラキラしている。


 ぼーっと見上げてると柱の向こうの崩れかけた入口からわれの20倍はありそうなだが親竜の3分の2ほどの赤色の竜と親竜の3分の1ほどの翡翠色の竜が現れ、われに近づいてきた。


 思わず後ずさりすると黄色竜がわれを抱き上げ顔を二匹に見せると二匹がキューキュー、ギャウギャウなんかわれに話しかけたようだ……がとんと理解出来ない。


 親竜を見上げてると微笑ましそうに見られてる気がするがぎゅ~ぎゅ~言われても何を言ってるのか……会話が成立せんのだが……


 親竜からわれを手渡されそうになったので抵抗してみた。

 ジタバタ短い手足を動かしてみたが見事に赤竜に渡された。


 うーん無念だ。


 抱きしめられてきゅーぬキュキューギャとか聞こえるがとんとなんだか分からん。


 覗き込む翡翠竜もきゅーなんたらと言ってるがよく分からん。


 撫でくりまわされて高い高いされたんは楽しいがどうも目が回る。


 次にわれより大きなねずみを翡翠竜に口に入れられそうになったので全力で横を向いた。

 翡翠竜がしつこく押し付けるので赤竜が黄親竜にわれを差し出した。


 黄親竜がわれを抱き上げてぎゅ~というと小さめ竜たちがぎゃっぎゃと騒いだ。


 うーんこの小さめ竜たちはもしかしたらわれの兄弟なのだろうか?


 黒親竜がでっかいイノシシみたいなのをどっからか出してガゥゥと優しく鳴いたら赤も翡翠もちょこちょこと黒竜に近づいて甘えながら引き裂いて食べ……流血……われは無理……でも弱肉強食、自然のイトナミ……と思いながらもぎゅ~と黄親竜の胸?に顔を押し付けた……あらあらとでも言うように黄親竜は背中をトントンしてくれ……ネム……


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ちっちゃい末の兄弟姉妹がやっと産まれた。

 かあさま、とうさまが本格的に帰ってくる。

 嬉しくて魔石の床でゴロゴロ転がった。


 すぐ下のはおやつあげるの〜とお家の隙間から出てくるクグレスク(魔ネズミ)を捕まえていた。


 竜はちっちゃい時は女のコか男のコかわかんないしジブンたちもまだ定まってないから妹か弟かわかんないけど兄弟姉妹なのは確かだしいっぱい可愛がろう。


 本当はかあさまととうさまがかかりっきりだったのは寂しかった……でも下のキュラが産まれた時経験済みだし……上でしょって言われるの……ホントはちょっとつらいけど頑張る。


 また、センチメンタルしちゃった。


 可愛いのは可愛い……でもキュラ、そのググレスク、赤ちゃんに食べられるのかな?


 かあさまととうさまが帰って来たようで魔石に魔力が響いた。


 慌てて部屋から出ていくとちっこい透明な鱗の赤ちゃんがとうさまにかあさまから降ろされてた。


 「おかえりなさい〜」

 「赤ちゃん〜赤ちゃんなの〜」

 キュラが突進しそうだったのでさり気なくしっぽで抑えた。


 「ただいま、キュアス、ただいまキュラ、はじめましてのキューヌです」

 かあさまが赤ちゃんを抱えて見せてくれた。


 「可愛いの~可愛いの~」

 「ちっちゃい、可愛い」

 手を出したら赤ちゃんがジタバタした。

 大丈夫下のコは慣れてるからね。


 「イイコだね」

 「キュラもキュラも〜」

 撫で撫でして高い高いをしてると大きい紫色の目が微妙にうつろに見えた。


 あわてて下ろすとキュラがググレスクをつかさずハイどうぞなの〜と赤ちゃんの口元に持って行った。


 赤ちゃんはぷいぷい首をそむけた。


 「やっぱりクグレスクは無理だよ」

 「クグレスクだけじゃなくて肉全般を食べないのよね、キューヌちゃん……困ったわ〜」

 かあさまが赤ちゃんをジブンから受け取ってため息をついた。


 ええ~ググレスク美味しいの〜とキュラが騒いでるけど、ググレスクはともかくお肉を食べられないのは成長的にまずいんじゃないのかな?


 「ご飯だよ」

 グロリアニューラ(巨大魔イノシシ)を収納空間からとうさまが出してくれたのでキュラと一緒に食べに行った。


 脂乗りが良くて美味しい。

 爪で小さくしたりしてたべて美味しいから赤ちゃんにもちっちゃくすれば……と思って横目でみたら寝ちゃったみたいだ。


 肉食べないから体力がないのかな?

 なんとか食べられるといいのに……角とか爪とか骨とか丈夫になれないよ。



 しかしホントに会話が成立しない、通じたら言いたい。

 兄弟よ、われは生肉はノーサンキューだ。

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