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転生子竜は言葉が聞き取れない

 われは仔竜だ……たぶん?

 名前はあるらしいが、親の言葉がよく聞き取れない。


 きゅーだかぴーだかぬーだか呼んでるらしいが、本当に聞き取れない、ごめん。


 ある日、目覚めたらなんか固いもんにぎゅっと詰められてたわれはなにか事件に巻き込まれたかとくらい固いもんの中で思った。


 しかし次の瞬間、詰込まれた空間が揺らされ頭をぶつけパリンと天井の一部から光がこぼれたので思い切って頭をグリグリ出してみた。


 そして外を見ようとして……なんか大きい生きもんが顔の前にいるらしい……がよく見えない、ぼやけている。


 生暖かいから間違いなく生きもんだろう。

 われは一体……もう一度空間にこもろうかと首を引っ込めようとしたところで生きもんに首を掴まれて引っ張り出された……外気の心細さがわれを包み込んだ。


 きゅーきゅーきゅーぴすぴすぴすきゅーきゅーきゅーと声と鼻が止まらなかった。


 生暖かい生きもんが優しく顔を擦り寄せた。

 黄色っぽいなぁと思ったらもうかたっぽからもすりっとされた……黒っぽいのである、二体生きもんがいたのでおどろいた。


 しかも大きいようだ、きゅーとかぴーとかぬーとか言ってるがなんと言ってるのかとんとわからない……そして入っていたのは硬質の……うーんたまごの殻か? とおもってるとなんか温かいもんが身体に……大きい生きもんが舌で……ひぃ〜美味しくない〜食わないでほしい〜


 ジタバタヨタヨタと逃げようとして捕まった、心臓が止まりそうになった。


 ペロペロペロと舐められてなんか口を開けられてドロっとしたもんを口移しされたところでもしかしてわれの親ーと気がついたのである。


 くいもんは吐き戻し系かーい、ミルクヘルプ〜


 後日水を飲みに行く親に抱えられて言った巣の横の水場で自分が地肌のピンクが透けて見える半分透明の白い鱗におおわれたちびっこいトカゲ……いや仔竜……たぶん50センチ程度の生きもんがわれと分かった。


 うむ、なんとなく前の生があった気がするのであるがおぼろげにしか覚えてないようだ、まあ、こことあまり変わらないど田舎にいたようだ。


 そしてわれは仔竜のようだ。


 ちなみに巣は浅めの洞窟で結構断崖絶壁が周りを囲んでおり親らしき黄色の竜と黒い竜が交互に出入りしている。


 吐き戻し食はどちらもなのでどちらが母か父が全く分からないが黄色いほうがちょっと大きいみたいだ。


 でも抱きしめたりなめたりすごく優しい……しかし、相変わらず言葉が分からない。


 ただ、今の問題は……吐き戻し食からだんだん生肉に移行したことだ、無理だ〜焼いてほしい〜。


 拒否したら吐き戻し食のち赤い果物が置かれた、みかん風味のりんご食感でなんとか食べられる。


 次の日もその次の日もまたその次の日も生肉中心の食事に床で手足をバタバタさせて拒否したらギゥウーキュワワー言われたが果物を持ってくるようになった。


 吐き戻し食ももうほぼないのでありがたく謎果物をいただいた……うん、青いのはまんごーさくらんぼ味だ。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 待望の末っ子竜ちゃんが100年かけてやっと卵から出てきたわ〜赤ちゃんらしくて可愛いピンクの肌が透ける半透明の鱗の仔がパカパカキューキューと真っ赤な口を開けたので胃にためておいたサラウリーグの肉をお口にトロトロ入れてあげたら美味しそうに飲み込んだわ、夫はウダリウイサヌをためてたから次はもっと美味しいわよー私も頑張るわとちっちゃな体を抱き上げた。


 卵を温めるための草が適度に生えた洞窟から本来の住処の魔晶石が敷き詰められた大昔のニンゲンの建物に引っ越せるまで直ぐかしらねとキューヌちゃん(赤ちゃん)に頬ずりしたところで夫のギュラオスが帰ってきた。


 夫はオスにしては珍しい安らぎを司る闇竜なので漆黒の鱗に水色の目の私よりやや小ぶりの竜で油断するとよく昼寝してる。


 逆に私はメスに珍しい光竜で普通のメス竜よりかなり大きいサイズなので頼りがいがあるって言われてたけど、サイズで決めつけなかったのが愛しい私の夫ギュラオスなの。


 あら、帰ってきたみたいだわ。


 美味しいエルナスーガが取れたみたいね。


 ただいまービーヌエリアと言ってるけどうちの可愛いキューヌちゃんはびっくりした顔をしてるわね。


 順調に育ってそろそろ離トロ食かしらとお肉にしたグエルエーナを出したらギューヌちゃんちっちゃいお口がギュッとつぐまれた。


 いやいやって後退りして好き嫌いはダメよ。


 いくら食べさせようとしても口を開かないうえちっちゃい手足をジタバタさせるキューヌちゃんにならばエゲル(魔ゲジゲジ)は? ファフワ(魔オオトカゲ)は? とならべて……結局パバラ(魔リンゴ)とかエイシス(サクラ魔ボ)とか果物しか食べない偏食ぶりに頭をギュラオスと抱えたわ。


 大きくなれないわよ〜


 果物しか食べない末っ子をもう少し大きくするために本拠地の山の上の人族が大昔に集めた魔晶石がいっぱいある家に帰ることにしたわ。


 キューヌちゃんをギュラオスの背中に乗せたら本当に軽くてちっちゃくて軽くてちっちゃくて……もう、偏食禁止よ〜。


 産屋は閉じてっと次は子供たちが使うから変な生き物が入り込まないようにね。


 産屋に魔法をかけると入口がいつも通り地下に沈んで小山になったわ。


 ギューヌちゃんびっくりしてるわーお目々がまんまるよ〜


 さあ、行こうとギュラオスがうながしたので一緒に飛び立ったわ。



 突然、黒竜の背に乗せられた。

 われびっくりした〜

 洞くつの入口が黄竜の咆哮で閉じた。


 魔法か? 魔法なのか?


 びっくりしているうちに黒竜は黄竜と空を飛び更にびっくりした。


 一体どこに行くのだろう。

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