なろラジ『開け!創作の扉!』~妄想爆発までのプロローグ~
※第194回・小説家になろうラジオ『開け!創作の扉!』参照
そうだ、わたしには当時、ササタケさんというマネージャーもいた!!
先日、“なろラジ”をきっかけに、封印されていた、きっと触れてはならない黒歴史が掘り起こされた。
いろんな方に笑って頂けたようなので、わたしは今、大変幸せである。
現在は、黒歴史を世に公開してしまったことよりも、喜びが勝っている。
わたししか知らない、誰も口にしたことのないドラマのタイトルを、下野さん、巽さんが口にしている!!!の衝撃が強かった。
わたしは、昔から物語を考えるのが好きで、幼稚園の頃も学芸会でオリジナルストーリーを考案するなど、何やらやっていたようだ。
絵本の世界を旅する猫を、自らの意思でやっているので、つまりこれは当時から猫派だったということでは!?
わたしも、猫耳としっぽをつけていた!!
そんなわたしも小学生になり、『今日の自分にタイトルをつけたなら』なんてことを勝手に始める。
1日の自分の人生をドラマに例え、どんなタイトルの1日だったか、なんてことを考えていた。
そして、それはいつしか、壮大な、事細かな物語へと変化していく――
妄想は飛躍的に爆発を始める。
ここから高校生くらいまでは、暇さえあればこんなことをしていたように思う(笑)。
体育で、マット運動の授業があった。
前転や後転などマット運動を取り入れながら、『おおきなかぶ』の物語をやるという課題が班ごとに出された。
同じ班の男の子が、戦隊もののヒーローの変身を入れたいと、わたしに向かって変身ポーズを見せてきた。
ライダーに憧れ過ぎている彼の提案は、ヒーローに変身したら、おおきなかぶが抜けるという、そんな展開だった。
この記憶は、たぶん捏造ではない(笑)。
その当時、わたしはひっそりと戦隊もののライダーを好きだった。
その好きとは、今でいうところの“推し”に近い感覚だったように思う。
その“推し”なるライダーと同じポーズを、彼はわたしに向けて得意気に見せて来る。
ここから、『ライダー物語』は誕生した!!!
そして、それをきっかけに、わたしは彼のことを好きになってしまう。
それはきっと、初恋だった。
おっと、違う暴露が……。
彼のことは、気になっていた存在ではあったはずで、その彼が当時ライダーと重なったのだろう。
『ライダー物語』とは、ライダーに憧れる彼と『わたし』のラブストーリーであった。
そして、そのドラマを演じるべく、もう一人の『わたし』のサクセスストーリーが始まる。
想像の中の自分は、何にだってなれる。
そこには、この現実世界で机と椅子の狭間で大人しく休み時間を過ごす『わたし』と、まったく別の『わたし』がいて、そのわたしは、“わたしとは正反対”で、とても輝いている“物語の主人公”だ。
シンガーソングライターになりたいわたしは、田舎から上京し、駅前の路上で歌う。
今日で最後と決めた日、一人の男性からスカウトされる。
それが、後にマネージャーになるササタケさんだ。
春をテーマにした『だたた、春よ』という曲でデビューを果たすと、たちまち人気者に。
売れたわたしは『青い涙』という曲がドラマのタイアップとなり、そのドラマの主役に抜擢される。
そのドラマのタイトルは『ライダー物語』、更にドラマの続編は『生きる』。
他にも、2時間ドラマ『ファーストキス』で車いすの女の子を演じるなど……、妄想は多種多様に爆発していく。
しかし、当然全てがとんとん拍子ばかりではない。
娘の夢をめぐり、両親が離婚。
バラエティ番組進出で、年の離れた大好きな芸人さんとコントをし、恋に落ちるが、結局付き合うことはなく終わってしまう。
同じ境遇の人と親しくなり、ディズニー手つなぎデートを週刊誌に報じられ、不倫疑惑が持ち上がる。
報道の影響で、清純派のイメージは崩れ、自ら恋愛しない宣言をする。
24時間マラソン的なもので、生き別れ状態だった母と思わぬ再会が……。
振り返ると、サクセスストーリーがあまりにも強すぎることが判明した。
『わたし』のストーリーは、結婚するところまで続いており、とんでもストーリーは、本当にとんでもストーリーだった。
そして、思い返すと、とても懐かしかった。
当時の妄想は、何一つ文字に起こしていない。
これらは、わたしの脳裏にだけ存在する物語達である。
いつか『書いてください!(そーだそーだ)!』のボタンを押してもらいたい人生だったが、供養されると思いきや、下野さんから『書いてみたらいいと思います!』を頂けたので、もう書く以外の選択肢はないのでは?
わたしは、とても動揺している。
きっと、『ライダー物語』は、封印されたまま死んでいく予定だった。
“推し”のライダーから物語を作ったわたしは、今“推し”に「『ライダー物語』ってどんなストーリーなのか全然分かんないんだもん!」と笑われている。
この妄想爆発は、およそ21年前のこと。
下野さんがデビューした頃、わたしは妄想を始めた。
子供の頃、アニメでその声を知らずに聴いていた本当の『わたし』は、不思議な世界に落ちた気分だ。
これはもう、尊いを超えている。
推しが笑っている。
とんでもストーリーよ、変身する時が来た!!!