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アビリティレベル上げるには

 午後、ノアとシャモアを除く四人で森に出かけた。


「どうする?」


 いつも行動の指針を示してくれるノアがいないため、自分達でやる事を決めなくてはいけない。


「うーん。素材集めとか?」

「そうねぇ。私は木材、アオはスパイス、モスは植物。ブランは……」

「ここ鉱物ないからなー。特にやる事もないし、何でも付き合うぞ」


 四人ともバラバラだ。


「アオ殿の特訓はどうでござる?」

「うーん。正直ここのモンスターって、解体も出来ないし、旨味が少ないんだよね」

「面目ないでござる」


 ゲコゲター代表でモスが詫びた。

 いや、それを言ったら暴れウサギなんて、魔石すら落とさなかったからね。ドロップの毛は、全部モスにあげた。きっとその内、素敵な布装備になって返ってくると思う。


 アリシュタが終わって、採取をしたらすぐに次のフィールドに移動する予定だったから、正直あんまりやる事がない。


 私はこの間から浮かんでいたアイデアを提案した。


「じゃあさ。状態異常耐性系のレベルを上げない?」


 私以外の三人は、みんなアビリティ持ちだ。


「そりゃ上げたいけど、どうやって? ゲコゲターと連戦するとか?」

「ううん。そんなの効率悪いよ。いつ異常攻撃してくれるか分からないよ。それよりもお互いにかけ合えばいいじゃん」


 モスもリディスも状態異常にかかるのは得意だと言っていたし。


「それが出来りゃ、苦労しないぞー」

「無理よ。一度バトルに入ったら、どちらかが全滅するまで終われないのよ」

「終われるよ」


 私は自分を指さした。


「あ! そうか。アオがいるから、もう好きな時に終われるんだ」

「おー革命的!」

「アオ殿、天才でござる!」


 えへへ。もっと言って。


「問題は、モスのゲコデッポウはノーダメージだけと、私は毒矢を使った通常攻撃だから、みんなにダメージが通ってしまうってことね」

「うん。だからリディス、脱いで」

「は?」

「裸になって」


 装備によるブーストを全部取り払って、弓も一番弱い木の弓にすれば、何とか耐えれると思う。反対に私たちは物理防御に特化した装備にしておく。


「大丈夫、見た目だけ今のままに出来るから」

「見えないからノーパンでも平気って言うような痴女と同じにしないでよね! 脱ぐくらいなら普通に毒玉なげるわよ!」


 あ、確かにそれでも問題ないのか。


「耐性のブラン殿は異常にかかったらすぐ回復して、また異常にかける。逆に異常時間短縮の小生とリディス姐さんは異常になったら自然回復を待つ、を繰り返す感じでござろうか」

「アオだけ、やる事ないなー」


 三人が申し訳なさそうに、こちらを見た。


「私は、烏兎匆々(うとそうそう)を使ってみるよ」


 周囲の時間を早めるという、訳の分からないスキル。

 敵にヘイストをかけるなんてマイナス要素しかないスキル、怖くて普通のバトルには使ってこなかったけど、仲間相手なら練習に丁度いい。


「じゃあポーション、毒玉、痺れ玉、カエルの涙、解毒薬、血清。大量にアイテムがいるわね」


 今夜クラフトするとして、今日の午後は普通に採取にあてることになった。


 四人で採取場所をぐるぐる回り、早めに拠点に戻った。



ーーーーーーーーーー



 夕食の準備も終わり、みんなでクラフトをしていると、遅い時間にノアとシャモアが帰ってきた。


 シャモアの目が死んでる。


「ノア、鬼。リディスにチェンジ」


 相当ノアの扱きが辛かったようだ。

 考えてみれば、ずっと私とノアがセットだったから、シャモアとノアが二人になる機会がなかった。


 私はずっとノアに鍛えて貰っていたから、あれが普通と思っていたけど、シャモアには酷だったみたい。


 頑張れシャモア。

 たぶんノアは、まだ本領発揮してないぞ。


「遅かったね。ご飯できてるよ。もう食べる? 少し休む?」

「ああ。貰おう。みんなはもう食べたのか?」

「ううん。待ってたよ」


 新婚さんみたいな会話をしながら、私はクラフトの手を止めて食事の用意をした。

 みんなキリの良いところで引き上げて、円になって焚き火を囲む。


「新武器は何にするか決まったの?」

「ああ。鋼鎖(こうさ)が良いみたいだ」

「鋼鎖?」

「鎖鎌とかモーニングスターとか、鋼糸(こうし)とかだな。少し離れた場所からの紐状の武器だ」


 なんか、暗器っぽいな。似合ってる気がする。


「手元に引き戻せる投げナイフみたいな感じ?」

「まあ……そんな認識でいいんじゃないか。慣れれば拘束したり糸で切断したり移動したりと戦闘に幅が広がる」


 なんか難しそう。すごく頭を使いそう。


「INT高い。問題ない」


 え? INTってそう言う意味だっけ?

 シャモアは頭脳派キャラの道を進むつもりなの?

 えー……。


「今まで鋼鎖を選んだ仲間はいなかったわね。シャモア、パイオニアじやない」

「パイオニア」


 シャモアがドヤ顔だ。

 大丈夫かな。上手く乗せられてないかな。

 鋼鎖って、多分相当頭を使うか、近接ばりに動き回らなきゃ真価を発揮しない武器だと思うけど。


 そう思って、ちらりとノアを見る。目があうとノアは、疲れた顔で人差し指を口元に当てた。黙っとけ、のポーズだ。


 あー。鋼鎖に落ち着くまでに相当苦労したみたい。

 最後はおだててヤル気にさせたんだ。

次は月曜日に更新します

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