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第三話 闇の強襲

突如として窮地に立たされる悠太…彼の命運はいかに?

宙に浮かぶ悠太は苦悶の表情を浮かべている。



「悠太ぁぁぁッ!!」


マサキは立ち止まる那由多を尻目に、急いで悠太の元へ駆け寄った。



「!」


近づいてマサキは気づいた。

悠太は宙に浮いている…というよりも…

"何者か"によって首を掴まれ、持ち上げられているといったほうが正しいだろう。



その"何者か"とは、まさに特定困難な…何者か…としか形容できない存在。


簡単に言い表すとすれば、それは"影"。


そう、人の形をした黒い霧のような…影。



「な、なんなんだ…こいつッ…!」



マサキは震えていた。

目前では不可思議な現象と、死の淵に立つ親友…。


混乱する。

悪夢なのかと思うほどに。



「う…うぅ…あああぁぁッ!!」



マサキは無我夢中で、謎の影に体当たりをした。


ドガッ!!


マサキと共に影は倒れこんだ。

同時に悠太も地面に倒れこむ。



「はぁ…はぁッ…!」


当たった…。



「悠太…!」


駆け寄ると、悠太の首筋には何者かの手のような跡がくっきりと残っていた。

黒く不気味な痣だ…。


「ガハッ…はぁ…はぁ………サキ…」



瀕死には違いないだろうが、無事のようだ。



「!」



背後に気配を感じた…と思うやいなや右肩に激痛が走る。



「ぐああッ…!!」


マサキの右肩を黒い針のような細長いものが貫いている。

それは"影"から伸びたものであった。


『…何故…我の存在に干渉できる?』



「な、なんだ…こいつ…しゃべった…?」



『我の言葉を理解するか。こいつは面白い』



そういうと影はマサキの右肩を貫いている針のようなものを縮めて抜いた。


「う…」


『お前は…"地球人"のようだな。純粋なる地球人か…』


「ち、地球人って…何言ってるんだ……こいつ」


影に目や口など見えないが…人の形をしているソレは、頭の向きを変えた。

白羽那由多を見ているように感じた。



『お前も…"地球人"のようだな』


お前も地球人…?何を言っているんだ…。


「…。レヴ・ストラゥク……この地の者か…?」



『!……なるほど…お前"管理者"…もしくは"メスト"の者か?』



「"管理者"でもなければ"メスト"でもない。私はメストを止めにきた…そして、彼を守るためにきた」


しゃがみこむマサキを見下ろしながら彼女は言った。


…白羽…那由多……君は一体…。



『ほう……外からわざわざやってきたというわけだ。

 確かに…地球人に対抗できるのは地球人というわけか…クク』


「私の質問に答えるんだ…。お前はこの地の者か?」



一体何なんだ…この化け物と彼女…関係があるのか?

マサキは悠太を引きずり、腰を抜かしている凛の元へ静かに寄り添った。



(悠太…大丈夫か…?)

(ああ……。なん……とかな…。り、凛は…無…事?)


(凛は大丈夫…気を失ってるみたいだけど…怪我もしてなさそうだ)

(そ…っか……悪い…少し………休む…)



そういうと悠太は気を失った。


影と那由多は距離を保ちつつ対峙したままだ。




『そうだ…。我は長くこの土地に存在していた…誰に知られる事もなくな』


「なぜ…人間を襲った…。お前たちは管理者のもと監視されているはずだ…

 下手なことをすればどうなるか…わからないわけではないだろう」



メスト…管理者…

一体なんの話をしているんだ…?



『黙れ…!奴らが…メストがこの地に戻ってくる…それ、すなわち…死を意味する』

「メストの名を知るところをみれば…2ヶ月前のメッセージ……知ったというわけか…」


『あぁ…奴らの宣戦布告…この星に住む異星人全てが知ったさ…。そして悟った。

 死を…確実な死をな』


「死を悟った末の暴挙か…愚かな…」



『教えてやる…あのメッセージを受け…我々がどういう行動に出るかをだ。

 1つ…死を受け入れ…その時を待つ…。

 2つ…死から逃れるため…この星から離れる…。

 そして3つ…我を含め、この選択肢を選ぶ者は多いぞ…』


「人間を襲う…か」



『その通り』

「馬鹿げている!一体それに何の意味がある!」



彼女は珍しく語気を荒げ、感情をむき出しにした。



『生き残るためだ…こいつらから得られるエネルギーを奪い続ければ…奴らにむざむざ殺されずにすむ』

「奴らが来る前に管理者に抹殺されるのが解らないの?」



『くく…めでたいな』

「なに…?……まさか…!」



『噂だがな…逃げたそうだぞ?くく…』

「そこまでして…命がおしいか……この星に住むものはどうでもいいということなのか…」



『一度はメストを裏切り、"こいつら"に媚を売り……危うくなれば、再び裏切る…』


こいつら…影は倒れている悠太を指さしてそう言った。




「…一体…なんなんだよ……白羽さん…俺にはわからない事だらけだ…。

 なんで悠太はこんな目にあわなきゃならなかったんだ?そいつは一体なんなんだ?

 君は一体…メスト?管理者?………一体何を言ってるんだよ…」


「蒼葉マサキ…今は説明出来かねる……。

 君に話さなければならない事は沢山あるし、話すつもりで君を誘った」



『地球人よ…お前は管理者でもなければメストでもない…ならば、我のする事に手を出す理由もあるまい』


影は悠太に向けていた指を那由多に向けた。




「…そうだな」


『お前達、地球人にとっては"ゼクト・フェフ・シャグナ"は宿敵のようなもの…別にどうしようが構わない

 我は食う…そして生き延びて見せる』



そう言うと影は再び悠太にその手を伸ばした!


「な!」


なんと今度は悠太だけでなく、凛をも同時に締め上げている。

首を鷲づかみにされるというよりも、巻きつくといった感じか…。

そのまま徐々に二人の体は宙へといざなわれる。



「や、やめろおぉぉ!!」

『黙れ…地球人の出来損ないめ!』


右肩を抑えながら影に立ち向かおうとするマサキに対し、影は

人でいう腹部にあたる部分から、先ほど同様に針のようなものを伸ばしてきた。


マサキにそれをかわせるはずもなく、そのまま腹部を貫いた。



「がはっ…ッ」



「!…マサキ…く…」



那由多は表情を変えるも、助けようとはしなかった。



『…ふん…脆弱也…。やはり純粋種の地球人とはいえ、力が覚醒していぬ者はこの程度だ。

 ゼクト・フェフ・シャグナと身体能力においてさほどの差はないな。…死ね』



影は腹部からだけでなく全身から針を一斉に発した!


マサキはその時…死を覚悟した。




―――

――


「…え?」


痛みがない…そのはずである。



「那由多…さん」



彼女が間に入って攻撃を受け止めていた。



「…」



ドサッ

那由多はその場に倒れこんだ。




『愚かなり。割って入らずとも、後で殺してやったものを』




「そんな…なんで……」


彼女はゆっくり目を開けた。


「…ごめんなさい……あなたを巻き込んで…」



血が…流れてる…。

白い学生服が血に染まっていく…。



「もう…もうしゃべらないで…」


「…私の…ことより…二人を…」



はっ…!

そうだった…!


影に締め上げられてる二人の生死はわからなかった。

とにかく早く助けなきゃ…!


「!」


ドサッ!


一瞬目がかすんだかと思うと、その場に倒れこんでしまった。


そうだった…俺…右肩と…腹…貫かれてたんだっけ……。



やばい…意識が…。


俺は、誰も救えないんだ……。


このまま…


死ぬ…のか?



なんだろ…なんか…眠くなってきた。



「…生きて……」



彼女が俺の手を握った…。



何故だろう…本当によくわからないけど。



その時…



力が…



力が戻ったんだ。



「その手を…離せやぁぁぁあッ!!」


『!!』



マサキの体当たりで影は吹き飛んだ。



同時に二人は地面に落下した。



「はぁ…はぁ…ッ…」



マサキは二人の呼吸を確かめた。



「…そんな……」


『くく…遅かったようだな…』




二人の呼吸は…



止まっていた。





第三話 完

最後まで読んでいただきましてありがとうございました!

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