スバラ洞窟の『神珠』
カンッカンッと剣と斧が交わる音がする。大きな盾でリザールの矢をはじきながらスネクリスは攻撃している。
「剣技''十字剣撃''!!ハハッそんなもんかい?弱いね~」
カルニアは魔力を練り始めた。紅い光がカルニアの手の上にできていく。
「くっ…!魔法''火''!!」
小さな炎がスネクリスに向かって飛んでいく。しかし、炎はスネクリスをかすめて地面に落ち光って消える。
「魔法''攻撃上昇''!!剣技''十字剣撃''!!」
カルニアは懸命に攻撃するが、全て後少しの所でかわされる。圧倒的な強さがカルニア達を追い詰める。
「くっ…!」
「魔法''回復''…」
唱えたのはナナシだった。ナナシは目を閉じて唱えている。両手が柔らかい光に包まれていた。
「なんだい?コイツ!?魔法が使えるなんて聞いてないよ!?」
どうやら敵はこちらの情報を知っているようだったが、ナナシの魔法に関してはカルニアとリザールも知らなかった。少しずつ二人の体の傷が癒えていく。
「魔法''光''!」
スネクリスの周囲に光が発生し、取り囲んだ。
「くっ…!ま、眩しい!」
「カルニアさん、今のうちに『神珠』を!」
ナナシはさっきまでとは違う眼差しでおどおどしていたのが嘘のように強く言った。
「あ、あぁ!!」
カルニアは石碑に向かって走った。そこには黄金色のきれいな玉があった。直径10cmくらいだろうか。
「取ったぞ!逃げよう!」
三人は元来た道を走った。
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三人は無事、という訳でもないが何とか帰ってこれた。
「魔法''大回復''いや、すまなかったな。しかし助かった。一つでも回収してくれてな」
「しかし師匠、この家が破壊されたらどうするのですか?」
カルニアは素朴な疑問を投げかけた。
「問題ない。この家には魔法障壁を常時張っている。只の女戦士の攻撃などどうってことはない」
リザールはまたもバステが恐ろしくなったがそれと同時に頼もしくなった。