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⑥?の生態(前)

「飲みすぎた……」

頭に響くような頭痛と胃の不快感に耐えながらベッドから這い出し、大量にストックしてある瓶詰めのトマトジュースを飲み干す。

二日酔いの身体に水分が補給され、トマトの甘味と酸味で少し頭もスッキリして記憶も戻ってきた。


昨夜は《白い一角獣亭》でカーラの救出の礼としての大宴会。回復したカーラも参加して、飲めや歌えやの大騒ぎ。ハメを外し過ぎたな……。

ぼんやり残る記憶では、遠征から戻ってきてばかりというエド(何も協力してないのに何で普通に参加してんだ?)とサナとでビール飲み競争になって……。

早々に(意図的に)脱落した俺を尻目に二人は店のビールを飲み干す勢いで飲み続けて、何とサナが勝ってしまった。

そこまでは良いが、酩酊したサナは呂律の回らなくなった言葉で執拗に俺にみ始め、酒を強要し始めた……。

「一人だへ酔っへないのズリュい〜、もっと飲みまひょうりょ〜」

メガネが斜めになり、唇にビールの泡のヒゲをつけた間抜けな姿。そんなでも美人だと許せてしまう……悲しい性だ……。俺はサナに煽られるまま飲んで飲みまくった。

その後の記憶はない。

ただ、何かやらかしているような気もする。いや、気がするではなく、それは確信に近い。

何故なら、俺は気付いてしまったのだ。

鏡に映る俺の首筋のキスマーク。そして、ベッドサイドに残されたサナのメガネに。


その時、コンコンと扉がノックされる音。

「あの……サナです。シンヤさん……い、いますか?」

サナの声だ。それも、妙に緊張しているようだ。

電撃が走るような衝撃。

こんな時に本人登場なんて、どう対応して良いのか分からない。

「ど……どうしたのかな〜?こんな爽やかな朝に?」

引きつった声で、間抜けな返答をしてしまう。

「あ、あの……メガネを忘れたみたいで。」

俺は何度も深呼吸してから、ゆっくりと扉を開ける。そこには、顔を耳まで真っ赤に染めたサナが俯いて立っていた。

「あ、ああっ!はい、これ……メガネね、メガネ」

「あ、ありがとうございます。……それと……き、昨日の事は忘れてください!」

サナはメガネを受け取ると、結局一度も顔を上げずに走り去ってしまった。


これは確定だな……やっちまった……

俺は空を仰ぎながら、溜息をついた

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