第七話 「伝心、そして反逆開始!」
ジーンはマジックアイテムによって脳内に外部からの記憶が入ってくるのを感じた。そして、その記憶を垣間見る。
ーーーー先ほど自分と話してくれた男の名はウィル・クェーサー。ソウルポリス一般居住区で生まれた彼、ウィルの記憶を覗いてたジーンは思った。
「つまんない。」
そう、彼の過去をいくら覗いても、彼の人生はとてつもなく平凡で何も目を見張るような出来事はなかった。父親はおそらく治安維持兵として働いているのだろうが、家での父親はほぼ無口で何も語らず、同じような日々が連続的に続いていた。ジーンにとっては自分よりも安定的で平和な暮らしをしているウィルであったが、特別羨ましいような生活をしていなかった。少しジーンは内心がっかりした。あんなに自分の心を掻き乱した存在が、こんなにもつまらない生活をしていた人物だったということに。
ただ唯一ジーンが気になったことは、ウィルが自宅で密かに制作していた作品なるものだった。確かにそれはジーンが作り出した贋作などではなく、自分が表現したいものを自由に創作してできたものだった。この点においては尊敬すべきところかもしれない。
そしてマジックアイテムにより接続した両者の<接続>はすぐに切れた。
「ジーン 君のことは断片的だが、理解した。協力して欲しい。どうだったね 俺の正体は?」
皮肉交じりの声でウィルが聞いてきた。
「意外。ウィルって本当につまらない人間なんだね」
「意外か。 そうだな 俺はつまらない人間だった。今まではね、ただジーン。君の圧倒的な存在に出会ったことで俺の固定観念が崩れたんだ。これは今まで俺の人生がとてつもなくつまらなかった反動によるものだと思う。」
「なるほど、退屈から生まれる創造 か。」
「それで どうだね? 俺らと来るか?」
「是非、 行く。 行きたい。 そして最高の本物の作者になりたい!!!!!!!」
「よし、決定だな!」
ウィルが若干安堵の表情を浮かべながら返答すると、隣にいた男が話し初めた。ウィルの記憶から察すると、おそらくロルトだ
「やあジーン 俺はウィルの協力者であるロルト・K・ノーゼだ。 ロルトと呼んでくれて構わない。二人に聞きたいだが、これからどうするんだ? おそらくそろそろジーンを殺すために第二陣が向かって来る頃だぞ?」
「そうだな。 ジーン最初の頼みがあるんだが、大丈夫か?」
「いいよ、私たち仲間になったんでしょ? 頼む必要なんかないよ」
「あーそうだな。 ロルト、ジーン! 反逆開始だ!!!」