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BEHIND OPS:04

『モヴィルス・シカイ・ショックがホンブル市の闘技大会に現れたのか...』


 円柱形の通信系マジックアイテムからデヴォルカス連邦共和国の『四大国長』の一人であるコインリストの単調な声が響渡たる。その声はとても安定しているのだが、どこかいつものコインリストの冷え切った雰囲気はなく、ベイジョンは内心少し驚いていた。


 モヴィルス・シカイ・ショック。奴は昔、ベイジョンの顔半分を吹き飛ばし、今の不気味な骸骨頭の顔にした張本人であるため、ベイジョン自身も黒服姿の部下からホンブル市の闘技大会とやらの催しであの忌まわしきジジイが出現したことには動揺を骸骨の頭でも隠し切れなかったのだが、自身の上司でもあるあの冷血極まりないコインリストでさえ心を少しでも動かされるのかと思うとベイジョンはなんだか発散しようのない怒りが自分の内側から湧き始めていたことに気づいた。


「今になって出現した理由は調査中ですが、ホンブル市に積極的に関わるのは避けるべきかと具申致します」


『まあ軍の指揮権は全て君に委ねているから特に反論はしないが....それはモヴィルスに限ったことではないだろうに....相変わらず弟想いの兄貴であるな』


「いやはや私情は含ませてはいませんよ.... それよりもここでコインリスト国長にご提案があるのですが、よろしいでしょうか?」


『良い』


「はっ! ここ最近過激なレジスタンス活動は治まりつつあります。これは結果だけを見れば比較的良い兆候でしょう。しかし、いまだに主犯格のメンバーの居場所は不明。さらにモヴィルスなどの厄介者達が水面下で動き出し始めている可能性が高い。また、過去四年おきの調査からデヴォルカス内の人口増加率が年々上昇傾向にございます。そろそろ間引きの時期かと」


『なるほど。ではソルジャーゲームでも開催するのか?確かまだ期間は残っていたはずだが...』


「時期を早める特別開催も既に計画進行中でございます。しかし、ソルジャーゲームだけでは効果は薄い。デヴォルカスが建国されてから自国での反乱の芽は潰してきていましたが、とうとう潰しきれなくなっている。さらに、アムソトラル王国の件もあります」


『では何をするのだ?』


「『MAGIC CODE』を解放し、国民。いや世界中の人間を二分化させます」


『なっ!?....何を言っている!?』


 先ほどのモヴィルス・シカイ・ショックの話の時よりもコインリストが驚いているのがマジックアイテム越しでもベイジョンは手に取るように分かった。


「そろそろ時期ですよ。レジスタンスを抹消することだけに集中するのではなく、我らが神の決め事に背く者達を一斉にこの際、排除しようではありませんか!」


『そうなれば世界大戦は避けられぬぞ....』


「人間種が団結するには今や飽和許容量を超えてしまっている。このままで自滅し、亜人やドラゴンに殺されるのがオチです。今のデヴォルカス政府の取り締まりの本来の意味を知り、賛同するものには慈悲を反対する者には死を与えましょう」


『.... 他の国長は?』


「全員賛同して頂けました。あとはコインリスト国長のみです」


『会議ではなく何故個人個人に尋ねる?何か裏があるとしか思えんな...』


「私を疑うのですか?構いませんが白ですよ 個人個人に尋ねたのは個として人間としての意見を聞きたかったためです」


『....『MAGIC CODE』を解放して世界対戦が勃発したら我々はどうする?』


 ベイジョンは来ると分かりながらも呆れていた。国の長たる者が自身の心配を最優先しているからだ。まあむしろ人間らしいのかもしれないが。


「他の国長も同じ質問をしてきましたよ... 間引きの間はアダムアイランドで優雅にお寛ぎになれば良いでしょう。その間に終わらせますよ」


『よろしい... 『MAGIC CODE』解放を許可する。ただ、今すぐにではない。時間をかけ、入念な準備をしてからだ』


「畏まりました。では『間引き計画』を進行させます」



 そして通信系マジックアイテムの起動音が切れた。



 一人元帥室で立っていたベイジョンは己の拳に力が入っていたのに気づいた。通信中我を忘れてしまっていたようだ。これは良くないなと自分を律し、ベイジョンは元帥室のソファに張り詰めていた緊張が解けた所為か雪崩れるように深く腰をかけた。



「マスター。間もなくです。魔王誕生の下準備にやっと取り掛かれます」




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