BEHIND OPS:03
『コインリスト秘密軍基地』の元帥室で<クリーンブラック>から報告のあったレジスタンスメンバーについて書かれた資料を純白の手袋をはめた骸骨がめくっていた。
元帥室の重厚なドアが外からノックされるとベイジョンは外にいる者に対して「入れ」とだけ伝える。すぐさまドアが開かれ、一人の男が入ってきた。
「ジャック・クェーサー只今戻りました!」
そう報告をした男、ジャックはベイジョンに対して最敬礼をする。
「わざわざアムソトラル王国での任務を中断させてまで呼び出してすまぬな」
ベイジョンの低くて重い声が元帥室に響き渡った。
「いえベイジョン閣下からの命令であればどこからでも飛んで参ります」
「よろしい。帰還そうそうであまりこちらの事態を把握していないと思う。この資料を読め」
ジャックはベイジョンから渡された資料を速読した。特殊部隊に配属されるような優秀な兵士であれば任務を一瞬で把握することは必須であり、ましてや上官の前で長々と資料を読むことなど失礼に値する。よってジャックは資料を通常の任務よりも早い速度で読み終えたのだが、全てを飲み込めずにもう一度読み返した。読み間違えたのかと思ったがその資料を一文字も読み間違えてはいなかったようだ。
ジャックの様子をベイジョンはまだ皮膚が辛うじて残っている口で不敵な笑みを浮かべて見守っていた。
「...ベイジョン閣下これは.... 任務ですか?」
「...そうだ。私直々の任務だよ。このためにわざわざアムストラル王国の任務を一時中断させたのだ。まあ混乱するのも分かるが、君が適任だろう? 父親として君の部下に息子を殺されるよりも父親の手で殺した方がいいだろう。せめてもの慈悲だ」
心の底からジャックのことを心配しているのであればベイジョンは笑ったりしないだろう。長年の勘だがベイジョンは心の底から楽しんでいるようにしか見えなかった。ジャックは前々からベイジョンのことが好きではなかったが、今、最も嫌いな上官となった。
「...承知致しました。デヴォルカスでの任務を完了し次第、アムソトラル王国の任務に戻ります」
「よろしい 期待しているぞ」
ジャックは渡された資料をベイジョンに返し敬礼をした後、元帥室を出て行った。
彼はジャック・クェーサー。ウィル・クェーサーの父親であり、<クリーンブラック>の副司令官でもある男だ。海外任務をデヴォルカス政府に任せられるほどの優秀な兵士は何が最も大事なモノであるのか改めて考え始めたのだった。




