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第二話 「貴族と商人」

 「....でしたら、こちらのマジックアイテムはどうでしょうか?従来の光量を保つのはもちろんのこと、ドナルド様のその日の気分に合わせて暖色系から白色系などの様々な光を放つアイテムになっております。」


 「そんな機能など元より求めておらんわ! 他に類を見ない豪華さを放てれば良い。」


 「とすると丁度良いのがありますよ! 私独自ルートで入手した最高級シャンデリアなのですが、限定品で価値が非常に高いため現段階ではドナルド様クラスの方以外には宣伝もできない代物がございます。」


 「最初からそれを出さんか! お主も素直でなないのお」


 「切り札なものでして」






 今日のお客様との商談は予想以上に利益がでたな。 と口が己の意思に反してニヤけ出してしまいそうなのを必死に堪えながら、商人は貴族の館から出てきた。ここはソウルポリスの中心に位置する貴族御用達の高級住宅街である。貴族は一般市民とは異なり、特に厳しい規制はないので充実した暮らしをしている。そんな貴族との太い繋がりは商人にとっては己の地位や名声、自由、金を得るための無くてはならないものになっている。


 「これで当分我が家は安泰だな。あいつにも兵士なんかでなく、商人の道を進んでもらいたいのだがな。」


 そんな愚痴をこぼした男の名はジフ・K・ノーゼ。主に貴族対象にマジックアイテムなどの商品を販売する商人である。


 「今日の商談も終わったことだし、組合戻って書類終えたらそのまま家に帰るか!」


 組合とは商人同士で協力して仕事を行う組織であり、商品の管理、運搬、販売などをしている場所である。多くの貴族向け商人が所属していることから様々な情報が飛び交う場でもあり、商人のオアシスとでも呼べるところだ。


 日もすっかり暮れた頃、ジフが組合に向かっていると突然後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。


 「親父! また会ったな」


 声をかけてきたのは息子のロルト・K・ノーゼである。


 「おう! お前か お互いに同じ現場に勤めているようなものなのだから仕方ないだろ」


 「最近会ったばかりだしな もう帰り?」


 「今日は上手いこといったからな 祝杯をあげねばならん」


 「その調子だと お袋に迷惑かけんなよ」


 「どの口が言うとる お前はまた巡回か? 一人だから...これからなのか?」


 「巡回ではないよ 別件で派遣されたから今から向かうところだ」


 「.....。 気をつけろ。商人の道も悪くないぞ」


 「もう 大人だっての! .....ありがとな」

 

 「まあいいけど 組合の近くで会うとはな お前の家からは遠回りではないか?」


 「まあ 気持ちの整理も時には必要なんだよ じゃあな」


 と言うといつもよりも大きな荷物を背負ったロルトは父親と軽い挨拶程度の会話をし、去って行った。 





 ジフはこのときロルトが背負っていた荷物の中身は治安維持兵の装備一式だとばかり思っていた。


 だが、実際そのような物は入っていない。


 既にロルトという青年はある計画を実行に移していたのだ。



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