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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
五章.花の国、氷華と冥府の七日間
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89.観光!素晴らしきかな花の国

「それじゃ、改めまちて皆さんの案内をする事になったフリルでち!よろしくお願いしまち」

「フリルちゃんよろしくです~!」


花の国に世界樹の調査に来た俺達。そこでボビンから調査期間中のバカンスを提案され、今に至る。


先程戻ってきたフリルによると、どうやら俺達の案内をしてくれるようで。…………さっきまで土下座を続けてたからかおでこが赤いのが気になるが。


「その、フリルちゃん…………おでこ真っ赤だけど、大丈夫?」

「大丈夫でちよルミネさん。自分根っからのツッコミ体質でちて、反射的に入れちゃうんでちけどあの人やたらめったらすぐキレるもんでちて…………。ツッコミが居ないと崩壊するし、かといってするとおしおきされるしで辛いでちけど、もう土下座には慣れたので大丈夫でち!」

「痛い程気持ちがわかる…………お互い苦労してるんだなフリル…………!」

「えっレイさん泣いてるんですか!?どんだけ共感できるんです!?」


うるせー、誰のせいだと思ってんだ。お前らがもっとちゃんとしてれば泣く程共感しないんだぞ…………ティッシュティッシュ…………!


「ま、まぁ暗い話はなしにして!花の国観光ならわたしにおまかせでち!皆さん日頃色々溜まるもの溜まってると聞いてまちので、少しでも息抜きになれば幸いでち!」

「なるほど、溜まるもの溜まってて抜ける観光。ピンクな店でも紹介するのかしら」

「そんな店ここにはないでち!真顔でなんて事言ってくれてるんでちか!?」


こいつ真顔でとんでもない下ネタ吐いたりするけど、どういう精神状態でその境地に到れるのか気になる。純粋に。


…………まぁ、そんな事気にするより今はバカンスだよなバカンス!どうせなら花の国、楽しみ尽くすぞ!


「さっそく出発…………と、言いたいところでちが。花の国って割と迷いやすいので、迷ったら助けに行けるようにみなさんの魔法端末にわたしの連絡先を登録しておいてもらいたいのでちが、大丈夫でち?」

「大丈夫だよ!みんなも、平気だよね?」

「俺それ持ってないや」

「あっ、そういえばそうだっけ…………」


魔法端末。それは、俺の元いた世界でいうスマートフォンのようなもの。これまでこっちに来て生活する中で特に使う機会もなかったので気にしてなかったが、そういえば持ってない。


「あらら…………。じゃあ、こちらに花の国特性魔法端末がありまち!現世にチャンネルを揃えてあるので、すぐ使えまちよ」

「チャンネル変えれば違う所に繋がんのかよ…………」

「魔界とか冥府とかには繋げまちけど、基本的にそっち方面に明るい人じゃないと繋げないでちから気にしないで大丈夫でちよ」


すげぇな、魔法端末。


「今ならこの端末、さしあげまち!」

「じゃ、じゃあもらおうかな」

「はい!15000フロルでち!」

「…………って、金取んのかい!」


その言い回しからするにタダでくれるのかと思ったが…………現実はそんなに甘くないよね、うん。15000フロルなら…………出せるな。今後必要になるとも分からないし、買っとくか…………。


「これで大丈夫だよな?」

「はい!ピッタリでち、ありがとうございまち!」


お金と引き換えに、魔法端末を手に入れる。前借りて使った事があるから分かるけど、あっちのスマートフォンとさして使用感が変わらないからいい感じだよな。


「買ったなら連絡先交換しましょ」

「おう、いいぞー」

「…………先を越された…………」


教えて貰った番号を入力。登録名は…………オクラでいいか。ひとまず、かけてみるとしよう。


「じゃ、本当に登録出来たか電話かけるぞー」

「いいわよ」

「そんじゃ、ポチッと」

『ぶくぶくぶくぶく』

「大丈夫よ。ばっちりかかるわ」

「その着信音は何なんだよ…………」


前は確かオクラ殺しのミキサーマンとかなんとかだった気がするけど、今度はただ溺れてる人じゃねぇか…………。


「そ、それは!『宇宙探偵・コスモ☆えんじぇるん』の着信音!?リヴィりん、隠れファンだったんですか!?」

「コミックス、全読破してるわ」

「つわものー!!」


コスモ☆えんじぇるんって、ライカが探偵になりたいだの喚き出した作品だったっけ?溺れる人の音声で特定出来るって、どういう作品なんだよ…………。


「あの、ライカちゃん。わたしその作品良く知らないんだけど、なんで溺れてる人の声なの…………?」

「ふっふっふ、ならば説明しましょう!これはメインキャラ三人のうち一人の声で、内訳としてはコスモ☆えんじぇるん、アース♡ひゅーまにん…………」

「そして私の推しの水没↓サエコよ」

「一人だけおかしいだろ」


それで溺れてんのかよ!一人だけ名前、浮きすぎだろ!溺れてんのか浮いてんのかどっちかにしろよ!


「サエコは凄いのよ、水没した真実を冴えた頭脳で見つけ出す凄腕探偵なんだから」

「闇に葬られた真実とかなら分かるけど、水没した真実ってなんなのさリヴィちゃん…………」

「せ、世間では凄いものが流行っているのでちね…………」

「こいつらの間だけだと思う」


…………こいつの事は置いておいて、ライカとルミネとも連絡先を交換。フリルのも加えて、準備は万全。


「それじゃ、出発しましょ~!」


◆◆◆


「いやー、遊んだ遊んだ!楽しかったね!」

「ええ、特にジェットコースターは凄かったわね。舞い散る花びら、とても綺麗だったわ」

「うぷぷ…………ほ~んと、たのしかったですヴォエ」


あの後に案内されたのは花の国でも有名なレジャー施設。そこでコーヒーカップ、観覧車、ジェットコースターなど様々なアトラクションを体験した。いやほんと、花の国凄いわ。行く先々綺麗だし、フローラルな匂いがするし。ここは楽園かな?


なおライカはジェットコースターで酔って地獄を見た。


そんなこんなで、お昼時も過ぎてもう三時頃。フリルが組んでくれた花の国ツアー一日目はひとまずの終わりを告げ、自由行動に。


なおライカは吐きそうなのでフリルに搬送されることになった。


「じゃあ、自由行動だって言ってたけど…………なにする?」

「そうね…………各々色んな場所に赴いて、各自のオススメに明日向かうとかしてみたらいいんじゃないかしら?」

「それいいかもな」


効率的に回れそうだし、基本皆で行動ってのが多いから一人は新鮮だしでいいと思う。一人か…………どこへ行こうか。


「それじゃ、わたしはあっち見てくるね」

「私はそっちに行くわ」

「じゃあ、俺は向こうに行く事にするか」


という訳で、久方ぶりの単独行動が始まったのだった。


「しかし、どこから見て回ろうか…………」


辺りを見渡してみる。綺麗な店、咲き誇る街路樹の花、少し薄暗い路地裏…………あ、路地裏いいかも。


「花の国の路地裏ってどんな感じなのか気になるし、行ってみるか」


足を踏み入れる。第一印象は基本的に日本の路地裏とあんまり変わらない感じ。ここは花もあんまり咲いてないし、なんだか独特の雰囲気を放っている。薄暗いんだけど、どこか心地よいような…………陰キャだからか、そうなのか。ちくしょう。


「んー、もうちょい奥行ってみるかな」


更に歩を進める。三、四歩歩いた所で、


「うわっ!?」


急に身体のバランスを崩した。なんというか、階段を踏み外したのと同じような…………!?


「ちょ、ちょっと待て!?なんだ、これ!?」


身体が傾き、当然視線は下へ向く。そこで、目に映ったのは。足を踏み外した感覚がしたのは…………!


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「うわーっ!?」


気づいたからどうにか出来るという訳でもなく、身体は大穴へと吸い込まれていった。

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