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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
五章.花の国、氷華と冥府の七日間
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87.【1日目】歩き目指すは花の国

「はっなのくに♪はっなのくにー♪」

「ウキウキだねライカちゃん」

「だってだって花の国ですよ!?女神様のおわす花の国なんですよ!?ウナギとしてテンションも天使上り!…………あっ、逆です」


いつになくウキウキしたウナギの言う通り、俺達が向かっているのは花の国。魔王が登録している最寄りのワープポイントまでテレポートで飛び、そこからは案内をつけて歩く事になった。


「ウナギ、あんまりはしゃぐなよ」

「ウナギじゃないです!!人の揚げ足を揚げないでください!」

「それを言うなら『取る』な」


二重に揚げてどうしろと言うのだろう…………。この人のバカレベル、日に日に上がってない?


「でもさ、びっくりしたよねレイくん。まさか、案内が…………」


…………そう、それなんだ。こいつらは、いつもこんな感じだからいい。問題は、今案内してくれている奴。それは…………


「うのー」

「うのりのりちゃんだなんて………」


…………珍生物、もとい魔王城のペット。海苔に乗って空中を漂う謎のうさぎ。うのりのり(種族名)が今回の俺達の道案内担当なんだ…………。


「この子ちゃんと案内出来るのかなぁ…………?」

「うのの」

「見くびらないでね、って言ってるわよ」

「へー…………えっ!?リヴィちゃん、この子がなんて言ってるか分かるの!?」


リヴィの発言に騒然とする。お前、そいつと意思疎通が可能なのか!?


「なんか喋ってみたら理解出来たわ。よく出来たいい子よ」

「うの!」

「本当ですかね…………?」


以前おもいっきり顔に突っ込まれたライカは警戒心を剥き出しにしながらうのりのりを見る。…………全部リヴィの妄想とかそういう事、ないよね…………まさかね…………。


「ののー」

「森に入るよー、抜けたら花の国だー、だそうよ」

「へー、この森ねぇ…………」


そこはまさに、鬱蒼と茂る大森林。入ったら二度と出てこられない迷いの森のような、そんな雰囲気漂う場所…………ここ入って大丈夫?


「なんかすっごく薄暗いけど大丈夫ここ…………?」


あ、ナイス。聞きたい事聞いてくれた。


「うののの」

「確かに薄暗いし適当に歩くとすぐ迷うけど、しっかり道を分かって歩けば20分程度!ワガハイにまかせろ!だって」

「いやちょっと待ってうのりのりちゃんの一人称!?」


お前、可愛い顔してそんな一人称なのか…………。しかもふわふわ間延びして訳してものほほんとした喋り方してるのに、ワガハイって…………お前…………。つくづく謎だなうのりのり。


「…………うのさん、ちゃんと道分かってます?適当に案内したら恨みますよ?」

「のりりー」

「大丈夫!ワガハイは花の国出身だからねー、と言ってるわ」

「え、そうなん?」


このうさぎ、花の国出身なのか…………。まぁでも、花の国と言うからに植物の楽園だし、おかしくはないか。海苔、付いてるし。


「うのさんって花の国で生まれ育ったんです?」

「ううのー」

「そのとーり。うのりのりという生き物は最初は半身だけで生まれ落ち、成長するとうさぎと海苔の生き物になるのです。だから花の国で生まれ育つんだよ、との事よ」

「へー、なるほどー」


最初はうさぎだけで、花の国の加護を受けて海苔と一体化して成熟する…………って感じなのか?


「うのうの」

「ワガハイも成熟してうさぎが生えて来た時は感動したなぁ、らしいわ」

「んんん!?うさぎがパートナーの海苔を見つけるのかと思ったら海苔が本体でうさぎが生えてくるんです!?なんですその生き物!?」


想像のはるか斜め上をぶっちぎられたな、おい!うさぎが生えてくるってなんだ、怖いわ!どんな生き物だ、うのりのり!


「…………うのりのりちゃん、何なの…………?」

「うー」

「それが、うのりのりクオリティ」


うのりのりクオリティとは、一体…………。


「うのーの!」

「まぁそれはそれとして、そろそろ森を抜けるよ。なんだか、幻想的な風景が広がってきたでしょ?って」

「あっ…………ほんとだ。さっきまで薄暗かったけど、なんだか淡く光ってて素敵だね」

「精霊ですね!小さな森の精が光を放ってるんです!きれーです!」


薄暗い森を通っていった先は、精霊達の住処。きらきらと輝き、緑色の光が淡く周りを照らす。確かに、綺麗だな…………。さっきまではこんな森の向こうに花の国があるのか疑ってたけど、こんな幻想的な景色が広がるなら…………花の国があるってのも頷ける。


「うーうー!」

「もうちょっと!ワガハイが案内するから着いてきてね!ですって」

「いよっしゃー!ようやく花の国です、レッツゴー!…………ふみゅ?」


辺りの光景を目の当たりにしてテンションの上がっていたライカの動きが、唐突に止まる。…………どうしたんだ?


「どうしたの、ライカちゃん?」

「近くに何かがいる気配がします。これは…………っ!?も、モンスターです!?」

「えっ!?モンスター!?」

「レイ!ライカ!ルミネ!後ろを見て!」


リヴィに言われるがまま後ろを振り返ると、そこには…………


「グルルルルル…………」

「氷の…………クマ!?」


氷で出来た肉体を持ち、涎を垂らしながら唸り声を上げるクマがいた!


「うのーっ!?」

「あっちょ、うのりのり!?どこ行くのかしら!?」


うのりのりは逃亡。戦闘力は未知数だったけど、離脱か…………!


「見た事ないモンスターです!天界データベース、アクセス…………うぇ、ノーデータ!?」


ライカが天界から授けられたカメラで天界の情報にアクセスするも、どうやら結果は芳しくないらしい!これは、ちょっと頑張らないとまずいぞ…………!


「新種のモンスターか、もしくは人工的に造られた子かも!?どちらにせよ危険度は高いです、みんな気をつけてください!」

「了解!戦闘開始よ!」


それぞれがそれぞれの得意技で、一気に畳み掛けて倒す!


「まずは一撃…………っと、氷技は効かないか。だったら…………溶けろ!『プロミネンスナックル』ッ!!」


炎を纏ったルミネの拳が腹に直撃!これなら、相手は溶けて大ダメージを…………


「グルルル…………グオオオオオ!!」

「っ!?溶けてない!?」


負ってない!溶けない氷って奴か!?


「危ないですルーちゃん!『ホーリー・ブライトネス』!」

「ウオオオオ!?」

「光魔法か!目くらましナイスだよ、ライカちゃん!よし、今のうちに懐から撤退!」


隙をついてルミネが後退する。しかし、拳を当ててもヒビひとつない。見た感じ、外部からの衝撃に徹底的に強く作られてるみたいだな…………。


…………いや待てよ、という事は!


「リヴィ!腐ったパンとか持ってないか!?」

「あるわよ!」

「…………なんで当然のように持ってるのリヴィちゃん…………」

「ネクロマンサーだもの!」

「…………うん、もういいや。で?そのパンどうするの!?」

「あいつの口目掛けて投げろ、リヴィ!」

「お易い御用よ。それっ!」


リヴィが投げたパンは、モンスターの口へ一直線。これなら、いける!


「『憑依』っ!!」

「えっ、レイさん!?何してんです!?」

「ちょっ!?そんな事したらレイくんまで一緒に!」

「…………あいつのお口に、インしちゃったわね…………」


だ、唾液の感覚が気持ち悪い!どんどん流されて…………ここは食道を越える頃合か?


だったら、タイミングは今だ!


「『憑依解除』!」

「えっ!?今レイさん、憑依解除しました!?どどど、どういう事です!?」

「そうか…………!氷を中から割ろうとしてるのね!」


その通り!力を込めて、一気に中から氷を…………か、硬い!外側よりは柔らかく出来てるんだろうけど、想像以上に硬いぞ、これ!?


「でもレイくん、氷の中から割ろうとしてるのが氷から透けて見えるけど割れてないよ!?」

「おそらく、力不足です!ここここのままじゃレイさんが溶かされちゃいますよ!?」

「だ、駄目だよそんなの!レイくん、頑張って!!」

「『死霊強化』!『死霊強化』!レイ、頑張んなさい…………!」


どんどん力が流れ込んで来るのは感じるが、それでもまだ足りない!まずいぞ、多分もう少しで胃袋まで流される!クソッ、このままじゃ…………!


「『ボタニカルチアー』!」


っ!?聞き慣れない声がすると同時、身体に力が流れ込んできた!?でも、これなら!踏ん張れ、俺…………!


「うおおおおおおっ!!」


身体に当たるのは生暖かい風。これは…………外気か!って事は、つまり…………!


「わ、割れました!割れましたよリヴィりん、ルーちゃん!」

「腹を突き破られて粉微塵ね。…………うん、生体反応なし。やったわよ」

「良かった…………本当に良かった…………!」


なんとか、討伐出来た…………!


「危ない真似しないでよ、馬鹿~っ!!」

「うおっ!?ちょっ、ルミネ、抱きつかないで…………苦しい…………」


お前の腕力、凄いんだよ…………ガクッ。


「無鉄砲なのはどうかと思うけど、中々手段としては良かったんじゃない?実際に成功したし。やるじゃない」

「へへ、サンキュー。…………ところで、さっきの支援魔法は?」


リヴィから浴びる支援魔法とはまた違ったし、何より聞き慣れない声がした。あの魔法をかけたのは、一体…………。


「みんな、上です!上!」

「上…………?あっ!」


そこにいたのは。


「ふー、なんとか助けられたみたいで良かったでち!ケガはないでちか?」


葉っぱの四枚羽を持つ、ナナさんと同じ位のサイズの手のひらにも乗りそうな舌っ足らずの女の子。頭には、花飾り。この子は、もしかして…………!


「は、花の妖精か!?」

「はい!わたしはフリル!花の国の花の妖精でちっ!」


返ってきたのは、予想通りの返答だった。

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