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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
四章.名・B・探偵、ライカちゃん!
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85.この先も、天使と探偵として

「あぁぁぁぁ!うぁぁぁぁぁ!んく、んく…………ぷはー!あぁぁぁぁ!!」

「コルネさん、呑み過ぎだとライカちゃん的に思うんですけど………」

「あぁ!?」

「ぴーっ!?ご、ごめんなさい!」


コルネさんの想いがヴェルカー(ロリコン)の手によって木っ端微塵に粉砕された後、飛び出した彼女を追いかけて辿り着いたのは居酒屋。…………つまり、ヤケ酒だ。


「何ですかあの人!私の!気持ちを!!小児性愛だけで!!!踏み躙って!!!!」

「コルネさん落ち着いてください机割れますよ!?落ち着い…………落ち着…………落ち着け!」


机にヒビを入れ始めたコルネさんに、最早敬語すら忘れて注意をする。そりゃ凄惨な振られ方だったけど、一応公共の場だから理性くらいは保っていてほしい。


「ルミネもコルネさんに何か言ってやって…………」

「なぁ~に~?レイく~ん…………うぃ~……………」

「…………お前………!?」


横を見ると、赤くなったルミネと空になった酒瓶が二つ…………二つ!?え、二つ!?


…………そんなに、呑んじゃいましたか…………。


「本当に酷いよねヴェルカーしゃん…………そんな話を聞いてたらわたひもムカついてお酒が止まらなうぷ」

「トイレあっちよ」

「せんきゅ~…………おえ」


…………普段色々抑圧されてる分こういう所だとはっちゃけちゃうのかな、ルミネ…………。コルネさんには及ばないけど、相当な量の酒瓶を開けてるぞ、これ………………。


「いやールミルミ呑み過ぎっしょ…………お酒はセーブしないとマズいし」

「そうそう…………って、みーこ!?」


いつの間に隣にギャルが!?


「やほー☆祝賀会っぽいから来ちゃった☆…………でも、ギルドのおねーちゃん悲しそーね」

「告白した相手がロリコンで振られたんだよ」

「なる。で、誰?呪ってくるね」

「中々に過激思想!?」


とてつもなくいい笑顔での殺害宣告。目が、目だけが笑ってないのが怖すぎる…………。


「女の子を傷付けるやつは許せないし!ギッタギタの、ケチョンケチョン!」

「女の子を傷物にするのも駄目なのかしら」

「リヴィ子も叩くよ?」


…………どうしてこの人は、こんな空気でもロッシェさんが喜べるような下ネタをぶちかますのだろうか?脳細胞の代わりに海綿体詰まってない?大丈夫?


「まーともかく、今回はお互いにお疲れ様!さっきトイレに行ったルミルミも、リヴィ子も、レイちんも、イカちゃんも大切なお友達だからまた何かあったら呼んでね~」

「イカちゃん!?」


初めてあだ名で呼ばれたライカが戸惑う。基本的に白いし、イカでいいだろ。まるでホタルイカのように発光してから爆発するし。


「…………レイさん」

「はいはいどうしましたコルネさん」

「私、もうなんか全てがどうでもよくなりました」

「そうですね」


ヤケじゃなきゃ人は八本も酒瓶開けませんよね。


「悲しいし寂しいです」

「そうですね」


振られたら悲しいし寂しいですよね。


「という訳で寂しいのでこの後私の家でも来ませんか無論レイさんだけで」

「そうで…………ん!?待て待て待て!?」


それはおかしいですよね!?


「大丈夫です一緒に寝て色々触れ合うだけでいいんであははへへふふふふふふ」

「それ全然大丈夫じゃないですよね!?純潔を奪いにかかってますよね!?」


駄目だこの人、完全に思考が…………!こ、このままだと大切な物が失われる!


「いいじゃないですか男の子でしょ本望でしょ」

「ライカ、リヴィ!なんとかしてくれ本当にヤバい!」

「書類の準備でもしておけばいいかしら」

「誰が事後の対応を頼んだんだ、誰が!」


リヴィはいつも通り戦力外!ここはライカ、何とかしてくれ!


「あのコルネさん、流石にそれは…………」

【ドゴォン!!】

「ひっ!?何ですか今の爆音!?」


珍しくライカが事態の仲裁に入ろうとしたその時、俺達の背後から爆音がした…………?あっちって、確か…………


「音のした方って…………トイレです?大丈夫ですかルーちゃ…………あっ」


視界には、ひしゃげて吹き飛んだドア。当然そんな事が出来るのは、この空間で一人だけ。つまり、それは…………。


「しばく」

「ひえっ!?ルーちゃんが鬼神のごとき顔に!?」


ルミネ、なんだよなぁ…………。


頼むから、普段通り常識人枠でいてくれ…………頼むから…………!


「ぬけがけ ゆるさない つぶす」

「目に光が一切ありませんよ!?酔っ払ってるとはいえこれはやりすぎ…………」

「だまれ(自主規制)」

「うわわわわっ!?完全にアウトですよその発言!?」

「(自主規制)が(自主規制)で(自主規制)。(自主規制)」

「わーわーわー!何も聞いてません聞こえません!聞こえませんけど止まってくださいルーちゃん!」

「(自主規制)ね」

「リヴィりん!?」


もう駄目だ…………めちゃくちゃだ…………。


「…………お客様」

「…………はい、何でしょうか」

「ドア代と迷惑料、きっちり払ってくださいね」

「…………あはは、ごもっともです…………」


騒ぎすぎてもう誰も居なくなった店内は、コルネとルミネの狂気に満ちた笑い声で満たされていた…………。


◆◆◆


「ふー、疲れました…………」

「だな…………みーこも居てくれてよかったな」


所変わって、便利屋拠点。あの後弁償のお金を払い、暴れるルミネと笑い続けるコルネを何とか落ち着かせ、寝てしまったコルネさんをみーこに送り届けてもらい、ルミネをおぶってここまで来た。リヴィは先に帰った。帰ってきたら布団で既に寝ていた。あの野郎。


「…………ひとまず、これで全部片付いて解決…………ですよね」

「あぁ。…………最後のヴェルカー騒動が一番疲れたな」

「ですね…………」


もうしばらく、お酒も見たくない。


「…………あの、レイさん」

「ん?どうした?」

「レイさんが言ってくれた事、あるじゃないですか。駄目でもいい、ってやつ」

「あー、あれか」

「あれのおかげで、私は勇気を出せました。パワーアップまで出来ました。本当に、ありがとうございます」


そうしおらしく言うライカの様子は、普段とは見違えるようで。普段からこうだったら良いのに…………って言うのは、今はなしだよな。


「礼なんていいよ。お前は駄目なりに頑張るのが一番似合ってるからな」

「…………ダジャレですか?」

「…………?…………あっ、いや、違う!」

「ふふふ~、ここでぶっこんでくるとはレイさんもエンターテイナーですね~」


…………ウザいけど、あんな事考えた手前強く言えない…………!…………まぁ、今回はそれもご愛嬌って事にしておこう。


「レイさん」

「…………何だよ」


そこでライカは、満面の笑顔を浮かべて。


「探偵で天使なライカちゃんを、これからもよろしくお願いしますね!」


高らかに、そう言った。





























「報告は以上です~」

「…………ご苦労」

「…………何でわざわざ負けて帰ってきたんですか?貴女の実力ならあいつらを殺す事も容易だったでしょうに」

「手厳しいな~テトラちゃん。あいつらはその内逆利用出来そうだから生かしておいたのさ☆」

「…………そうですか」

「え~、対応塩味~!手加減してやられたふりするの結構大変だったんだからね!」

「…………もう良い。七賢者同士で争う必要は無い。テトラはここに残り、お前は下がれ」

「は~い」

「…………で、テトラ」

「はっ。なんで御座いましょう」

「次はお前だ。例の作戦を実行する時が来た」

「…………かしこまりました。大神官様の仰せのままに」

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