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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
四章.名・B・探偵、ライカちゃん!
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78.ライカの推理

「あぁもう、大事なギルドがこんなになってると思うと…………すげぇイライラするな」

「全くだ。こんな事した犯人はシバいてやりてぇよ!」


ギルドへ到着。その様子は、事件前と比べてやっぱり…………。


「…………ピリピリしてるなぁ」

「ですね。明るいギルドを目指していたんですが…………こうなっちゃいますよね」


少し前までは、環境が変わった忙しさでドタバタしていてそんな事考えてる暇がなかったからか、愚痴とかそういう類いのものはあまりなかった。でも、少しづつ臨時体制も整ってきて余裕が出てきたのか、ギルドを利用する人々は愚痴を吐きまくっていた。


…………まぁ、気持ちは分かる。ギルドにはお世話になってきたし、それがこんな事になってしまってると思うと…………。


…………今はそれより目的を果たさないとな。えーっと…………あ、あそこだ!


「おーい!リヴィ!ルミネ!」

「その声は、レイ?…………あっ、コルネも一緒ね。…………でも、ライカは?」

「ライカちゃんはどうしたの、レイくん?」

「何でも証拠になりそうなもののアテが出来たそうで、捜索に向かったんだ」

「えっ、それって…………犯人が分かったって事!?」

「そうライカさんは言ってました」

「ライカ…………流石ね」


…………今ライカがこの場にいたら、『ふふん!そうでしょうそうでしょう!私は凄いんです!ほめろほめろー』って言うんだろうなぁ。…………それはともかく、目的の遂行が最優先だ。


「それで、俺達とギルド職員代表とで話し合いがしたいから集まってくれとの事だ」

「はい、そういう事です。私はヴェルカーさんとセレナちゃんを呼んでくるので、皆さんはギルド臨時会議室で待機していて下さいね。そこを右です」

「了解したわ」

「分かりました!」


そこでコルネさんと別れ、会議室へ向かう。えーっと…………あ、あのプレハブか。なるほど、臨時。仮設スペースなんだろう。


扉を開け、三人で中に入る。椅子が七個と、机。後から来る人も含めて全員分あったので、遠慮なく腰を下ろした。


「それにしても…………犯人が誰なのか皆目見当もつかないわ」

「そう?怪しい人は流石に分かったよ。でも、絞り込むのが無理だった…………」

「ライカは自信満々だったけど、本当に大丈夫かねぇ…………」

「ま、その辺も信じてあげるのが仲間というものよ」

「リヴィもたまにはいい事言うんだな」

「いつもよ」


そんなたわいない会話を交わしながら、探偵達の到着を待つ。待ったのが一分か十分か、扉は開いた。


「お…………お待たせしましたー!ゼェゼェ…………み、皆揃ってます…………?」

「いや、まだコルネさん達が…………っていうか大丈夫かお前」

「み…………水ください」

「分かった、ほら。…………あ、飲みかけだわ」

「構わないですそれください…………ごくごく、ぷはー!生き返るようです!」


間接なんたらってやつだが、本人は気にしていない様子。まぁ、俺も特にそういうのは気にしない派だからいいんだけど。


「……………………」

「どうしたのルミネ、顔が怖いわよ」

「…………なんでもない」


なんだか怖いので、あっちは見ない。睨んでません…………?睨んでますよね。何故…………。


「それはそうと、コルネさん達職員サイドが到着したら話始めようと思うんですが…………」

「じゃあ、今からですね」

「あっ!ナイスタイミングです、コルネさん!」


ドアから入ってきたコルネさんの傍らには、ヴェルカーとセレナさんが。って事は、遂にライカの推理披露が始まるのか…………。


「あの…………呼ばれて来たんですが、犯人が分かったって本当ですか?」

「はい、セレナさん!その辺も含めてお話しますので、まずは椅子へどうぞ。ヴェルカーさんも」


全員が席に着く。そして、ライカは立ち上がり話し始めた。


「…………えー、コホン。…………まずは、事の成り行きから整理しましょうか」

「えっと、ギルドがいきなり爆発…………位しか分からん」

「それで十分ですレイさん。…………ところで、おかしいとは思いませんか?」

「…………?何が?」


意図がさっぱり分からない。


「どういう事、ライカちゃん?」

「なんで私達はギルドが『爆発した』と断定しているんでしょうか?」

「っ!?そ、そうか!確かに、ギルドが『失くなる』だけなら爆発じゃなくても隠密魔法とか認識阻害魔法とかで可能だよ!」

「ご明察、ルーちゃん。じゃあ、こうしてみましょう。『解呪(ディスペル)』」

「……!?ライカ、これって!?」

「ギルドが…………も、元に戻りました!?」


全員でプレハブの窓から外を覗く。そこには、事件前と何ら変わらぬギルドが佇んでいた…………!


「…………って事は、隠密魔法か認識阻害魔法だったって事かしら」

「この感触から言って、認識阻害ですね。我々にあたかも『ギルドが爆発した』かのように見せかけていたんです。爆発魔法痕は、ミスリードだったんですよ」


という事は、ライカが爆発魔法を使う事が分かっていて、犯行に及べる人物…………全員じゃん。ってことは、まだ大事な情報が…………?


「整理しますね。犯人はギルドを『爆破』したのではなく『認識阻害』したんです。でも、爆破に見せかけた。ここまでで、疑問点はありますか?」

「…………なんで犯人はわざわざ爆発を偽装したのかしら」

「認識阻害単体で仕掛けたら速攻でバレるからだと思います。いきなりギルドが忽然と消え失せたら、それくらいしか可能性がありませんから。偽装しつつ誰かに疑いを擦り付けるのが目的だったんでしょう」

「なるほど、納得したわ」

「で、でも…………じゃあ、一体誰がそんな事を?」


セレナさんがそんな疑問を漏らす。…………その疑問も最もだ、犯人の行動の目的が分かっても、犯人の真の目的がさっぱり分からん…………。一体誰が…………?


「誰が…………?そんなの分かりきってます」

「本当ですか!?」

「えぇ。偽装が出来たのは、()()()しかいません」


ライカは、そこで大きく息を吸い込むと…………。


「…………犯人は、あなたです!!」


犯人を、指さした。

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