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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
一章.便利屋トゥットファーレ、開店!
8/110

8.空から女の子、ただし爆弾娘(物理)

「……だ、大丈夫か……?」

「……う、うん。なんとか生きてる……」


空から落ちてきた何かは俺達の傍に落下、そのまま爆発。なんとか死なずに済みました。すでに死んでる……おっとこのネタは封印するんだった。それより……


「……けほっ……痛いですぅ……レイさん、助けてくださぁい」

「え、レイくんこの子と知り合いなの?」

「いえ、全く。どちら様でしょうか?」

「がーん!ひ、酷いです!私ですよ私!天使のライカです!」

「!?こ、この子、天使なの!?」

「あ、はい。羽も出せます、このとーり」


そう言うと自称天使(笑)は羽を展開し、背中から輪っかを取り出して頭の上へ。……認めたくないけど、絶対そうだ。


「……何しに来たんだ、ライカ」

「あっやっと分かってくれた!そうです!ライカです!あの、センパイが助っ人を寄越すって話、してましたよね?」

「そういえばセスタさんそんな事言ってたな……ってことは」

「ふっふっふ、そうです!私こそ頼れる助っ人……」

「お帰りください」

「にゃー!何でですかぁー!」

「あ、あのレイくん。さ、さっきから全然話についていけないんだけど」

「あぁ、事情を説明するとな……」

「大きな音したけど、何事かしら?敵襲?なら応戦を!」

「うわぁ面倒臭いの来た」


大きな物音がしたからか、攻撃体制のリヴィ登場。ちなみに、とらっかに乗って来たわけじゃない。じゃあどんな攻撃体制かと言うと……


「うわっ!?リヴィちゃん、何その魚!?」

「死霊術で呼び出したのよ。これで叩けば相手は二重の苦しみに……ふふふ……それで、あの変なのが敵かしら」


そう、魚である。何を血迷ったかリヴィが腐ったマグロを手に持ってこちらににじり寄ってくる。ってか、魚臭っ!これで叩かれたら、確かに痛い&魚臭いのダブルパンチだわ!それがネクロマンサーの戦い方か!?


「さ、魚!?な、何ですか!?」

「敵は倒さなくちゃね。覚悟はいいかしら」

「ちょっ!?て、敵じゃないです!さっきの女の子にもまとめて事情を説明するので、聞いてください!」


そう言うと、ライカは俺がこの世界に来ることになった経緯と自分のことを話した。……あと、リヴィさんその魚とっととウサギの中に仕舞ってください、魚臭いです。


「なるほどね……ということは貴女がその助っ人とやつかしら?」

「はい!そーです!魔力が湧き出てくるチート能力をもらって左せ……派遣されて来ました!」


ほう、なるほど。左遷ね。まあ、あれだけのことをやらかしたし当然だね。とすると、こいつの渾名はこれで決定。


「そういうことか。まぁよろしくな、左遷使」

「違います!そんな駄天使みたいなノリで言わないでください!」

「まぁ何はともあれ、貴女もこれから便利屋のお仕事、手伝ってくれるかしら」

「はい!よろしくお願いします!リヴィさん!」

「そんな固くなくていいわ、リヴィでいいわよ」

「そうですか!じゃあ、リヴィりんで!」

「リヴィりん……ふふふ、悪くないわね……ふふふふ」

「新入りどうし、よろしくね!ライカちゃん!」

「はい!ルーちゃんもよろしくお願いします!」


打ち解けんのはやっ。まあ、人員が増えるのは悪くないんだけど……こいつは駄天使であり、左遷使。もう、不安しかない。いきなり爆発とかするし……あと、魚仕舞ってください。魚臭いです。まじで。


「あのー、すみません。トゥットファーレってここですか」

「!あ、はい!そうです。わたし達に、何か頼み事がありますか?」


お、おっさん!?じゃなくて、お客さん!?昨日に続いて、客が来てくれた!?嘘だろ!?昨日街でやったことといえば、ビラを車でばら撒き警察に確保……どうしよう本当にクソみたいなことしかしてない。申し訳ないけどなんで来たんだこの人!?


「あのー、なんか変人奇人の集まりがこの店って噂を聞いて、怖いもの見たさで来てみただけなんですけど……なんかごめんなさい」

「あっ……はい、そうですか……」


でしょうね。俺もそんな店むしろ見てみたいわ。今現在進行形で見てるけどね。


「……ごめんなさい……ちょっとしたことでいいなら、依頼もあるんだけど」

「それ是非聞かせて欲しいわ」

「そうですか?じゃあ……あの、家から10万円相当の金品を屈強なドラゴンに盗まれたんで、それをお願いします」


ちょっとしたこと!?え、ちょっとしたこと!?嘘だろ!?10万円相当でちょっとしたこと!?なんだこの人!?冷やかしに来た割にはスケールデカすぎだろ!?


「えーっと、じゃあそれを取り返せばいいんですかー?」

「あっいえ、もう取り返しました」


嘘だろ!?なんだこの人!?スケールがでかいってレベルじゃねーぞ!?じゃあ何を依頼するんだ!?


「えっと、じゃあ、何をして欲しいんですか……?」

「なんかムカついたのでボコボコにしたけど仕留め損ねたので、とどめ刺してきてください。なんかムカつくので」

「……分かりました……受けましょう……」

「ありがとうございます、報酬は弾みますよ」


強キャラ臭、半端ない……もう、なんなんだこの人……?あと、魚臭も半端ないのでリヴィさん早く仕舞ってください。本当に。


「……えっと、じゃあこの紙に依頼内容とか書いてください」

「あっ、はい」


そして記された依頼者情報は……「名前:ストロンガー 職業:勇者」。

………………。

勇者さん、なんてことしてるんですか。


トゥットファーレ依頼file.2 「勇者さんの憂さ晴らし代理」開始……うん、開始。


あと、もういいかげんに魚仕舞えよ!インテリアじゃないんだから!






「この辺ですかねー、その勇者さんが言ってたモンスターの住処って」

「それっぽいわね」

「っていうかあの人なんなの……?勇者……?理解が追いつかない……」

「奇遇だなルミネ、俺も同じ気分だ」

「……わかってくれるの、レイくんだけだよ」


とってもストロングな勇者ストロンガーさんの話によると、この辺がその屈強なドラゴンの住処とのこと。勇者さんは多忙なそうで、依頼をするとすぐ「姫の所へ行かなくては!」と言って去ってしまった。「これはいい武器だ!」とか言ってマグロも持って行っちゃったし。あの人キャラが濃すぎるだろ。見た目普通のおっさんなのがさらにキャラの濃さを加速させてる。


「っていうか、そんな屈強なドラゴンなんて俺達に倒せるのか?」

「ふっふっふ、私におまかせあれ!強力な魔法で仕留めて差し上げましよー!」

「……不安しかない」

「何でですかぁ!?」

「しっ。静かにしないと、見つかるわよ。あそこにいるわ」

「え?……うわっ!?」

「お、大きいよ、あれ!あんなのに襲われたらわたし達なんてすぐ死んじゃうよ!?」


この前のピュロボロスもクソでかかったが、こいつもクソでかい。一言で例えるなら、山。ピュロボロスと大きさはそんなに変わらないものの、どっしりと構える姿はまさに山。こんなのが入り込めるストロンガーさんの自宅とは一体……って、そうじゃない!


「だから、見つからないように後ろから攻めるのよ。普通なら全く歯が立たないような相手だけど……そうとう傷だらけのボロボロね、強力な一撃を叩き込めば沈みそうよ」


まじでストロンガーさん何者なの。本当になんでこんな便利屋を覗きに来たの……!?


「そろーり、そろーりいくわよ。魔力にも反応するから、魔法は使わないように」

「グギャァァァァァァァァァァァァァァ‼」

「うわー!?」

「ちょっ、なんでこっちに反応してるんだ!?」

「わ、わからないわ!誰か魔力漏らしてない!?」

「だ、だだ誰なんでしょうね~分かりませんね~」


………………。


「お前かー!!」

「ごめんなさぁぁぁぁぁい!チート能力で魔力が際限なしに湧いてくるので放出しないとキツイんですぅぅ!」

「こっここ、こっち来るよー!?」

「とりあえず、魔力を頑張って押さえ込んで!じゃないと死ぬわよ!」

「え、いいんですか!?魔力の放出止めちゃっていいんですか!?」

「止めないと死ぬだろ!早くしてくれー!!」

「はいっ止めま……きゃぁぁぁ!?」

「ライカちゃーん!?」


マズい!ライカが捕まった!ドラゴンの手の中にすっぽり!こ、これは俺の力じゃどうしようもない!


「ライカ!大丈夫!?」

「た、多分……うぷ」

「どど、どうしよう!?とりあえず、ありったけの力を込めてぶん殴ればなんとか!?」

「懐に潜り込んだらそれこそ死ぬわよ!止めときなさい!」

「ど、どうすりゃいいんだ……!?」


ライカを助けに行くと犠牲が出る、ライカをほっとくとライカが犠牲になる。八方塞がりだ……なんか打開策はないのか……?


「……も、もう限界です……」

「ラ、ライカちゃん……!れ、レイくんどうしよう!ライカちゃんが!」

「そう言ったって……クソっ、どうすれば……」

「ご、ごめんなさい、皆さん逃げてください、爆発します」

「そんなこと出来るわけ……え?」

「え」

「…え」

「もう魔力抑えるの限界です。爆発します。あっ……ダメだ」


そう言うと同時に、爆発‼その爆発は強烈で、傷ついていたドラゴンを爆風で包み込む。……俺達も巻き込んで。身体は簡単に宙に浮き、自由が利かなくなる。皆仲良く投げ出されて地面に叩きつけられ、満身創痍。


「……だ、大丈夫か……?」

「……う、うん。なんとか生きてる……」

「……えぇ、なんとか……」


視界がチカチカする。身体中が痛い。……でも、なんとか生きてる。こういうことがあると、生きてるって素晴らしいと思うね。どんな形でも……。ガクッ。


「み、皆さん大丈夫ですかー!?」

「……生きてるよ、安心して」

「……強烈な爆発、ナイスよ……うぷ」


ライカが息絶えたドラゴンの手から下りてきた。爆発したにも関わらず、割とピンピンしている。本当になんなのあの左遷使……。


「なんだよさっきの……なんなんだよ……」

「あはは、そのー、私、ほぼ無限の魔力を持ってこっちに下りてきたんですけど、そのせいで魔力を放出してないと今みたいにエネルギーが抑えきれなくて爆発しちゃうんですよ。だから、魔力は普段垂れ流しなんです……あはは」


……そう、このライカというドジっ娘左遷使、やはり例によって(すでに分かりきってたけど)ポンコツだった。普段は魔力垂れ流しで敵にすぐ感知され、それを防げば爆発する。さながら爆弾娘(物理)。ははははは、ははは……はは……


本当に、ポンコツしかいないなこの便利屋ッ‼


トゥットファーレ依頼file.2 「勇者さんの憂さ晴らし代理」解決……。多分。


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