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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
四章.名・B・探偵、ライカちゃん!
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ハロウィン特別編.ハロウィンは終わらない?

ハッピーハロウィン!という訳で、毎年恒例(二回目)ハロウィン特別編です!今年のハロウィンは、一味違う…………!?

夢を見た。


姿の見えない存在が、語りかけてくる夢を。


『…………やって来る。奴はやってくる』


奴とは、一体なんなのか。


『汝、注意すべし…………奴は汝に様々な事象を齎す』


それを問いかけようと口を開いた瞬間、意識は光に呑まれていった。


◆◆◆


「…………なんだったんだ今の夢」


来るって言われても、一体何が来るのか分からな…………


「おじゃましま以下略トリックオアデリート!お菓子をくれてもイタズラ、くれなきゃ抹消するわ」


あ、これだね。来たね。来ちゃったねハロウィン。俺にプライバシーという概念は適用されないのだろうか、皆普通に入ってくるけど…………。


…………あと、なんで『おじゃましま』の後を略した?『す』しかないぞその後。寧ろ、長くなってる。


「お前、また物騒な…………。で、何だその格好」

「仮装よ」

「…………それで、ハイビスカス?」

「いえす、おふこーす」


…………この人はハロウィンにアオイ科の植物のコスチュームを身に纏わないと気が済まないのだろうか?ハイビスカスの花飾りとかならまだ可愛げがあっただろうに、事もあろうに今年も着ぐるみだからな…………。


「で、お菓子、ないの?」

「寝起きで持ってるわけないだろまだベッドから降りてないんだぞ」

「そう、じゃあ実体化解除してライカに祓ってもらうしかないわね」

「ガチめにデリート!?戸棚の奥にビスケット入ってたはずなんでどうぞどうぞ」

「ふふ、脅迫(ハロウィン)って楽しい行事よね」


逆です、逆。そっちメインじゃないよ、この行事。


「あっ、そうだわ。まだ着替えてないなら、これ」

「おっとっと…………急に投げるなってお前…………って、何これ?布?」


投げ渡されたのは、白い布。これって…………まさか。


「おい、これ」

「レイに似合うと思って用意しておいた、幽霊のコスチュームよ」

「ふざけんな、俺は最初から幽霊みたいなもんだよ!カボチャでもなんでも良かったのに、よりにもよってこれかよ!普段と変わらんわ!」

「そう?普段幽霊感がなくて影薄いから、補強になるかと思って」


地味に心に突き刺さる一言を吐かれた…………。もうちょい憑依能力使ってった方がいいのかな…………でもあれ結構疲れるしなぁ…………。


「ほら、着替えて着替えて」

「…………はい」


この衣装の装着方法!布を被る、終わり!その間、わずか三秒。…………あっ、寝巻きのままじゃんそう言えば。


リヴィがいる手前、布で体を隠しながらゴソゴソと着替える。リヴィに『二重の意味で変態っぽいわね』と言われたが、無視した。


「…………それじゃ、飯でも食うか」

「今日の朝ごはんは冬瓜スペシャルよ」

「そこはカボチャにしておこうか!時代を二ヶ月先取りしてるぞ、お前!」


◆◆◆


「おはよ、レイくん、リヴィちゃん」

「おうおはよう。ルミネも仮装か」

「えへへ、今年は」

「なるほど、サキュバス。エロスね」

「吸血鬼だよ似てるようで全然違うよ!?」


…………確かに、割と胸部が強調されているデザインだからそう見えなくもないけれど…………。それはあんまりだろ。


…………とりあえず椅子に腰を下ろし、テーブルに伏せる。朝は気の感触が特に肌触りよく感じる…………至福の時だ。


「あれ、そういやライカは?」

「あぁその、ライカちゃんは…………」

「ここです」

「うわぁっと!?え、今下から聞こえなかったか!?」

「下ですよ」

「まさか、テーブルの下…………に…………」


…………テーブルの下に、あったのは。


…………ライカの下半身だった…………。


「今年は自然な感じの仮装で行こうと思いまして。という訳で、机です」

「自然は自然でも、ネイチャーの方だろそれ!どうしてそうなった!」

「でもこれ木と一体化してるみたいで心地いいですよ」

「まさしく一体化してるんだよ!」


見た目がテーブルから生えたライカで、凄く気持ち悪い。第一、それでどうやって呼吸してるんだ。


「それはもう、このように!」

「うわっキモっ!あとナチュラルに心読まないで!」

「今の私は自然系天使なので!」

「因果関係、ゼロパーセントだわ!」


机の表層部分がガションガションと音を出し開き、そこからライカの首が出てきた…………。無駄に凝った仕様、なんなんだ。


「ふっ…………素敵な衣装ね」

「リヴィりんもとっても素敵です!」

「ばかだ こいつら」


ごいりょく ほうかい しました もう ねたい です


「あっ、そういえばレイくんレイくん」

「おれ なにも しらな…………あっ何?現実逃避してた」

「…………へー。まぁ、それはいいんだけど。今日お客さん来るから」

「へ?誰?」

「朝食一緒に食べる約束だからそろそろ来るはずなんだけど…………」


そう言うが早いか、玄関のチャイムが鳴る。


「あっ、来たみたい。レイくんも一緒に来て」

「へーい。…………誰だろ?ストロンガーさんかな」

「呼ぶと来そうだからやめて」

「やりかねない」


言及は避けておこう。本当に来そうだからね…………。


玄関に着き、ルミネが扉を開ける。そこには…………


「やほ~、ルミたん、しずくん!来てやったぜ、へへん!」

「お、おはよ。朝ごはん頂きに来たわよ」


仮装に身を包んだ、六花とクッキーがいた。


「二人もハロウィンの仮装?」

「そそ!あたしがジャック・オー・ランタン!そんでもって、はなちゃんが魔女!」

「朝っぱらからこんな格好恥ずかしいけど…………。まぁ、一緒にご飯食べられるから、まぁ…………」

「おやぁ~口元緩んでますよぉ~?ど~したのかな~、うりうり~」

「ちょっ、やめてウザいから!」


相変わらず、仲のよろしい様で何より。何より、仮装に安心感があるのがいい。…………基準が崩壊してるね、うん。


「それじゃ、中に…………」

「あら、誰かと思えば」

「えっ…………は、ハイビスカス?」

「あっハナさんとクッキーさんです!?なんか久しぶりですねーっ!!」

「机!?」

「おぉ、面白~い」


奥から迫り来るハイビスカスと机とかいう恐怖…………。六花は完全に引いていた。うん、そりゃそうだ!当たり前!


「…………ま、まぁとにかく上がって。変なのいるけど」

「う、うん。分かった」

「変なのとは失敬ね」

「そーですよ!これの何処が変なんですかほらほら、カサカサ!!」


◆◆◆


「準備できたよー」

「…………あれはほっといていいの?」

「え?なんかいるのここ?嘘、どこ?」

「…………いや、なんでもない…………」


食事の準備を終え、席につく俺、ルミネ、六花、クッキー。


…………そして、天井に突き刺さるリヴィとライカ。


「えげつないね~」

「偶にお灸を据えないと分かんねぇからなあいつら…………あれでいいんだと思う」

「でも、ご飯食べられないのはかわいそじゃない?」

「あいつらルミネから逃げてる時にしれっとご飯全部よそってから吹っ飛ばされたから多分今頃食べてるだろ」

「生命力強~い」


なんだか、天井の向こうからふごふごと聞こえてくるが、同時に茶碗と箸がぶつかる音もするので、多分あいつらは雑談しながら悠々自適に天井裏ライフを満喫していることだろう…………きっと。


「それじゃ、とりあえずいただきます!」

「「「いただきまーす」」」


早速冬瓜尽くしのご飯に手をつける。うん、美味い!…………カボチャじゃないのだけが引っかかるけどね。


「お味噌汁美味し~、心に沁みるね~」

「本当に美味しい…………ルミネって家庭的なのね」

「えへへ、褒めすぎだよ。ありがと」


微笑ましい光景が目の前で繰り広げられる。そうそう、ちょっとしたトラブルがあってもこうやってゆったりまったり楽しめるのがハロウィンなんだよ。やっと真のハロウィンを満喫…………


「ねぇ、なんか空が暗くなってきてない…………?」

「え、嘘?雲が出てきたのかな」

「…………わっつ?これ、雲一つない晴天だよ?なのにめっちゃ暗いし、どゆこと~…………?」


…………あれ、なんだか物凄く不穏な空気が…………。


「ね、ねぇ!見て、あれ!」


ルミネが指指す先には…………!


「フーッハッハッハ!!来たぞ、来てやったぞ!我こそはカボチャの王ズッカ!この世界を永久にハロウィンにしてやるんだもんね!アハハ、ハーッハッハァ!!」


なんかやべぇ奴がいた…………!?

《To Be Continued…………》


…………あれ、これ続くの!?マジで!?

という訳で、後編に続きます。…………書いてたらいつの間にか前後編構成に…………。私もびっくりです。後編の投稿は来週の金曜に。ハロウィン猶予期間って事でお願いします。

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