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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
四章.名・B・探偵、ライカちゃん!
75/110

70.早くしてくださいね(威圧)

「あーっはっはっは!世界(シャバ)よ、私は帰ってきました!帰ってきたんですーっ!!やっほー!!」


妙に高いテンションで、社会復帰を喜ぶ天使。…………それで、いいのだろうか。


「ふふふ、あんなに喜んでくださるなんて。駆けつけた甲斐がありました」


そう微笑むのは、リコ。


…………何があったのかは、至って単純。


『私、ツヴィトーク家のアシュリーと申します。と、言う訳で。これでなんとか、してくれますよね♡』


家名とお金でゴリ押した。


「さすがリコさん!まねーいずぱわー、ぱわーいずぱわーですね!」

「ふっふっふ、そうです!ぱわー!」

「ぱわーっ!!」


とても楽しそうに話してるけど、実際にやったこと結構とんでもないからね。買収じゃん。…………いや、釈放金でいいのか?


「これで晴れて自由の身です!濡れ衣着せたやつ、絶対許さないです!!」

「あー、その件なんですけど…………」


リコが言葉を詰まらせる。…………何か、問題があるんだな…………。


「ギルド爆発となると、結構な大罪なので…………ツヴィトークパワーをもってしても揉み消すのは不可能だったんです」


そりゃ、国家施設だもんな…………罪は重いに決まってる。それこそ、ストロンガーパワー並にないとなんとか出来ないだろう。あと揉み消すって堂々と言うんじゃありません。


「なので、代わりの人の身柄だけ拘束して、ライカさんが自由に動けるようにする…………って形をとってます。ですので、早く解決していただけると…………」

「そういうことならおまかせです!ズバッと解決してやりますよ!」

「…………ちなみに、誰が代わりに拘束されてるんだ?」

「エクレアです」

「えっ」

「えっ」


…………空気が、凍った。


「…………迅速爆速超速で解決するぞライカ!」

「はいです!遅れたら何されるかたまったもんじゃないですからね!!ちびりそうです!!」

「うふふ、やる気があっていいですね」


リコって、実は結構黒い性格してるよな…………天然なら、怖い。




























「リコと別れた訳だけど、何処から調べようか」

「ですねー…………順当にギルドからですかね?」

「そうだな。んじゃ向かうとするか――――」

「覚悟しろライカちゃーん!!」

「げぶごっ!?」

「っ!?ル、ルミネ!?」


ギルドへ足を踏み出した瞬間、後ろからルミネのロケットパンチ(体ごと)がライカに炸裂した!?


「流石にこれは言い逃れ出来ないんじゃないかな~?普通に脱走だよね、悪い事したら償わないとダメだよ?今ならまだ許されるから刑務所戻ろうね♡」

「ち、ちがうんです!これには事情があって…………」

「戻れ」

「ぴいっ!?」

「…………なんか良く分からないけど、脱走はまずいんじゃないかしら」


あ、なるほどそういうことか!こいつらはさっきまで事情聴取を受けてたからこいつが仮釈放されたって事を知らないんだ!まずい、早く誤解を解かないとライカが痣だらけになってしまう…………!


「ちょ、おい待てルミネ」

「え?」

「実は――――」


これまでの事情を懇々と説明する。


「…………すみませんでした」

「まぁ、勘違いでしたけど悪を止めようとしたのは天使的にはOKなのでそんな気にしてないですよ、顔上げてください」


ルミネからライカへの土下座とかいう、非常に珍しい光景を見る事が出来た。多分これ、もう二度とないな。


「ま、私は勘違いだと気づいていたけれどね」

「絶対嘘だろ」


最初からよく分かってなかったくせに。便乗ネクロマンサーさんは今日も絶好調のようだ。


「それで…………エクレアさんが代わりに拘束されてくれてるから早めに解決しないといけないんですよ」

「えっ、ライカちゃん今なんて言った?」


俺があえて伏せていたその事実を、ライカはあっさりと喋る。…………その結果、さっきの俺達のように二人が凍り付いた。


「…………さっさと解決しないととんでもない事になりそうなんだけど…………」

「さっきから身体の震えが止まらないわ。膝もガックガクよ。は、早く事件解決のため動きましょ」


暗い表情のルミネと、震えるリヴィはそう話す。


…………ま、エクレアさんが絡んでこなくてもギルド爆発となれば大問題だからな。便利屋として放置する訳にもいかない。満場一致と言うことで、事件の解決のため活動決定だ!


「じゃあ早速操作をしましょう!証拠を集めるには、二手に別れた方が効率がいいと思うので、それで大丈夫ですか?」

「意義なしよ」

「オッケーだよ」

「それで行くか」

「それじゃ、満場一致と言うことで!どう別れます?」


うーん、この四人を真っ二つに分けるとなるとなぁ…………。


「…………じゃあ、私とレイくん、リヴィちゃんとライカちゃんでいい?」

「私は構わないですよー」

「私もよ」


じゃあ、俺もそれで…………


…………って、待て。


「お前らそれだと調子乗るだろ」

「えっ!?そそそそそそんなわけあるじゃないですか!?」

「そ~よ~なんもないわ~よ~」


動揺の仕方がおかしい。リヴィに至っては、オペラ化してしまっている。


「ルミネもこうなるの分かりきってるんだから分け方考えようぜ」

「あーうん…………そうだね…………はぁ」


何故か露骨にため息をつかれた。…………俺、間違った事は言ってないよね?…………ない、よね?


「じゃあ…………私とリヴィちゃん、レイくんとライカちゃんでいいや、はぁ」

「でいいやって、お前…………」

「…………ばか」


罵倒もセットで、おまけ付けられてしまった…………。今度、ジュースでも奢ろう…………。


「それじゃ、俺達はギルド行ってくる」

「私達は街の冒険者に情報を聞いてくるわ」

「おう、よろしく頼むぞ」

「よ~し、事件解決のため、トゥットファーレ頑張りましょー!」

「「おー!」」

「…………お~」


三人の気合いの入った声(+一名の不機嫌そうな声)と共に、捜査が始まる。


だが、俺達はまだ知らなかった。


この戦いが、とても厳しいものになると言う事を…………。

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