67.この世界で、改めて紡ぐ友情
「…………と、言う訳で!この街を守ってくださりありがとうございました!こちら、幻霊討伐報酬となりますっ!」
あの決戦から一夜。スペクターを倒し、残りの幻影も消滅し、全員の能力を奪還。報告のためにギルドに行ってみたら、こうなった。
あの時、街の危機にも関わらず俺達以外動いていなかったのは丸ごと能力を奪われていたからのようで。出向いて事情を説明したら、もてはやされた。
「ふふふーん、もっと褒めてもいいのよ?いいのよ?」
「えへへへへ、ライカちゃんを褒め称えるがいいですよ!」
「あ、いや…………ルミネさんとかはいいんだけど…………」
「お前ら基本トラブルメーカーだから褒める気には…………」
「「がびーん!」」
訂正。調子乗ってるいつもの二人は軽くあしらわれていた。まぁ、仕方ないね。ギルドでとらっか乗り回したり爆発したりしてるからね。
で、その肝心の討伐報酬だが………………。
「ひうふうみ…………あの、これひと袋でいくらですか?」
「百万フロルです!」
「へえ、百万…………わっつ?……………えっ、これ五百万!?」
マジかよ!酢豚の5倍じゃん!
「こ、これだけあれば」
「「サフラン買えるわね(ますね)」」
「「誰が買うか」」
すっかり、サフラン教(狂とも表記する)が板についてきた二人。もう本当に勘弁してね?サフランで破産とかしたくないよ?
「…………ま、まぁというわけで!こちら賞金五百万フロルです!どうぞお受け取りください!」
そして、ギルドは歓声に包まれた…………!
「どもこんにちにちー」
「何だそれお前」
「…………変わった挨拶だね、リヴィ…………。まぁ、それは置いといて、待ってたよ!」
「…………きたか。みんな、いるぞ?」
訪れた先は、魔王城。今回の報酬を受け取るときに、みんなにここで待っててもらうよう言っていたんだ。
「あっ、皆さん!改めてお疲れ様でした!」
「ドルチェちゃん!戦いの傷とか、大丈夫?」
「後衛でしたし、皆さんが守ってくれたので私もお姉ちゃんも傷一つありませんよ!」
「まぁ、つけられた方が妄想が捗…………あっごめんなさいやめてくださいドルチェいたいです」
…………え?なぜ、ここにみんなを集めたかって?
「おつーみんなー。あたしもがんばったよねー、シフォンちゃん」
「うん!クッキーおねーちゃんもハナおねーちゃんも、魔王ちゃんもがんばった!」
「…………私は幼女に褒めてもらう程度の立場だったのか…………?」
「…………ごめん、今までの見てるとあたしにはあんたは偉い人には見えない」
「はなちゃん辛辣~」
「…………もうちょいなんか威厳あることやった方がいいのかなぁ」
それは、もちろん。
「…………今回、結局最後まで私の能力返ってきませんでしたし…………何も出来ませんでした」
「まぁまぁお嬢様、お嬢様は自分の力を出し切りましたよ」
「私もエクレアみたいに爪もいだりしたかったです…………」
「えっ」
「ごめん、お姉さんよく聞き取れなかったんだけど…………う、嘘だよね?冗談なんだよね!?」
言うまでもなく。
「…………それで?あれは、あるのだろう?」
「あぁ、もちろんだ」
鞄から取り出した五百万フロルを机にドンと置き。
「討伐賞金、しめて五百万フロル!こいつでみんなでお疲れ様パーティといこうか!!」
「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」
祝賀会の始まりを高らかに告げた!!
「すぅ…………すぅ…………」
「ったくもう…………飲みすぎなんだよ」
「みんながぶがぶいってたもんね~。あたしは強いみたいだね!まだまだいけるよ!」
「みんなよくいけるわね…………あたしは日本の倫理観がまだ抜け切ってないから全然いけなかったわよ」
宴は終わり、帰路につく。なんでも、この世界では16歳から飲酒が可能なんだそうで。そんな訳で、酒宴が繰り広げられた(ドルチェとシフォンは飲んでないよ、前者は15だし後者は言わずもがなだし)。
その結果、みんな飲んだ。飲みまくった。飲みすぎた。
特に、今回初めてお酒を飲んだ勢が酷かった。リヴィとルミネはいつもの感じで暴走し、宴の席にスクラップを召喚したり天使の輪っかで輪投げをし始めたりやりたい放題。その中でも、ルミネは、
『わたし、お酒って飲んだことないんだよね…………』
と、最初の方こそちびちび飲んでいたものの、酔っ払い始めてからは
『いつもねぇ~!ツッコミ役はぁ~!苦労すりゅんでふよぉぉ~!!だよねぇレイくんっ!えへ、えへへへへぇ』
『いつもいつもわたひを胸キャラ扱いして、そんなにみんなおっぱいがしゅきなの~!?だったら見なよ、見ろよ~!!』
って感じで、崩壊して服を脱ぎ始めるまで至った。ロッシェさんは喜んだ。ちなみに服を脱ぐのは全力で阻止した。ロッシェさんは悲しんだ。
そして、宴も終わり。帰っている真っ最中と言う訳だ。ちなみに便利屋三人は見事に酔いつぶれて眠ってしまったので、六花とクッキーに手伝ってもらって運んでいる。俺がおぶってるのがルミネ、六花がリヴィ、クッキーがライカね。
…………だがしかし、この柔らかい感触は心臓に悪い。…………ドキドキするから。リヴィと変えてもらおうかな…………。
「…………『ネクロマンス』…………すぴぃ…………」
「ああっ、リヴィが寝ながら死霊術を!?」
「ごふっ!?」
突然横から飛んできた骨付き肉の骨が頭に直撃する。…………こいつ、寝ながら心を読みつつ反撃を加えてきた…………!?
「いつつ…………」
「大丈夫、玲?」
「あぁ、ちょっとびっくりしただけだ。大丈夫」
そんな俺達のやり取りに対し、クッキーは。
「なんか夫婦感ありましたな~今のやり取り」
「ちょ、ちょっと!きいろ!?」
本当にこいつは、人を茶化すのが大好きだな…………。
「あたしと玲はその…………ただの夫婦以上友達未満の関係よ!」
「おぉっ!?」
「逆!逆になってるぞ、六花!」
その一言に我に返ったのか、ふるふると身体を震わせて顔を真っ赤にする。あぁ、殴られるルートだなこりゃ…………。
「…………もうっ、バカ!」
目を閉じて、襲い来るだろう衝撃に備え踏ん張る…………
…………が。
「…………まぁ、あんたは悪くない訳だし。殴るのはよしとくわ」
た、態度が軟化している…………!?
「はなちゃんも成長したなぁ~」
「な、何よきいろ…………」
「照れ隠しに殴らなくなっただけでも成長、人間素直が一番だね」
…………相変わらず、クッキーの言う事はよく分からん。なんだか意味深なんだが…………。
「…………まったく……………………あ、そういえば、玲」
「どうした?」
「あんた達、あたし達に異世界を案内して楽しませるって依頼受けてたじゃない」
「あ、ちゃんと覚えてたんだなそれ」
色々ありすぎて忘れそうだったけど、そもそもこれはリコから受けた依頼だったんだよな。
「…………ぶっちゃけ、楽しかったか?」
「…………そうね、基本的には散々だったわ」
六花は、少し不機嫌な表情をする。
だよな…………。となると、この依頼は失敗かな…………。
「変な人ばっかりだったし、街が壊滅しかけるし…………色々散々だった」
「…………でもはなちゃん、基本的にはって言ったよね~?イレギュラー的にはどうなん?」
…………それって。
そして、六花は、俯いてから。
「…………まぁ、変だけどいい人達ばっかりだったし………色んなこと出来たから。その…………楽しかったわよ」
顔を上げて、はにかんだ…………!
「ん~、はなちゃんか~わいい!だいすき~」
「やめなさいよきいろ…………」
そう言う六花の顔は、言葉とは裏腹に楽しそうで。
「…………なぁ六花、クッキー」
「どうしたの、玲?」
「どったの~?」
そんな二人に、俺は。
「その…………依頼は終わるけど、これからもよろしくな」
「…………そんなの、当たり前じゃない。これからもよろしく頼むわよ」
「あたし達は地球時代からずっとソウルメイトだよ!えーきゅうふめつっ!」
「ふふ、何よそれ」
依頼で始まった再度の出会いだったけど、これからも。依頼抜きでも、付き合っていく事を約束した。
依頼「雪月花の勇者、異世界体験」、無事達成。
今回で三章は終わりです。来週から四章開幕です!ちなみに、ライカちゃん主役。お楽しみに!




