63.煽り魔ライカちゃん爆誕
「啖呵切って飛び出してきたはいいものの、どうやってあいつら探す!?」
「おにぎり!ドルチェちゃんから貰ったおにぎりを食べるんですっ!」
スペクターの相手をみんなに任せて、俺とライカはリヴィとルミネの捜索へ。といっても、手がかりが全くない状態で飛び出してもやっぱり無謀だったかも…………って、おにぎり?
「そういえばそんなの貰ってたな、これか!」
ズボンのポケットに突っ込んであったおにぎり。包装を剥くと、豪快に口に放り込む!これは…………塩味か、シンプルだけど美味い!
「美味いなこれ…………って、おぉっ!?」
なんか全身に力が漲ってくる!しかもなんだこれ、見えるぞ!何がって、ゴミ箱の中に入ってるものとかが透けて見える!これが探知能力か!
「効いてきましたか!?」
「あぁ、効いた!そこのゴミ箱の中身もしっかり探知出来るぞ!しっかしこれ、なんかヤバいもん入ってるんじゃないかって位に効くな!」
「それが魔法の力です!」
俺は今、この世界に来て初めてファンタジーらしい魔法に出会った気がする…………!こういうの体験すると分かるけど、君達の魔法、やっぱりおかしいよ。うん。
「私の下着まで探知しないでくださいよ!」
「あっ、それはない」
「真顔!?それはそれで傷付くんですけど!」
こんなやり取りが出来るのも、余裕があってこそ!これは行ける、行けるぞ…………!
「あっ!あそこの幻霊の群れの中、ルーちゃんがいます!」
「マジで!?…………あっ、本当だ!俺にも見えた!」
幻霊の群れの向こうに、ルミネが透けて見える。…………服は透けて見えてないよ、探知する気ないからね!!
「都合のいい事にルーちゃんの能力の気配も感じます!両方いっぺんに助け出しちゃいましょう!」
「あぁ!」
でも、どうやって突っ込んだものか…………。あそこに何の対策もなしに突っ込んだら、それこそフルボッコだ。どうする…………。
「魔王ちゃん!」
「魔王ビームっ!!」
「うわっ、ちょっ!?」
「魔王さんにシフォンちゃん!?」
どうしようか考えていると、幻霊の群れにいきなりビームが直撃した!?
「えんごだよっ!がんばってねおにーちゃんおねーちゃん!」
「あらかた散らした、残党処理までは手が回らないから任せたぞ!」
これは嬉しい誤算、幻霊の数がかなり減った!これなら、あれでもいける!
「ライカ、実はだな…………」
「…………なるほど!いいでしょう、一肌脱ぎましょう!その代わり後でパフェ奢ってくださいね!」
「お安い御用だ、行くぞ!」
そして俺とライカは、幻霊の残党の中へと突っ込んで行く!
「俺の仲間を殺しやがったのは貴様らか、許せん!てめぇら、八つ裂きだ!強化された俺達の力見せてやるよ!」
幻霊が怒ってこっちに突っ込んでくる。ライカ、頼むぞ!
「へっへーん、幻霊おそるるに足らずです!倒せるもんなら倒してみるがいいでーす」
「なっ!言ってくれるじゃねぇか、あのクソ女からぶっ潰すぞ!」
ライカがあからさまな挑発をする。それに乗った幻霊達が、ライカを一斉に追いかけ始める!
「あれー攻撃当たりませんよー!?その程度の実力ですかー!?ぷーくすくす、あははははっ!実力が下ですねっ!!」
キャラという概念が何処かへ飛んで行ったライカが、只管に幻霊を煽り続ける。お前、煽りスキル高いな…………。でも、ライカが注意を引き付けてくれているその隙に…………!
「えーっと、ここだよな…………」
探知能力でルミネが見えたゴミ箱を漁ってみる。すると、というか見えていたから当たり前なんだけどやっぱり…………!
「れ、レイくん…………!」
いた!
「ルミネ、無事か!?」
「う、うん…………だいじょぶ…………」
ルミネについたホコリを落としつつ、話を聞く。
「リヴィは一緒じゃないのか?」
「あ、うん。ライカちゃんが逃げた後二人とも別の場所に連れてかれて…………私はゴミ箱に突っ込まれたんだよ、ほんっと最低…………」
「ライカなんかゴミ箱に落っこちてたから大丈夫だろ」
「ライカちゃん、なにしてんの…………って、そうだ、ライカちゃん!一緒じゃない!?」
「あぁ、それならあっちだ」
「ほらほらどうしました!?そんな攻撃あたりませんよっ!ふっふっふ、だんだんノッてきましたよー!べーっだ!」
「…………ごめん、どういう状況?」
「ライカが敵を引き付けてくれてたんだよ」
いつもよりイキイキしているのは、気のせいだろうか。こいつこういうのにも才能があったのかな…………。
「クソ、あいつ本当にウザイな!」
「ウザくて結構、クソで結構!先輩に『死ぬほどウザいですよ貴女』って死んだ魚の目で言われた私を舐めないでくださいっ!」
そんな事言われてたんかお前…………まぁ、当たり前だね。でもそれ、誇る事じゃないよ。恥じよう。まぁでも、この調子ならライカがペースを握ってるしなんとか…………
「…………ちっ、こうなったら…………おい、お前ら!今まで見せた事のない奥義を発動するぞ!」
…………って、奥義!?
「奥義?へっへーん、そんなの効かな…………って、囲まれました!?」
それまで敵を煽っていたライカが気を抜いた隙に、囲まれてしまった!バカ、慢心だけはするなといつもあれほど言ってるのに!
「行くぞ、必殺!」
「ライカちゃん!?」
「ライカ!」
ライカを取り囲んだ幻霊達が、一斉にライカへと突撃する…………!
「むぐーっ!?あ、熱っ!?なんですかこれ、焼けるように熱いです!」
そしてライカは幻霊に取り囲まれ、姿すら見えなくなる。言葉だけは辛うじて聞こえるが、どうやら熱さに苦しんでいるらしい!
「これぞ俺達の必殺!大勢で群がって熱で相手を焼き殺す、『熱殺幻霊球』だ!ハーッハッハァッ!!」
ミツバチかお前らは!でもそれは大変だぞ、そんな事になったら…………!
「ライカちゃん、大丈夫!?」
「その質問には俺が答えてやろう!こいつはもうダメだ、この中に囚われたら魔力すら放出できない!俺達をコケにした分の苦しみを味わって死に絶えるが良い!!」
「そんな!…………そんな事したら、ライカちゃんが…………!」
そんな事になったら、ライカが、ライカが…………!
「も…………もうダメですぅ!幻霊さん、悪く思わないでくださいねーっ!!「『魔力暴走・超爆発』っ!!」
「グワァァァァァァ!?」
爆発するじゃん。
「…………すげぇ、木っ端微塵」
「だからそんな事したらライカちゃん爆発するよって言おうとしたのに…………」
「むしろ挑発して一箇所に集めて爆発で一網打尽にしようとしてたから好都合だったけどな」
「あ、そういう作戦だったんだ…………」
爆発で発生した煙はモウモウと舞い上がっていき、その中からライカの姿が現れる。
「ふぃー…………成し遂げましたぁ。でも、熱かったです…………」
「お疲れ。ありがとう、お前のおかげで助かったよ」
「むふふー、もっと褒めてもいいんですよー?」
無邪気な笑顔で褒めることを望んできたので、頭を撫でてやった。こいつ、髪サラサラだな…………。
「えへへー、がんばりましたぁ」
「レイくん、撫でるのはもういいんじゃない?ライカちゃん、大丈夫だった?」
「な、なんかルーちゃん顔怖いですよ…………?私は大丈夫です、心配の必要なしです!それと、これ!」
そう言って、ライカは懐からあるものを取り出す。それは…………。
「これって、ルミネの能力か?」
「はい!爆発で吹き飛ばした時にしっかりゲットしておきました!という訳で、どうぞ!」
そして、ライカはルミネに淡く輝くルミネの能力を差し出す。それは輝きを増すと、ルミネの胸へと吸い込まれていき…………。
「っとと…………急に身長が伸びたから変な感じ。でもこれで、いつもの私復活だね」
ポンという音と共にルミネは煙に包まれ、晴れた頃には元通り。無事、能力を取り戻す事に成功した。
…………あとはリヴィの救出、そして未だに見つかっていないリコの能力の捜索。そして、スペクター戦への加勢だ。時間はあまりない、急ごう!




