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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
三章.雪月花の勇者御一行、異世界体験!
66/110

62.開き始めた花が知るは

「街が騒がしいから来てみれば…………なにやら友達のピンチらしいじゃん。これは助けるしかないね」

「…………あいすついでに、きゅうさいしてやる。いつもいつでも、やまばはのがさずでばんをねじこむ…………ふぇるさんのこうりんだ」

「ぶろりんにふぇるるん!?」

「…………うむ。よばれずともとびでるふぇるさんだぞ、おまえら」


ノープランで飛び出す悪癖。六花達が危険だという理由で策もなしにスペクターの前に飛び出した事を軽く後悔していると、思わぬ加勢が!


「あ、貴女たちは?」

「…………お、にゅーふぇいす。ひょうかのあくま、ふぇるだ。いごよろしく」

「火焔の悪魔、ディアブロだよ!よろしく!」

「わたくし、ツヴィトーク・クラレット・アシュリーです!リコと呼んでください!」

「えっ、うそ、ツヴィトークってあの!?」

「…………まじか、おじょうじゃん」


こんな状況でもいつもと変わらぬ態度に、少し安心する。


「二人とも、助けにきてくれたのか!?」

「…………まぁな」

「うん。いつもお世話になってるし、恩は返すよ!」


これは嬉しい誤算!(主にフェルの)性格面に問題はあるけれど、これほど頼もしい援軍はない!


「ふっ…………二人ぐらい増えたところで、死霊術で強化された俺達に叶うとでも?甘いな」


その言葉に、フェルは不敵な笑みを返す。


「あまいのはそっちだ、はちみつしろっぷくそげんれい」

「私達、いつ二人だけで来たって言った?」


と、いうことは…………!


「れ、レイさん!あの時は助けられたけど…………今回は、私が助けますっ!」

「と、いうわけで!ステータスにバフを盛る料理各種持ってきましたよ!」

「ドルチェ!それにロッシェさんも!」


この世界の料理は、作り方によって食べた人を強化できるらしい。強力な後方支援も来てくれた…………!


「ふ、ふん!後方支援が増えたところで、俺達の圧倒的な数の前では無力だ!」

「…………あれ?そーいえば、シフォンちゃんは置いてきたの?」


クッキーが素朴な疑問を漏らす。


「あぁ、それは…………」

「魔王ビーム!!」

「うぉっ!?危なっ!?い、いきなりなんだこれは!?」


さっきまでスペクターが存在していた場所に、突如空中からビームが降り注ぐ。避けられたものの、動揺しているようだ。思わず上を見ると…………。


「魔王ちゃん、ビーム!もっとビームだよ!」

「そんな乱発できないから!街壊れるからっ!落ち着け、シフォン!」

「そっか、ざんねん…………じゃあ、あれ!魔王ちゃんロケットパンチ!」

「無理!!」


……………シフォンと、物理的にも態度的にも尻に敷かれている魔王がいた。…………信じられないかもしれないけど、シフォンが魔王にしがみついて空を飛んでる。


「………………なに、あれ」

「あぁ、六花は知らないと思うけど…………あの二人、仲がいいんだよ。でも、まさかここまでやるとは…………」

「幼女と魔王…………!?」

「異色の組み合わせだねぇ、こりゃ」


この世界の幼女強すぎない?スー然りフェル然り、目の前のシフォン然り。


「魔王ちゃん!ベアナックルだよ!」

「いや近づくの!?それはシフォンも危険じゃないか!?」

「んー、じゃあ、使い魔ばらまいて」

「えっ…………えっと、あ!でもこれでいいのか…………?…………ええい、ままよ!行け我が眷属!」


そう言って、魔王がばらまいたのは…………


「あっ…………あれは今日の夕飯のエビじゃないですか魔王様!?」

「術式で一応契約を結んどいた!多分戦力にはなるだろう!?」

「…………まおーさま、それは…………どうなん」


…………エビだった。いや、ロブスターと言った方が正しいだろうか、それ位でかいやつだ。


「うわっ!?痛い痛い痛い耳挟まないで耳!」

「結構重いから当たるだけで痛いんだけどこれぇ!?」

「お、落ち着け眷属達!あぁもう、こんな攻撃計算外にも程がある…………!ふざけやがって!!」


いつぞやのライカチャンのように、空から降り注ぐ無数のエビ。字面も絵面も破壊力抜群だが、割と効いているらしい!


「あー…………まぁ、こんなグダグダだけどここは私達が引き受けたよ!ここにいないリヴィとルミネ、探しに行かなきゃいけないでしょ?行ってきな!」

「筋力増強と探知能力増強のおにぎりですっ!これ食べて、皆さん救い出してきてください!」


ディアブロとドルチェは、そんな事を言ってくれる。この人達が引き受けてくれるなら、これほど頼もしい事はない!


「ライカ!行くぞ!」

「はい!ハナさん達はどうします!?」

「あたし達はフェルちゃんとか手伝うよ!いいよね、はなちゃん!?」

「OK!回復したあたし達の本気、見せるわよ!」


まだ捕まったままの仲間のため、駆け出す!


「あ、おいこら、待て!」

「…………やらせない。ようじょ、きゅうえんもとむ!」

「りょーかいっ!魔王ちゃん!!」

「分かった分かった、魔王ビームッ!!」

「『フェルコン・パンチ』っ!!」

「ぐぁぁぁ!?貴様、よくもぉっ!!」

「さっさといってこい、ごーすとやろーとくそてんし!」

「私の呼び方酷くないですかーっ!?」


後押しを受け取り、喚くライカを引っ張って。脇目も振らず、あいつらを探しに!




















「………………すごい」


本当に凄い。劣勢だった。それも、圧倒的な…………。でも、あいつは来てくれた。諦めなかった。その結果…………助けは来た。


やっぱり、あいつは凄い。他者のために自分の損得勘定関係なく駆け出せて、振り回されても怒りはするものの、見放したりはしないで…………。あたしにはないものを、あいつは持ってる。


…………でも、何でだろ。少しだけ、胸の奥にもやが残る。この気持ちって…………?…………あぁ、そうか。


「みんな、玲とか便利屋のみんなのために…………集まってくれたんだよね」

「はなちゃん?」


助けてもらった。本当に、沢山…………。でも、それはあたしを助けに来たわけじゃない。あいつらを助けたかったから…………ここにいるみんなは、集まったんだ。


それは、あいつの人望があるって事なんだろうけど…………それでも、自分はあくまでついでなんだって考えると、少し悲しくなる。…………でもそれって、身勝手で図々しい事だよね。少し関わっただけなのに、当然の顔して助けを求めるのって…………


「…………?なにいってるの、しーまいなす」

「え?あぁ、いや、その…………」

「大方『しずくんを助けに来たわけであって自分はついでなんだよね』って考えてナーバスになってたんじゃないの?」


ず、図星…………。


「…………は?なにいってんの、しーまいなす」

「…………え?」

「…………ここすうじつ、しーまいなすとぽわぽわやきがしにはおせわになったし…………おまえらがしぬの、もったいないから、たすけにきた」


…………え?


「ふふ、フェルったらツンデレなんだから。『まちやべぇなこれ』ってずっと文句垂れ流してたんだけど、ハナ見た瞬間『しーまいなす…………!?』って飛び出しちゃったんだから」

「よし、ころす」

「ちょっ!?痛い痛い、氷突き刺さないで!」


…………それって、つまり…………。


「あたしを、助けに来てくれたの…………?」

「…………そ。しーまいなすたちはいいやつだからな、べんりやめんばーがいなくてもたすけにきた」

「…………っ!」


向こうでは、はっきり言って嫌われていた。友達も全然いなかった。自分は周りから必要とされていないとも感じていた。でも…………。


「そうですよ、ライバルとはいえハナさんとクッキーちゃんさんは大切なお友達です!見捨てるなんて、出来ません!」

「私もお二人の事好きですよ、だから助けに来たんです」

「ハナおねぇちゃん、クッキーおねぇちゃん、大好きー!!」

「殺されかけたけど、それはそれ。君達は面白いし、私の数少ない友達だ!そりゃ、助けにくるとも!」


あぁ、こんなにも。


あたしの事を大切にしてくれる友達は、いたんだ。


「はなちゃん、泣いてる?」

「ち、ちがっ…………!そんなんじゃ、ないし…………」


強がって認めない。でも、頬から零れ落ちるのは。大粒の、冷たいのに温かい涙だった。


「戦闘中に茶番とはふざけた野郎どもだな…………!死ねっ!!」

「魔王ちゃん、シールド!」

「よしきた!」

「ぐぅぅぅっ!」

「…………かんしょうにひたるのはあとだ!たたかうぞ、しーまいなす!ぽわぽわやきがし!」


フェルがあたし達を鼓舞し、手を差しだす。無論、あたしは…………


「じゃあ…………ひと暴れ、しちゃおっか」

「…………そうね、きいろ。友達からもらったパワー、存分に受けるがいいわ!幻霊(スペクター)!!」


その手を取り立ち上がり、剣を鞘から引き抜いた!


さぁ…………ここからが、真の戦闘開始よっ!!

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