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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
三章.雪月花の勇者御一行、異世界体験!
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59.奪還作戦① ~ゴミ箱エンジェル~

「レイさん!後ろです!」

「りょーかいっ!」

『グギッ!?』

「やった!効果覿面ですよ!」

「でもあいつが能力を持ってるわけじゃ無いみたいだな、急ごう!」


瘴気に包まれたスペランタの街。人気はない。人々は、みんな家の中に閉じこもっているのだろうか?そんな事を考えながら、俺とリコはひた走る。


…………その手に、秘密兵器を携えて。


【十分前】


『ふぇ?ボクです?』


スペクターら幻霊陣から、あいつらの能力を取り戻し救い出すための方法。それは、目には目を、歯には歯を。奪われたら、奪い返すハンムラビ法典式復讐法だった。


そして、あいつらの能力を奪う能力…………『異界干渉能力』の延長線上にある能力から能力を奪い返す方法。…………もうちょっと他の言い回し考えるべきだった、能力が多すぎる。五回も言った。


…………まぁ、とにかく。ぶつけるための異界干渉能力として白羽の矢が立ったのが…………とらっかだ。


「とらっか、確か前に『敵を異世界送りにしてやるの楽しーです』って言ってなかったか?」

「えっ」

『あっ、はい!言いました!』

「えええええええ!?と、とらっかがそんなこと!?」

「とらっかちゃん…………意外と、カゲキ?」

「気が合いそうです」

「エクレア、抑えてくださいね」


一同が驚きを示す中、セスタさんだけは納得したような顔で言った。


「そうか、トラックなら…………!異界干渉能力を十分に持ち合わせているはずです!少し解析させてもらってもいいですか!?」

『どぞどぞ~』


暫くの間待つと、天界からある物が転送されてきた。


「これは…………銃?」


そこにあったのは、とらっかの顔のマークが刻まれた銃だった。


「そうです。とらっかさんの異界干渉能力をベースにして作った銃で、命中させた物の能力を剥ぎ取る事ができます。これがあれば、ライカを…………あの子達を救えるはずです」

「これなら、わたくし達の能力も取り返せるってことなんですね?」

「ええ。私もナビゲートしますので…………奪還作戦開始です」


なるほど…………これなら、行けるかもしれない!便利屋の意地を見せる時だ!便利屋…………そうだ、今回の事件に名前を付けるとしたら…………


「依頼『救えスペランタ、激闘を制せスペクター戦』ってとこだな」

「え?何カッコつけてんのよキモイわよ」

「だ…………ダサ~い」

「冥土でもそんなこと言う人いませんよ」

「ライカよりダサいですよそれ」

『ダサいですっ』

「ま…………まぁ、ダサかっこいいというジャンルもあると聞いた事があるような気がしないでもないですので、きっとかっこいいですよ!まぁダサかったんですけど………」


見事なまでのフルボッコ!特にリコのが一番酷い、擁護しているようで全く擁護してねぇ…………


「まっ…………まぁともかく、行くぞ!」

「「「「「『おー!!』」」」」」


そんなこんなで、街の中。俺とリコ、六花とクッキーとエクレアさんで別行動中だ。…………リコとエクレアさんが一緒じゃないのは、意味あっての事だ。エクレアさんを説得するの、本当に苦労したんだからな…………はぁ。


「それにしてもレイさん、なんだか打つの上手くないですか?」

「ふっ…………まぁ過去にちょっと嗜んでてな」

「あっ、それはかっこいいです!」


()()()って何だ。…………まぁいい。俺は、ちょっとだけ銃の扱いには自信がある。何故なら…………


…………例のカモを打つゲームの体感コントローラーでめっちゃ鍛えたからさ!


…………うん、我ながらどうかと思う。そのレベルの経験しかなくて大丈夫なのかと自分でも不安になったが、モンスターを倒して筋力のステータスが上がっていたのか思ったより銃を軽く扱えた。経験を積むって偉大だな…………。


「でも数が多すぎるな…………あんまり表に出すぎるのもまずいか」

「かもですね、路地裏に一旦潜伏しましょう」


某電気ネズミよろしく、リコを肩に乗せたまま路地裏へ。


「ここならとりあえず潜伏出来るかな」

「そうですね、ここまでずっと走って来ましたし休憩しましょう」


つかの間の休息。腰を下ろして呼吸を整える。あっちはあっちで上手くやってるかな…………それと、あいつも。


そんな事に思考を巡らせていると…………


「…………む…………むぅ…………」

「っ!?だ、誰かいるんです!?」



突如背後からくぐもった声が。もごもごしてるせいでよく聞こえないけど、この声ってもしかして…………。


「て、敵です!?だとしたら早く倒さないと…………」

「いや、多分大丈夫だ」

「…………レイさん?」


声が聞こえる方向を振り向くと、ゴミ箱があった。覗き込むとそこには…………


「大丈夫か、お前」

「ぷはー!し、死ぬかと思った…………って、レイさん!?良かった…………必ず助けに来てくれるって、信じてましたよ!でも遅すぎ、ライカちゃんポイント減点!」

「あのヒントで気づけって方が無茶だよ…………でも、無事で良かった」


…………俺がゴミ箱から引っこ抜いたものは、小さくなったライカだった。


「ライカさん!?無事だったんですね!」

「えぇ!まぁ、ちっちゃくされちゃいましたけど…………そのせいで爆発も出来ないんですよ!」


いい事じゃん。


「ところで、リヴィとルミネは?」

「あ、そうでした!その話しなきゃでした」


ライカはスカートの裾をパンパンとはたきホコリを落とし終えると、話し始める。


「えっとですね。ルーちゃんに折檻されてる時に幻霊が不意打ち仕掛けてきて…………そのまま攫われちゃった訳なんですよ。カメラで証拠はなんとか残しておいたんですけど…………」

「あれ壊されてたぞ」

「がびーん!お、お宝データがぁ…………」

「そっちかよ!まぁ、セスタさんに修理して貰ってデータも復元したから大丈夫だ」

「えっ、本当ですか!?やはり先輩は神です!いえ天使です!」


そんなアホなやり取りをしていると、リコが疑問を呈す。


「それじゃあ…………レイさん以外の便利屋の皆さんは捕まったってことなんですよね」

「そうですよ!縛られて放置されたんですよ、おまけに食事にサフランも付けてくれないんですよ!?酷くないですか!?」


それ、普通。そんな頻繁に食卓にサフランは上がらない。


「いや、サフランはいいんですけど…………どうしてライカさんは逃げられたんですか?」


リコの言う事ももっともだ。こいつが逃げられるくらいなら、リヴィやルミネも逃げられると思う。だって、アホだし。


「あっ、それはですね…………あの、私って羽付いてるじゃないですか」

「付いてるな」


力を失ってなお、その背中にはぴこぴこしている羽がくっ付いていた。


「縛られてたんですけど、羽のお陰で上手く固定出来なかったみたいで…………二日くらいかかったんですけど縄抜けできました」

「ザルじゃねぇか」


ベノムの時は呪いまでかけて束縛していたというのに…………。意外と抜けてるのか、スペクター…………。…………でも、抜けててくれてた方が作戦の成功率は上がる。二つの仕込みは…………まだ、気づかれてないはずだ。


「予定とはちょっと違うけど…………ライカの能力から取り返すか」

「えっ!?取り返せるんですかっ!?私の能力を取り返す事が出来れば、きっとルーちゃんとリヴィりんも助けられるはずです!何が何でも取り返しましょう!」


爆弾取り戻してどうしたものか…………。でもまぁ、戦力が一人増えるだけでも御の字だし、他のあても今のところないし…………。仕方ない、やろう。


「とは言っても、どうやって見つければいいのですか?」

「そこなんだよなぁ…………なんか、分かりやすい目印でも」


ズドォォォォォォォンッ!!


「って、うぉっ!?」

「な、何ですか!?」

「…………あ、あれってもしかして」


話を遮って鳴り響いたのは、とんでもない爆音だった。そして、視線の先から爆煙が上がる。


…………爆煙が、上がる…………?


「…………ライカ」


ライカに目を向けると、コクリと頷く。


………………。


「「私の(ライカさんの)能力見つけましたっ!!」」

「よっしゃ行くぞゴルァァァァァ!!」


わ…………分かりやすーっ!

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