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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
三章.雪月花の勇者御一行、異世界体験!
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54.おいでませトゥットファーレ

リヴィがいないので、歩くこと十数分。とらっかの重要さを改めて実感したのはともかく、目的地。そこは勿論…………


「ここが俺達の住居兼仕事場、便利屋『トゥットファーレ』だ」


…………そう、我らがトゥットファーレだ。


「ふわぁ…………すっごいねぇ」

「屋敷から見えたあのやたらめったらでっかい樹、玲達が住んでたの……!?ていうか家なの、これ!?」

「あぁ…………まぁ諸事情あって」


俺に与えられるはずだったチート能力を享受してすくすく育つ世界樹は、日に日にすくすく育ち、いや育ちすぎ。今や雲の向こうまで届きそうな高さになっていた。…………こんだけ育って葉を広げたら周りが日陰になってさぞかし迷惑なことだろう…………と思いきやなんか光ってるんだよね、(こいつ)。夜にはちゃんと消灯もする。…………こんな凄いもの家にしてていいんだろうか、俺達…………。


「それで…………便利屋…………便利屋…………名前が出てこないんだけど」

「トゥットファーレ」

「とぅっと…………ふぁー、れ?」


ふっ、言いづらくて戸惑っているようだな…………因みに俺は練習の甲斐あって噛まずに言えるようになったぞ!自分の店紹介する時に名前言えなきゃ困るもんな!トゥットファーレ、トゥットファーレ、トゥットファーごほっごほっ!む、むせた!


「なんか言いづらいね~。略称考えたら?」

「…………まぁ確かに、一理あるな」

「とぅっと………綴り的にtuttofareかしら…………。TTとかTFとかでいいんじゃない?」

「とぅっとふぁーれ、とぅっふぁーれ、とぅふ…………あ、豆腐」

「おい待て後者」


『異世界便利屋、TT!』とか『異世界便利屋、TF!』はちょっとかっこいいけど『異世界便利屋、豆腐!』とかパワーワードすぎるだろ!でもその方が一般の方々に覚えて貰えそうで悔しい!俺にもセンスがあれば…………!『()()界便利屋、()ゥッ()ファーレ!』からとって『いせとと』位しか思いつかん、豆腐よりインパクトに欠ける…………。


「んじゃ豆腐で~。その豆腐さんではどんなお仕事をしてるんだい?」

「仕事?そうだな…………」


ペンダント奪還から始まり、勇者の後始末。七賢者退治、パセリの街作り、公園作り、そして異世界案内…………。


…………色々ありすぎて語り尽くせん。っていうか、この短い期間にこんなに濃い出来事が沢山起きたんだな…………。なんか、よく俺達これ解決出来たな…………感慨深いわ。


「…………まぁ色々だよ。モンスター倒したり、捜し物したり」

「なるほど…………。色んなことしてるのね」

「何でもするのが便利屋だからな」

「じゃあじゃあ、何でもお願い聞いてくれるの?」

「訂正、何でもはしない」

「えー、ケチンボ」


こういう『絡んでくるオジサン』タイプの人間の前で何でもするって言っちゃダメだな。どんな要求をされることか…………


「『三回回ってワンって鳴いて』とか『四つ葉のクローバーを見つけるまで帰らずに探して』とか頼んでみようと思ったのにー」


ほら見た事か。ドS、この人はドSです。天然畜生です。


「…………とりあえず、中入って見てもいい?」

「あぁ、応接室もあるからどうぞどうぞ」


そう言って、六花を案内する。すると、クッキーはニヤニヤとした表情を浮かべた。


「へっへ~、男の家に単身入っていく女の子…………これはこの後濃厚な展開が予想されますなぁ」

「ちょっ、きいろ!?」


顔から火が出るとは、正にこの事を言うのだろう。六花の顔は一瞬にして茹で上がり、身体を震わせながら俺とクッキーの方を交互に見る。


「ななななな何言ってんのよあたしとこいつなんて不釣り合いというかいや違とにかくそんな展開ないから!ないからっ!!」


いや、そりゃ…………俺みたいな奴とのそういう話をされるのは心底恥ずかしいし嫌だろうけど、ここまで露骨にされると少し落ち込むな…………。


「も~、はなちゃん。冗談だって冗談」

「あんたの冗談はシャレにならないのよ…………あぁ暑っ…………そして熱っ…………」

「ま、まぁ俺以外にもリヴィとか中にいるし、男だけの家じゃないから。っていうかクッキーも中入るだろ」

「あ、バレた。あわよくば…………と思ってたんだけどなぁ」

「…………そうか、玲って女の子と同棲してるのか…………チッ」


さっきまで赤面していた様子は何処へやら、何故か急に六花の顔に影が差す。しかもなんかめっちゃ小さな声でしゃべってたから全然聞こえなかったけど、なんか舌打ちされなかった?


「なんて言ったんだ?」

「…………別に」


結局、その言葉の真相を知ることは出来なかった。気になるけど、忘れることにするか………………。


【便利屋内部】


「ただいまー…………あれ?いない?」


いつもなら『おかえりー』とか『おかりー』とか『マキャベリー』とか『曲者だ~!であえであえ!』とか何かしらの反応が返ってくるのに、反応無し。ってことは、いないってことだよな…………。説教されてるはずだから全員寝てるって訳でもないだろうし。


「わー、ひろーい!こんな豪勢なとこに住んでるなんてやるじゃん、しずくん!はなちゃん住んでも広々快適空間だよ、やったね!」

「住まないわよ何言ってんの!?」


落ち着いていた六花の顔の色は再び真っ赤っか、全力の否定をクッキーに行う。…………なんか、やっぱりここまで拒絶されると堪えるなぁ…………だからといって『一緒に住む』って言われたら困るし。うーむ、我ながら複雑な心境だな…………。


「とりあえず応接室に案内するから。ほら、こっち」

「あ、ぅぅ…………こ、こっちね」

「はいほ~い」


RPGの勇者御一行状態で、応接室へ到着。人数分の椅子を出して、座らせる。


「じゃあ、お茶入れてくるから」

「お~、家庭的男子!」

「うっせ」


クッキーの冷やかしは軽くあしらい、お茶を入れるためリビングへ。しかし、リビングはいつもと違う様子が広がっていた。


「あれ?なんで机の上に台が?」


そう、いつも高い所にある物を取る時に使う踏み台が何故か机の上に置いてあったのだ。…………ん?待て、それだけじゃないな。


「これは…………書き置き?」


その台の左横に、『イラ』と書かれた紙が。イラ…………?イラ…………依頼?緊急の依頼が入って出かけたのか?だとしたらいない理由も説明がつくな。多分そうなんだろう。


「じゃあとっととお茶を入れて…………はぶっ!」


歩き出した俺は、何かにつまづいて盛大にすっ転ぶ。誰だよ床に物置いたやつ…………俺は何につまづいたんだ?


「いつつ…………って、これ…………カメラ?」


そう。俺が足を引っ掛けたのはライカのカメラだった。


「これ、あいつの大切な物じゃなかったのかよ…………」


なんとはなしに、カメラの電源を入れてみる。


「あれ?…………起動しないな」


何度スイッチを押しても、カメラはうんともすんとも言わない。誰がどう見ても、故障と言える状態だった。


「どうすんだよ、これ………………ん、裏になんかシールが貼ってあるな」


シールには『壊れたら先輩(サポート)に修理に出しましょう!天界との通信用装置を使うんです、忘れちゃダメですよ、私!』と書いてあった。…………まぁ壊れたらサポートへっていう旨を書いておくのはいいけど、天界との通信のやり方を忘れるとしたらあいつは究極のバカだろ…………コスモスバカだ。まぁそんなことはともかく。通信用装置って、リビングの棚に置いてあるアレだよな?


「お、あった」


わかりやすく『てんかいよーつーしんそーち』と書いてある装置を発見。漢字で書け、漢字で。そんなことを思いながら、スイッチを入れる。


『セツゾクチュウ…………セツゾクチュウ…………チョットマッテネ』


機械音声とはまた違う、特徴的な音声が流れる。それは、この装置が魔法を動力源として動いているからだろうか?なら、魔法音声と呼ぶべきなのかな。


そんなことを思っていると、さっきまで赤色に光っていたランプが緑色に変わる。


「オペレーションコンプリート!ビデオツウワヲカイシシマス」


すると、画面が切り替わっていく。完全に切り替わって映し出されたのは………………


「ふぁぁ…………どうしたのよ急に。定期報告はまだ先でしょ?何もお風呂上がりにかけてこなくて…………も…………!?」


…………映し出されたのは、バスタオル一枚、肌も髪もしっとりと濡れた際どい姿のセスタさんだった。


…………いやこれ、どう反応しよう…………。

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