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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
三章.雪月花の勇者御一行、異世界体験!
50/110

47.冒険→謁見→大事件

「ねーねー、死霊術ってどうやるの~?」

「そうね、実演してみるわ。えっと……はい」

「うわっ、グロテスクだねぇ」

「ふっふっふ…………これぞ必殺、『乱舞する腐肉』よ。相手に精神的ダメージを与えるの」

「…………ネクロマンサーって、そんな陰険な職業だったの……?いや、元々闇属性って感じはするけど……」


ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ。


「それと、ライカ…………だっけ」

「はい!合ってます!何でしょうか?」

「その、あんたが三人居るように見えるんだけど……あたし、疲れてるのかな」

「気のせいじゃないですよ!この子達は量産型ライカチャンc.cって言って、凄い高性能な爆発物なんですよ~」

「ライカちゃんライカチャンなんか持ってきてたの!?ここでそれはやばいよ、早く仕舞いなよ!!」

「………………テロリスト?」


ワイワイガヤガヤ。


…………………………………。



「………………いつまでぐだぐだしてるんだよお前らっ!?」

「あ、レイいたのね。存在感が希薄化してて気づかなかったわ」

「そういう問題じゃねーよ!お前ら既に話し始めて一時間が経過してるぞ!?お嬢様に会うっていう当初の目的はどうしたんだよ!?」

「だって呼びに来ないんだもの」


……待合室に通されて、早一時間。ガールズトークは盛り上がり、会話に花が咲きまくった。それはもう咲きまくった。花畑を幾つも作れるくらいに。…………置いてけぼりにされている俺を除いてね!まだ終わんねーのか話!呼びに来ないエクレアさんもアレっちゃアレだけど、それでも静かに待ってるのがこういう場での礼節じゃ…………


「お待たせしました」

「うわっエクレアさん!?」


噂をすれば天井裏から冥土系メイドさんが!?貴女、忍者修行もしてきたんですか!?


「あ、エクレア」

「どうやらチキュウの皆さんと意気投合されたようで何よりです」

「バリの知り合いだったからね~」

「それは、なんと…………!ロマンチックですね、エクレアさんそういうの大好物なので、もっとイチャ話とか聞かせてください」


…………エクレアさん、やっぱりそんな感じが素なのか…………。相変わらずの無表情だけど、よく見ると鼻から少し赤いものが垂れてきてるし。


「い、イチャイチャ…………!?こ、こいつとはそんな関係じゃないわよ!玲とあたしはその…………ただの友達、ぜんっぜんそんな関係じゃないんだからっ」

「「ツンデレいただきました」」

「意気投合すんなきいろとエクレア!本当にもう……ほんっと……ばかぁ!」

「「ご褒美です」」

「うるさーい!!」


仲いいなぁ……。


……でも、イチャイチャってなんだ?そんな流れはなかったし、そういう関係の人もいなかったはずだけど…………まぁ、いいか。


「その~エクレアさん……お待たせしましたって言うのは……」

「あ、そうですねルミネさん。完全に忘れてました。お嬢様のピアノのレッスンが終わりましたので、お嬢様に謁見する準備が整いまして。それで、呼びに来たわけです」

「なるほど……いよいよお会い出来るんですね」

「はい。ハナさんとクッキーさんもお嬢様がお呼びですので、ご同行願います」

「あ、そうね。あたし達も会う予定だったわね」

「ふっふっふー、お嬢様って、いつ見てもいいよねぇー。The・ファンタジーだよー」


お嬢様にお会い出来ると聞いて、少し緊張して背筋が不自然に伸びてしまう。いや、それは喜び半分、恐怖半分なんだけどね……。


「勿論、お嬢様にご無礼を働いた場合はその場で即下半身を使い物にならなくしますので。良くて不能、悪くて尿瓶の日常的使用レベルまで潰しますので」

「「「「(言葉も出ない)」」」」


…………今ので恐怖100%になりました、お嬢様との面会。やっぱりこの人、表情一つ変えずにナチュラルにとんでもないこと言い出すのがすごい怖い…………!


「まぁお嬢様は心の広いお方ですのでよっぽどの事がなければ大丈夫だとは思いますが…………過去に数人、教育(処刑)を施さざるを得なかった方がいましたので、一応」

「「「「(返す言葉もない)」」」」


実例、あるんだ……脅してそういうことを未然に防いでるだけかと思ったら、思いっきりあるんだ……。ま、まぁ……よっぽどの事がなければ大丈夫って言ってたし、大丈夫…………


「あ、あの~……ちなみにどんなことをした人が教育(処刑)されたんです?」

「そうですね……一例としては、爆発物で謁見の間とお嬢様の私物を破壊した人とか、緊張しすぎてドアをノックする時に数百万円するドアを怪力で破壊してしまったのにお金も払えなかった人とか、お嬢様に腐ったものを献上した人とかですかね」

「………………おい」


その言葉を聞いた便利屋女性陣は、皆一様に目を背ける。


「………………大丈夫です、ライカちゃん最近は適宜魔力放出してるので、急にぼかーんはないと思います……ライカチャンも帰らせましたし」

「わ、わたしは流石にこういう場では力抜くよ!?だ、大丈夫だよ!?」

「…………………………」

「おいなんか言えよリヴィ」

「(吹けもしない口笛を吹く真似をする)」


こいつら、先に上げたNGだった事例全部やらかす可能性あって怖いんだけど……流石にないよな……ないよな……なんかリヴィ怪しいけど……。


「…………どうかされましたか?」

「あっ、いえ何でもないです。うん。大丈夫大丈夫」

「何やら深い事情がお有りのようで~」

「というよりは底なし沼のような事情に見えるけどね…………理解したくないわ、正気度が削られそうだから…………」

「くとぅらーですな」


六花さん、辛辣ですね。と言うより何故それ関連の知識を持ってるのさ?そういう趣味だったっけ……?俺が知らなかっただけか……?


「それより、早く面会よ面会。早くプレゼントを渡した…………いや、お会いしたいわ」


………一瞬言葉を濁したのを、俺は見逃さなかった。


「『憑依』」

「あっちょ、うさちゃんに憑依した!?」

「え、何今の?きいろ分かる?」

「ふーむ、この私の観察眼を持ってするに…………幽霊が使える憑依スキルだと思う~」

「は?え、ちょ、幽霊?え、どういうことよ」

「あー、そうですね~………それにはGODZILLAよりもスケールの大きく山よりも高く海溝よりも深い訳がありまして~……まぁ、レイさん死んだままなんですよ、肉体。実体化してはいますけれども」

「…………は?」


六花が理解に苦しんでいるのはとりあえず置いといて、リヴィ版四次元ポケットのうさぎに憑依。絶対中に碌でもない物が…………あ、あった。


「『憑依解除』」

「あっ出てきた………………うわぁ」

「………………これは酷いですぅ」

「おいリヴィ。これ、なんだ?」

「……………………ラッピングした………………マグロ、かしら~」

「そうだよ何でこんなもん持ってきてんだよ!?」

「プレゼント用に…………ね?」

「ねじゃねーよお前さっきの話聞いてなかったのかよ!」

「どこまでがNGラインなのか試したくて…………」

「その為に自分の下半身をかけないでくれこっちも気分悪くなるから」

「ちぇー」


やっぱりこいつ、とんでもない命知らずだよな…………。いやただのアホと言うべきか…………。


「…………それは捨ててくださいね。さもなくば貴女の大事な部分は二度と何も入らないほどぐっちゃぐちゃに……」

「海へおかえり」

「あっなんか跳ねてどっか行きました!?何ですかあれ!?」

「キモっ!?」

「おー、シュール」


エクレアさんの言葉を聞いた瞬間、リヴィはマグロを野に放った…………いやそれでいいのか?でもゴミ箱にマグロが刺さってるよりかはマシか……。でもすれ違ったメイドさんとか驚くだろうなぁ……すまねぇ……。


「………えー、ではそろそろ行きましょうか。皆さん着いてきてください」

「了解です!行きましょう皆さん!」

「元気だねーライカちゃん…………」

「元気すぎて怖いけどな…………何やらかすか分かんねぇし…………」

「ねぇ、二人はお嬢様に会ったことがあるのかしら?」

「あるわよ」

「どんな人なの?」

「なんて言うか、純粋でいい人だし、面白い人って感じかな~」


そんな雑談をしながら、歩くこと十分。…………やっぱり広いな、この屋敷…………。まぁそれはともかく。


「こちらが謁見の間です。お嬢様がお待ちですので、どうぞ中へ。私は扉の前で見張りをしてますので」

「ありがとうございます、エクレアさん」

「いえいえ。ささ、中へ…………」


そう言って、エクレアさんは扉を開く。その扉の先にいたのは…………


「おぉ…………!」

「あれが…………!」

「お嬢様…………!」

「ですね…………!」


…………美しい緑色の髪、艶やかな唇、整った顔立ちの三拍子揃った非の打ち所のない絶世の美少女だった…………!


そして、お嬢様が口を開く。その唇から紡がれたのは…………


「よくぞお越しくださいましたブタのように素敵なお客人方!犬のように無様に鳴きながら是非わたくしにそのくだらない最高のお話をお聞かせくださいませ!」

「「「「「………………えっ」」」」」

「…………ぐっ」


…………そんな言葉だった。


……………………いや、何これ?

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