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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
二章.建築業者系アルケミスト、始めました
30/110

28.目的地はミステリー・タウン?

「という訳で、解決策見つかりました!これからそのマジックアイテム探しに行ってくるです!」

「ごめんパセ何がという訳でなのかわからんパセすまんパセ」


……そりゃそうだろう。解決策を握っていたのは何の変哲もない一般幼女だったんだから。


情報を何とか得て、ミジンギさんの所まで戻ってきた俺達。情報を掴めたって伝えた時はそれはもう太陽の様な笑顔を見せていたミジンギさんだが、諸々の過程を伝えるとその笑顔は段々疑問へと変貌していった。当然だ。


「えっと……それって、本当パセ?もしガセだったら、その、あの……」

「ガセでも問題ないわ、かの偉い人がこう言ってたもの」

「偉い人?」

「『虱潰しに可能性を辿ればいつかは目的達成できる(その前に自分が死なないとは言っていない)』って……!」


おい最後の一文。それさえ無ければ普通に名言っぽいのに、余計な物付け加えんじゃねぇよ……。


「By ストロンガー」

「発言者ストロンガーさんかよ!?」


いつだって忘れない、ストロンガーさんは偉い人。

……そんなの常識。


「えっと……何かよく分からないけど、キミ達がOKなら遠慮なく頼ませてもらうパセ。本当に大丈夫パセか?」

「大丈夫ですよ、ミジンギさん!」

「はい!私もおーるおーけーもーまんたいです!ばっちぐーです!」

「大丈夫だ、問題ない」

「お前それフラグ」


何故こいつらは別の世界のネタをちょくちょく挟めるのだろうか……?誰か他にも転生者がいて、そいつが広めてんのか?あ、俺転生者じゃなかった。厳密に言うと、()()()だったな、俺。どうでもいいけど。


「でも……あの洞窟に行くパセよね?」

「あ、はい。あの洞窟って言ってもどの洞窟だか分かんないんですが……あはは……」

「え?あの洞窟パセよね?」

「はい……名前が分かんなくて……」

「えぇ?今名前言ったパセよね?」

「え?え、えぇ?」


何かルミネとミジンギさんの会話がすれ違っているような……。ん?待てよ?「名前を言った」「あの洞窟」……もしや。


「あの、もしかしてミジンギさんの言っている洞窟の名前って」

()()洞窟って名前パセ」


やっぱり。


「えっ……あれ名前だったの……」

「アノ洞窟……名前は聞いた事あるです、確か隣町近くの洞窟ですよね」

「そうパセ。あそこに行くとなると一日はかかるから泊まりか野宿前提パセ」

「隣町……ネイブの街ね」

「ネイブ?」


何か知らない名前が出てきたぞ……っていうか、俺この街から出たことないな、そういえば。一応その街の事を聞いておくか。


「ネイブの街ってどんなとこなんだ?」

「えーっと……今天界の情報にアクセスして調べますねー……おっ、あったです!なになに……『たのしいたのしいまちです(棒) ――ネイブ観光協会公式ガイドブックより抜粋』だそうです」

「すまん微塵も分からない」


ガイドブックがそれでいいのかよ。良くねぇよ。


「……この中で、ネイブの街に行ったことある人、いる?」


しーん。


へんじがない。ただのむじょうほうのようだ。


…………。


…………先行きが不安でならない…………。

















「ふんふんふーん♪ふんふーん♪ふっ……ふふふ、ここで華麗なドリフトよ!」

『やったるですぅ!』

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」

「ゆれ……うぷ……ビニール袋は友達、怖くないよてす……おほっ……ほほほ……うぷ」

「……完璧ね」

「何が完璧だバカ!危ねぇだろ!」


あの後、結局ネイブの街に関する情報が全く手に入らなかったのでとりあえず行ってみることになった。無論、とらっかで。


「あっ……」

「どうしたのリヴィちゃん?」

「レベルが上がったわ」

「何故!?」

「モンスターを倒す以外にも、経験を積むことでレベルは上がるのよ。この場合、とらっかちゃんを運転してるからレベルが上がったのね」

「ていうかこの世界レベルの概念あったのか!?」


初耳だぞそれは!?

とりあえず、今までずっと財布の中にしまい込んでいた冒険者カードを取り出す。そこには確かに、「レベル5」と示されていた。

……でも、ちょっと待て。


「俺これ貰った時ここにレベルの表示なんて無かったんだけど、どういうことなのリヴィさん」

「最初はレベルゼロだもの、表示されないわよ」


レ ベ ル ゼ ロ 。

……レベル1から始まらねぇのかよ、どこのスターゲイザーだよ、おい!

……つくづくこの世界、何かがおかしい。


「……ちなみに、皆のレベルは幾つなんだ?」

「私は7レベよ」

「わたしは……10レベだね」

「私は~……あ、あの……レベ……うえ」

「無理すんな」


……それより皆さん、何かレベル高くない?

……でも、よくよく考えれば俺まともに戦闘してないような……これは修行が必要なのか……?


「それにしても暇ね」

「あとどの位なの?その街って」

「この調子でいくと……明日の昼あたりかしら」

「隣町ってレベルを逸脱してるなそれ……」

「うぷぷ……きもちわるい……も、もうむりでしゅ……ぐふ」


そして、喋ることも無くなり沈黙が訪れる。

……。

…………。

………………。


「暇だ!」

「暇!」

「暇ね!」

「(気絶)」


この調子であと一日耐えられる気がしない!アホみたいに暇だ!どうするよこれ!


「あーもうなんかモンスターでも何でもいいから面白いの出てこないかなマジで!?」

「本当本当……ん、あれ?前になんかいるよ」

「え?あっ……本当ね。えーっと、何かしらあれ……」


何かが目の前にいる。とりあえず声だけでも聞こえないか、耳だけ済ませてみると……。


「ニンゲンダ!ニンゲンダ!コロシテ、クッチマオウ!」

「ウィィィィ!」

「シャァァァァ!」

「「「怪物(モンスター)ー!?」」」

「(気絶)」


やべぇよフラグ立ててたら本当に出てきちゃったよどうすんのあれ!?


「す、すすす直ぐに臨戦態勢に移らないとあれじゃない!?」

「と、とととりあえず落ち着いてあれは何だか確認しないと」

「ローゴブリンよ!力が強いやつ!ルミネの半分位のパワーを持ってるらしいわ!」

「んんん!?それ強いの!?弱いの!?」

「ガーゴイルと同じくらいの力らしいわよ!?」


そんな例え持ってこられても!あとルミネ何者!?


「コロスコロスコロス!ヤツザキダ!」

「ヤツザキ!ヤツザキ!」

「シャァァァァ!」

「ひぃぃぃぃぃぃ!?」

「とらっかで轢いて倒せないのか!?」

「無理よ!あのパワーじゃとらっかごと投げ飛ばされるわ!」

「(気絶)」


それ打つ手ほぼ無いじゃん!どどどどうすれば!?


「トツゲキダー!」

「ウォォォォォ!」

「シャァァァァ!」

「「「こっち来たー!?」」」


ど、どどどどどどどどどどうしようこここここれマジで死んでしまうやつではなさけないやつでははははは


「も、もうダメ……!」


死を覚悟して、皆が目を瞑る。


「ほいっと」

「エ」

「ハ」

「シャァァァァ!?」


………………ん?

聞こえてきたのは、俺達の肉が裂ける音じゃなくて、向こうの困惑したような声。え、えーっと……ど、どうなってるんだ、これ?

目を開けると、そこには……!


「ローゴブリンなどお手の物、お呼びとあらば地の果てからでも即登場、皆大好きストロンガーさんだよ」


……ストロンガーさんが、いた……!


「えっ……?えっ!?」

「す、ストロンガー……さん……なの?」


どうやって現れたのか、ローゴブリン達を抱えあげるストロンガーさん。そして……


「ダイナミックストロンガーシュート改ッ!!」

「グァァァァァ!?」

「ウゴォォォォ!?」

「シャァァァァ!?」


投げ飛ばした。……いとも、簡単に。


「………………すごい」

「……今ので全員死んだわよ……ネクロマンサーのカンがそう言ってるわ」

「本当にあの人何者だよ……」


ストロンガーさん、やはり最強説……いやちょっと待て、何でストロンガーさんは俺達の危険を察知して助けに来てくれたんだ?


「ふぅ……呼ばれたからには、張り切らなくちゃいかなかったからね。全員やっつけたよ」

「あ、ありがとうございます。あと……あの……こんなこと聞くのも何なんですけど、俺達、ストロンガーさん呼びましたっけ?」


そう、疑問点はそこだ。さっきも「お呼びとあらば」って言ったけど、俺達ストロンガーさん呼んでないような……一体どう言う……


「あぁ、それ。確かに呼ばれたから来たよ。自分達の発言をよく思い出してみて」


俺の発言じゃなくて、俺達の発言……?


……俺達が、ピンチになってから交わした言葉……


()、すすす直ぐに臨戦態勢に移らないとあれじゃない!?』

()、とととりあえず落ち着いてあれは何だか確認しないと』

()ーゴブリンよ!力が強いやつ!ルミネの半分位のパワーを持ってるらしいわ!』

()んん!?それ強いの!?弱いの!?』

()ーゴイルと同じくらいの力らしいわよ!?』


…………あ。


「もしかして、そういう……?」

「お、気づいたようだね。そういうやつ。」


そんなあいうえお作文的な偶然にもセンサー働いて来てくれるの!?頼もしい反面恐ろしいな!?


「さて……それじゃあ」

「そ、それじゃあ?」

「このまま帰るのもアレだし、ネイブまで送ってあげるよ、一瞬で」

「「「マジですか!?」」」

「マジさ」

「(気絶)」


これ以上何も無い時間に神経をすり減らすこともないってこと!?貴方が神か!?


「それじゃあ……ほいっ」


ストロンガーさんがそう言った瞬間、周りの景色が歪む。歪みはしばらく続き、段々と落ち着いていく。歪みが完全に消えると、そこは……


「あっ!『ようこそネイブへ』って看板があるよ、皆!」

「ってことは、ここがネイブの街!?」

「そのようね。ここ、街の入口っぽいわよ」


そうして俺達は、顔を上げる。すると、そこには広大な街の風景が広がっていた……!


……の、だが。


「これは……」

「……呪われてるわね」

「呪われてるな」

「(気絶)」


……どんよりとした瘴気が立ち込める、どう見ても呪われた街だった。

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