27.見えた道筋を辿って
「魔力をいっぱい出してくれるマジックアイテムなら、わたし知ってるよ!ある場所とか!」
なん……だと……!?
シフォンちゃんの口から飛び出した、衝撃的な発言。え、ちょっ、ま、ままマジで言ってるの?ととととりあえず審議の確認から
「えっと……シフォンちゃん、どゆこと?お、お姉さんちょっと詳しく聞きたいなーって……」
「友達のすーちゃんが言ってたの!『ねえしーちゃん、世の中には魔力をたくさんたくさん出してくれるマジックアイテムがあるんだって。しかも!それ、近所のあの洞窟にあるんだって!いつか探しに行きたいね!』って」
すーちゃん何者だよ。何で知ってんだよ。……ん?待てよ?「すー」ちゃん?すー……スー……スト……まさかな。そんな事ないよな、うん。でも一応念の為聞いてみよう。一応ね。一応。
「あのさ……シフォンちゃん」
「なぁにおにーちゃん?」
「その『すーちゃん』って……ストロンガーって名前じゃないよな?」
「だれ?その人」
セーフ!良かった例の神出鬼没系万能勇者じゃなかった本当に良かった!ここで例の勇者出てきたらいよいよあの存在に恐怖を覚えてSAN値が減少するレベルだったぞマジで!
「……その情報は正しいの?シフォン」
「うんっ!だって、前あの洞窟の前通ったけど、なんかぴかーって感じだったもん!ぎゅんぎゅんでどっかーん!じゃん、しゃきーん!って感じだったもーん」
どういうことなの。擬音語が多いよシフォンちゃん。
……でも、嘘言ってる感じではないんだよなぁ……今もこちらに純粋無垢な輝く瞳を向けてきてるし。眩しくて溶けそう。これを疑うのは人としてどうかって感じだな……
ちらっと、他の三人を見やる。……リヴィとライカは意図を理解できてないようできょとんと首を傾げているが、ルミネはちゃんと分かっているのか小さく頷く。
だったら、やる事は一つだよな。
「シフォンちゃん、情報提供ありがとう。じゃあ、俺達ちょっとその洞窟まで行ってくる」
「土産話持っていくから、楽しみに待っててね」
「うん!待ってるね、ルミネおねーちゃん、リヴィおねーちゃん、ライカちゃん、えーっと……れ、レキおにーちゃん?」
「私だけおねーちゃんじゃないんです!?」
「俺の名前違くないですかシフォンさん!?」
覚えられていなかったのは地味にショックだ……レキ……轢?そんなに小さい男ですかね、俺………。
「……お前達、やっと出てきたのか」
「遅いですよー、ナナちゃん、怒っちゃいますよ?」
「あれ?ハルバさん?ナナちゃん?」
シフォンちゃんから情報を得て、ディアブロとフェルに見送られて城を出ると、そこにはハルバさんがいた。あれ……一緒にいたと思ってたのに…………まさか忘れてた?置いていった?
「あれ一緒にいたはずなのに何で玄関に!?ホラーです!?」
「心霊現象なの……!?」
「違うわお前等が私の事忘れて飛び出して行ったんだ!!その結果私は温泉で心を癒さないとやってられなくなってナナと一風呂浴びてきたんだぞ分かるのかこの気持ち!?」
「気持ちよかったですねー」
「えっあっ……ご、ごめんなさい」
やばいぞ、やっぱり忘れてた。素で忘れてた。今まで色々カオスの嵐に巻き込んで精神が疲弊していた所に忘れられたショックが加わってハルバさんがおかしくなってるぞ……どうすんだこれ……いや俺達の責任じゃんどうするの俺達。
「温泉行ってきたんです?」
「ああ、そうだ。髪濡れてるから見ればわかるだろう」
「そうですね~……そういえば、髪で思ったんですけどハルバさんっていつもフード被ってますよね」
「え?あ、ああ、そうだな……うん」
フード……確かに、記憶の限りハルバさんはいつもフードを被っている。何か理由があるのかな?
「何でいつもフード被ってるんです?その下が見てみたいです」
「……それは勘弁してくれ、色々あるんだ」
「そうですね~色々ありますよねハルバさ~ん」
「ナナ、余計な事言うなら私はヴラド公になるぞ」
「串刺しってことですか!?すみませんごめんなさい許してください~!!」
何やら、ナナさんはフードの下がどうなっているのか知っている様子。一緒に温泉に入ったって言ってたし、その時に見たのかな?まあ、本人が嫌がってるし詮索はしないでおこう。後が怖いし。
「ところでお前達、話は片付いたのか?」
「ええ。ルミネが錬金術で街を造ってマジックアイテムで魔力供給、それを探しにいくのよ」
「なるほど……何となく分かった」
これで分かるのかハルバさん。流石常識人枠強い。
「じゃあ、私達とりあえず魔力供給用のマジックアイテム探しに行かないといけないのでこれで」
「……待て」
「え……?」
ハルバさんは、行こうとした俺達を呼び止める。その表情は、さっきまでの困ったような顔と違って、真剣なものだった。
「少し話がある」
「は、ハルバさん……?」
「……話って、何かしら?」
「私は今まで、いやお前達と会ってから今日まで散々振り回されてきた」
「「本当にすみませんでした」」
ルミネと二人で地に頭を着け、謝罪する。そう、土下座である。
迷惑ってレベルでは済まない迷惑を押し付けてしまったのは他ならぬ俺達だならもういっそ殺されるのも厭わないだから
「久しぶりにこの街に帰ってくれば私が苦労して手に入れた土地は占領されてるわ変な奴ばかりと関わりが出来るわ挙句の果てに忘れ去られるわ……本当に酷い目に遭った。……でも、それを経てお前達が悪い奴では無いということも分かった」
殺すなら殺……え?
ハルバさん、今……なんて?
「お前達は、確かに迷惑だ。変人だし、周りを見境なく振り回す。……でも、お前達は他人の事を大切にして生きている。迷惑は掛けさえすれど、最終的には他人の為に奔走できる。お前達を見ていたこの数日間を風呂でゆっくりと振り返っていて、そう感じたんだ」
「……ハルバさん……」
「お前達は家が無いんだろう?最初はこんな奴らに私の土地を渡してなるもんかと思っていたが……お前達が人の為に働くなら別だ、あの土地は好きに使うといい」
「ハルバさん……!」
ハルバさんカッコよすぎるでしょ……なんだこのイケメ……いやイケウーマン?めんどくさい、イケメンで。そして優しすぎるでしょ……人の土地に勝手に施設造った人にその土地を普通譲れるか!?慈愛の女神すぎる!ハルバさんイケメン女神!
「その代わり、条件がある」
「……条件、ですか?」
「あぁ。実はあの土地、元々子供たちの為の公園を造る予定だったんだ」
「そうだったんですか?」
「そうだ。でも、お前達が来たせいでそれはおじゃんになっただろう?それを友人に相談したら、土地を譲ってもらえたんだ」
「……それで、条件って何かしら?」
「土地を譲ってもらうっていっても、タダでは行かなかった。当然だ。それで、公園の建設費用があんまり無くなってしまったんだ……」
「……つまり、依頼って」
「大した礼も出せないので虫のいい話だということは分かっているが……お前達に、公園を錬金術で造ってもらいたい」
「…………!」
その言葉に、ルミネが息を呑む。自分の胸に手を当てて、何かを考えているように見える。
「……結構魔力的に辛いと思うけど、大丈夫かルミネ?」
「いけるかしら?」
「無理なら本業じゃないのであんまり得意じゃないですけど私が錬金術で何とかするので、無理しなくて大丈夫ですよ?」
ルミネは胸に手を当てたまま目を閉じ暫く考え込むような動作をする。
暫くして、その目が開いた。
「わたし……やってみます。いや、やらせてください」
「……ありがとう。本当にすまない」
「ハルバさんが謝ることないですよ、わたしが選んだ事なので」
そう言うルミネの瞳は、決意に満ちていた。
「それじゃあ、決まりね」
「そうだな。それじゃあ、さっそく……」
「マジックアイテムを探しに行きましょー!!」
「「「おー!!!」」」
依頼「W作戦!造れ夢と希望!!(私が名前考えました!えっへん!)」開始!
依頼名を考えたのは、お察しの通り例の馬鹿コンビの片割れです。それでは、また来週。




