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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
二章.建築業者系アルケミスト、始めました
28/110

26.幼女は要職よりも強し

「しょ……正気なの、みんな……!?」


おっと、開幕から酷い言い草ですね、ルミネさん。

……まぁ、今回の解決案は正直正気を疑うレベルではある。なんたって……

()()()()()()()って言うんだから。


ミジンギさんの依頼を解決するための案出しに、魔王城を訪れた俺達。そこには当てにしていた魔王はいなかったのだが、ディアブロさん達と討議をしていると、一日魔王体験中のシフォンちゃんから衝撃の一言。


『ルミネおねーちゃんってアルケミストなんだよね?シフォン知ってるよ、アルケミストって物とか創り出せるすごーい職業なんだよね!そんなアルケミストのおねーちゃんなら、魔法で街だって作れちゃうよ!』


あの時は思わず『それだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』と言ってしまったけれど、よくよく考えたらヤバいやつじゃね、それと。だって、ゴーレム造るならまだ分かるけど、街て。今どき小学生でも言わねぇよ、最近。そんなことに挑戦しようとしてる(させられる)ルミネ超偉い。もっとがんばれ、超がんばれ。

……とか言ってる場合じゃないですね、ハイ。


「さすルミ」

「さすルミですね!街造れるとかハンパないです!」

「さすルミって何!?何で出来る前提で話が進んでるの!?」


今日も馬と鹿コンビは絶好調だな、おい。盛り上がりすぎだ、あと何故お前らはそのネタを知っている。


「え?出来ないの?」

「当たり前じゃん!!」


そらそうだ、そんなこと出来るわけ……


「そんなこと絶対……大体…………多分………………七割方無理だよ!」

「あれ三割方出来るの!?嘘ぉ!?」


そんな常軌を逸したこと三割で成功出来るの!?ルミネさん最強説ふじょ……あ、ストロンガーさんがいたわ……二強説浮上?

……いやんなことどうでもいい!とりあえず出来るって言った事を聞かなくては!


「お、おいルミネ、七割方無理ってことは完全に無理じゃないって事だよな?それって、一体どういう……」

「あー……分かった、順を追って説明するね。二人も聞いてね、踊ってないで」

「ほへ?」

「?」

「……ねぇフェル、私達完全に忘れられてない?」

「……これが、ほうちぷれい……なるほど、きっさのちょうじょがいってたやつ、これか、うん」

「絶対に違うと思うよフェル」

「おねーちゃんたち、難しいおはなししててすごい!おはなしがんばって!」


すまん……結局四人のコントになってしまって三人とも本当に申し訳ない……


ちなみに、さっきルミネが「踊ってないで」って言ったけど、あいつらはガチでふしぎなおどり踊ってた。アイツら曰く、『さすルミダンス』だそうだ。……こいつらの不治の病(バカとアホ)は治る日は来るのだろうか、いや不治だから治らんな。


そしてそんなことにかまけてる暇は無い、とりあえずルミネから話を聞こう。


「……で、説明って?」

「一応、私は複雑な構造の術式を編むのは得意だから出来なくもないと思う。普段の『一切動かせない』っていう欠点も建築物なら無視出来るし」

「じゃあ、本当に出来るのね……!」

「でも、これには二つの問題の解決が必要」

「問題ですか?」

「そう。まず一つ目は、『まず造るための魔力が足りない』っていう問題。私個人の魔力じゃ、絶対ムリ」


なるほど……魔力量の不足か。俺は魔法も何も使えないからよく分からんけど、確かにそれだけ大掛かりなもの造るなら魔力も大量に必要なんだろう。


「あーなるほど……あたし達の魔力分けても足りるか怪しいもんねそれ」

「……ふたつめのもんだいは?」

「二つ目は、『造った建築物に何らかの方法で永続的な魔力供給を続けなきゃいけない』ってこと」


永続的な魔力供給?


「あー……そういえばアルケミストってそうだったね」

「……うん、それ……だいもんだい……」

「そこまで考えが至らなかったわ……確かに問題ね」

「ですですぅ……」

「あの…………どういうことだ、それ?」


俺以外のみんなは納得したご様子。残念ながら俺は全く分からないので、ルミネに疑問を投げかける。


「え?……あっそうか、レイくんはアルケミストについて詳しく知らないのか。えっと……アルケミストって、攻撃に錬金術を使うよね?」

「使うな」


使わなかったらそれはもうアルケミストじゃないもんな。


「じゃあ、世界中のアルケミストは攻撃に錬金術を使うわけだけど……その後、錬金したものはどうなると思う?」

「え……?その場に残るんじゃないのか?」

「ハズレ。その場に残ってたら、世界中がガラクタだらけになっちゃうでしょ?」


言われてみれば確かにそうかもしれない。世界中のアルケミストみんながみんな、錬金術で造り出した物が残るとしたら、世界はガラクタの山になってしまう。そうなるなら戦いの後に残った錬金物は自分で処理しないといけないけど、ルミネは今まで一度もゴーレムを持ち帰って処理した事ないもんな。納得。


「っていうことは、錬金術で造った物体は込められた魔力が尽きると消滅するってことか?」

「そうそう。錬金術っていうのは、そこに無いものに魔力で実体を与えて、この世に顕現させる魔法だからね」

「つまり、もし仮に膨大な魔力で街を造ることが出来たとしても、その街を維持する魔力が足りなければ跡形もなく消滅するってことか」

「その通り。大正解だよ」


魔法があれば何もかも思い通りって思ってた時代もあったけど、魔法があっても均衡が保たれるように世界って上手く出来てるんだな……。

それはそうとして、先ずは眼前の問題解決だよな。


「じゃあ、膨大な魔力をどうにかして調達した上で、またどうにかして魔力供給源を造らなきゃいけないわけか……」

「そうだから問題なんだよね……」

「……むりげー、くそげー……」

「うーん……そんな膨大な魔力の源、どうやって調達したものか……」

「……さっぱり案が出ないわね……」

「ですねぇ……天才ライカちゃんをもってしても思いつかないです……」

「天災ライカちゃんでも駄目なのか……」

「待ってくださいレイさん字違くないですか言い方に悪意を感じたんですけど」

「うーん……どうしたものかねー……」

「無視して考え込むなですー!?」



一同、頭をフル回転させながら魔力の供給方法を考える。ここから先は端折るが、本当に色々な案が出た。ライカチャン魔力供給作戦は被害甚大なので却下、魔王様に魔力供給してもらおう計画は魔王がその内死ぬようなので却下、がんばる作戦は精神論なので却下……。


「全然駄目ですー!?もうこれ無理ゲーじゃないです!?どーやったらこの問題解決出来るんです!?」

「……だから、さっき……むりげーって……いった……」

「さっきから一歩も進めてないわ……」

「それどころかがんばる作戦とか後退してるように思えるのはお姉さんの勘違い……?」

「……うん、かんちがい。おねーちゃん、おねえさんじゃなくて、としm」

「それ以上言ったら焼くよ」

「……ごめんなさい」


白熱した議論は数時間続き、みんなの精神も疲弊しきっている。

一体どうすれば、いい手段が思いつくんだ……?


「ただいまー!あれ?みんなどうしたの?」

「あれ?し、シフォンちゃん?ただいまってどこ行ってたの」

「まかい」

「魔界!?えっ、ま、魔界!?」

「……あるけみむすめ、まかいってのはこのへんにあるだがしや。『だがしや・まかい』」

「ふがし買ったよ!」

「えっ!?あ、な、なんだ……びっくりした……」


なんとも紛らわしいネーミングだこと……。俺も普通に腰抜かしたわ、シフォンちゃん何者だよ!?って……。


「ところで、みんな疲れてるみたいだけど、なにかあったのー?」

「魔力を永続的に供給できる手段を探してるのよ」

「魔力をえーぞくてきにきょーきゅー?する手段?」

「そうです!簡単に言うと、魔力をいっぱい出してくれるものですね……そんなものあればいいんですけどね……」


シフォンちゃんに事の顛末を説明する二人。まあシフォンちゃんはまだ小さいし、相談しても何もアイデアは……


「…………なぁんだそんなことかぁ!それなら知ってるよ!」

「え」

「え」

「え」

「ふぇ」

「え」

「……え」


う、嘘だろ。ま、まさかそんなはずは……


「あ、あの、シフォンちゃん。知ってるって、い、一体……」


俺は恐る恐る尋ねてみる。すると、シフォンちゃんは屈託の無い眩しい笑顔で、


「魔力をいっぱい出してくれるマジックアイテムなら、わたし知ってるよ!ある場所とか!」


……それを聞いた瞬間、俺達は膝から崩れ落ちた。これこそ正に灯台もと暗し、いや違うな。この気持ちを表すなら、この言葉しかないだろう。合図したわけでもないが、俺達は口を揃えて言った。


「「「「「「幼女、強し……」」」」」」


その後、シフォンちゃんにとびっきりのご馳走とデザートが振る舞われたのは言うまでもない。

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