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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
二章.建築業者系アルケミスト、始めました
24/110

22.何とか売りの少女と蛇口に繋ぐアレ

「おはようございまーす!」

「おはよう」

「おはようございますいません」

「おはようごめんなさい」

「あぁ……お前達か……おはよう……」


馬鹿コンビは今日も今日とて元気、一方常識人(寄りだと思われる)俺達は今日も今日とて土下座。

なぜ土下座しているのか……は皆もわかると思うけど、一応説明しておこう。放っておくと例の勇者(ストロンガーさん)がやってきそうだし。

端的に説明すると、追い出される→戻ってくる→危険物で脅す(無自覚)→家奪取。

うん、冷静に考えても外道すぎる……。やっぱり次回からタイトルか「テロリスト集団、トゥットファーレ!」になってもおかしくないよ、マジで。


「えー……話があるんだが、ちょっといいか?」

「なんですかぁ?」

「ここに泊まっていくのはいいんだが……いや泊めざるを得なかったって言うのが正しいか……ブツブツ……」

「だ、大丈夫ですか?なんだか眉間にシワが……」

「申し訳ございません」

「心よりお詫び申し上げます」

「ちょっ!?レイさんとルーちゃん頭!頭が床にめり込んでますよ!?」


俺達がハルバさんに掛けた迷惑は大きい……ならば、マリアナ海溝チャレンジャー海淵よりも深い反省をして、そこに馬鹿二人も突き落として反省をさせなければ……


「お前らも土下座だよ土下座!」

「二人ともちゃんとハルバさんにごめんなさいしないと!ほら!」

「いたいいたいいたいいたい止めてルミネ」

「あだだだだだだ!?止めて下さい頭砕けちゃいます物理的にー!!」


ゴーレムをも砕くその腕力が二人の頭を砕かんとす!因果応報だね!仕方ないね!


「いや、もう……いい。何だかどうでもよくなってきた。ははははは」


ごめんなさい。本当にごめんなさい。


「嫌なことがあったの?ほら、美味しいもの食べれば元気になるわよ」

「嫌なことはお前だよ!」

「っていうかそれわたしが大事にとっておいた保存用のクッキーじゃない!?何故それをリヴィちゃんが!?」

「ライカがくれたわ」

「ライカちゃん!?」

「いやーその……タンスを爆発で吹き飛ばしたら見つかったのでつい……」

「何やってんの!?」

「でもちゃんと蘇生魔法でタンスと中身は直したんで大丈夫ですよ!?」

「そこじゃないそこじゃない」

「お前ら……もはや理解したくないぞ……ははははは」


マズい!このままじゃハルバさんの心が壊れてしまう!ここは何とか俺達が常識もあるってことを見せなくては!


「よし!とりあえず仕事しようお前ら!」

「!そうだね!わたし達のいい所、ハルバさんに見せなくちゃね!」


察しが早くて非常に助かる!流石ルミネ!


「……お前らの仕事を見せてくれるのか?」

「そうです!俺達は世のため人のため、活動してますからね!」

「そこを見ればきっとわたし達は社会不適合者じゃないって分かるはずです!」

「……そこまで言うなら、仕事を見ていくか……今日は特にすることも無いしな」

「「すみません」」

「そこはありがとうございますじゃないんですかー?」


黙れ元凶その一。そもそもお前がパセリーヌ吹き飛ばしたせいでこうなったんだぞお前。恥を知れ恥を。


「それだったらいい案があるわ」

「……なに?リヴィちゃん」


おっと元凶その二もやらかす気か?ルミネが露骨に警戒してるぞ、おい。止めてねマジで。


「ここで依頼受けて動く班と、日雇いで働く班で分けたらお金を稼ぐ効率が良くなると思うの」


珍しくまともな意見を言ったぁ!?え、何!?天変地異!?地球崩壊!?超新星爆発!?


「……なるほど、それはいい意見だね。それならお金も割と入ってきそうだし」

「じゃあその案さいよーしましょー!レイさんもオッケーですよね?」

「いいと思う。何かが崩壊しそうな香りがしないし」

「……普段は何かが崩壊しそうな香りがする活動をしているのかお前ら……?」


あっ、墓穴掘ったかも。でもまあ、気にしない!汚名返上のチャンスだからね!


「決定ね。じゃあ、私は仕事のアテがあるから日雇いに行くわ。皆は便利屋で依頼受けておいて」

「いいけど……何の仕事するつもりなの?」

「ふっ………………カツアゲよ」


……………………………………………………………………………………………………………………………………………は?


え?ちょっ?は??


「…………え?」

「…………みゅ?」

「…………おい、貴様」

「それじゃ行ってくるわ。とらっかちゃん、カモン!」

『とばしますよー!ヒャッハー!!』

「壁ぶち破ったー!?」

「あっ……えーっと……『蘇生(リヴァイヴァル)』!……ドアは直りましたね」

「……そうじゃねぇだろ……」

「……カツアゲ……」

「……おい、お前達」

「……なんですか……」

「……お前達は依頼を受けて活動するんだよな……?」

「……そうっす……」

「……依頼だ、あいつを止めてこい」

「……分かりました」


……依頼「カツアゲネクロヤクザーを止めろ」開始。

……いや、酷すぎるだろ……






「リヴィちゃーん!リヴィちゃーん!?どこー!?」

「リヴィりんリヴィりーん!いなかったら返事してくださーい!」

「それだと見つからねぇよ馬鹿!」

「うわーん!馬鹿って言いましたね!?馬鹿って言う方が馬鹿なんですよー!?」

「そういうやり取りはあとにしてくれる!?これヤバいよマジで!早くリヴィちゃん見つけて止めないと前科ついて帰ってくるよ!?」


それはマズい!もう既にマイナスに振り切れているハルバさんの信用が虚数に突入してしまう!いやマイナス極めても虚数にはならないけどそこは雰囲気ということで!


「そうですね……仕方ありません、これを使いましょう!」

「これってどれ!?」

「これですぅ!」


ライカが取り出したのは「S」の字が刻まれたベル。……何だそれ?それを鳴らして何になるんだ?爆発じゃないよね?信じていいよね?


「んじゃ、鳴らします!」


チリンチリーン。


ベルの綺麗な音が辺りに響き渡る。……なんだ、何も起きないじゃないか……


「呼んだかい?」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」

「例の勇者来たー!?」

「ストロンガーさん!待ってました!」


何も無い空間からまたも現れたのは、もはやお馴染みストロンガーさん!そうか、あのベルの「S」って「stronger」のSだったんだ!ってアホか!何故それを持ってるライカ!?ストロンガーさんがくれたのか!?何なんだ!?っていうかいつも来るけど勇者ってヒマなの!?


「呼ばれたら敵だろうが何だろうが一瞬で片付けて現れる、それが勇者です。ヒマじゃないよ」


ナチュラルに心を読まないで下さいストロンガーさん。怖いです。本当にこの勇者、何者……?


「さて、リヴィくんの事だよね?」

「あっそうです。リヴィりんを探しててーかなり急ぎ目なんですー」

「……何で何も話してないのに分かるんだろ……?」

「……気にしたら負けだと思う」

「そうかぁ……ハルバさん程じゃないと思うけどわたしも頭が痛い……」

「……大丈夫、俺もだ」


これは二大馬鹿にストロンガーさんを加えて「何しでかすか分からないトリオ」と呼称するべきなのか……?あ、アイス絡みのフェルも加えて「何しでかすか分からないカルテット」にするべきか……いやそんなことで悩む程俺の周りって変な人が多いのか……そうか……


「それはそうと、リヴィくんならあっちにいると思うよ」

「本当ですか!ありがとうございまストロンガーさん!」

「ふふふ、どういたしましてストロンガーさんだよ」


ストロンガーさんを語尾にしないで下さい。秩序が更に破綻します。


「あっちですよね?行ってきまストロンガーさん!」

「行ってらっしゃいストロンガーさんだ」

「よし!レイさん、ルーちゃん、早速探しに行きまストロンガーさん!」

「……ストロンガーさんを語尾にしないでほしいんだけどストロンガーさん……」

「ルミネさん移ってる移ってる!」

「しまっ……!?うぅ~……なんか悔しい……」

「イクゾー!カーン!デデデデ!」


デッデッデデデデが抜けてるぞライカ。っていうか何故そのネタを知っている?天使ってヒマなの?地上のネタに精通しちゃう位ヒマなの??


「い、イクゾー?よく分かんないけど、行こう!リヴィちゃんに前科がつくのは阻止しないと!」

「おう!」


そうして俺達は、ストロンガーさんが指し示した方角へ走る。しばらく走ったところで……いた!リヴィだ!


「おい、あそこ!」

「え?……あ、ホントだ!」

「リヴィちゃんです!」

「視力いいやつ、あいつ何してるか分かる!?」

「私、天使なので視力はいいですよ!え~っと、あ、お店に入ってきます」

「まさか……」

「カツアゲ!?」


マズい!前科!止めなくては!


「「お邪魔します!」」

「しますー」

「らっしゃいせー。何名様っすかー?」

「ここに黒髪でツーサイドアップの女の子、入ってきませんでしたか!?あ、三名です!」

「あぁ、あの子。店の奥ですよ」

「店の奥……!?」

「やっぱり本当にカツアゲ!?」

「あの、店の奥入ってもいいですか!?」

「どうぞー」

「「失礼します!!」」

「あ、待ってくださーい!」


ヤバい!犯罪!ころ……止めないと!


「リヴィ!!」

「リヴィちゃん!!」

「あら?レイとルミネ?」

「そうだよ!カツアゲとか何考えてるの!?罪を犯す前に今すぐ止めて帰らないと、グーだよ!グー!」


ルミネのグー、つまり死刑。


「……?カツアゲなら、現在進行形でしてるわよ」

「止めないんだね!じゃあわたしの拳が……え?」

「……現在進行形で?」

「いや、ほら。手元を見て」


手元……?

そう言われて、手元を見てみる。

……………………。

カツ……揚げてますね。


「カツ……?」

「そう、カツ」

「やっと追いついた……お邪魔しまーす……わぁ!美味しそうなカツです!」

「ふっふっふ、昔、このカツ屋には縁があったの」

「……なぁ、よく見ないで入ってきたけど、ここは?」

「カツ屋『カツかつ勝つ』よ。ここは厨房」


………………。

……つまり、カツアゲってのは……


「……か、カツアゲって……カツを揚げることだったの……?」

「だから最初からカツ揚げって言ったじゃない」


……………………言葉って、難しいね。うん。


「……じゃあ、とらっかは?」

「店の外よ」


そう言われ、一旦外に出てみる。するとそこには……


「わーい!おもしろーい!」

「たのしー!」

『はーい、楽しい揺れるとらっかですよー、コイン一個入れてねー』


…………。

……子供たちを乗せて、揺れるとらっかがいた。

さながら、薬局によくあるアレ。そう、サ〇ちゃんだ。

…………ってことは……


「さ……最初から、全部勘違いだったの……!?」

「そうみたいだな……ははは……」


俺とルミネは、膝から崩れ落ちる。これは……これは酷い。


「レイさんとルーちゃん、大丈夫ですか!?膝から崩れ落ちたりして!?だ、大丈夫ですよ依頼は解決出来ましたし!」


……そうだな、依頼は解決できたし……

…………あれ?

待てよ。リヴィが問題を起こして依頼が始まって、実はそれは何も無くて、それって……つまり……


「ねぇレイくん……今のライカちゃんの一言で気づいたけど、これって……」

「あぁ……マッチポンプだ」


……………………。

どうして……どうして汚名返上しようとすると更に泥を塗りたくってしまうんだろうね!?本当にな!!


ちなみにこの後、ハルバさんに事の全てを話して土下座しました。無論、冷たい目で見られました。あぁ……これじゃ元の生活を取り戻すのは大変そうだ……ははは、笑えよ。

タイトルはつまりそういうことです。あ、ちなみにお正月短編は上げない予定です。クリスマスショックで気がついたら年明けを迎えていた便利屋メンバーだもの、仕方ない。(番外編も読んで欲しいという遠回しの宣伝)

それでは、皆さん良いお年を!

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