2.異世界に降り立ったはいいものの
1週間以内になんとか書き終わりました。行き当たりばったりな牛酪です。では、2話の始まりです。
「すみません!大丈夫ですか!?」
その声で、俺は目を覚ました。辺りを見渡してみれば、そこは美しい草地だった。どうやら街の中にあるようで、人々の話し声や足音が聞こえてくる。だけど、近くには誰もいない。となると、この声って…
「その声は……セスタさん?」
「そうです、セスタです!今は貴方の意識に直接語りかけています!……良かった……目を覚まされたのですね」
少しずつ意識が鮮明になっていく。……よかった、俺はちゃんと異世界に渡れたんだなぁ。……でも、転生時にあいつやらかしたよな。一体何をやったんだ……とりあえず聞いてみるか。
「あの、俺って無事に異世界に転生できたんですよね」
「……ええ。転生は出来ました。……転生は。」
それダメなやつじゃん!転生しか出来てないやつじゃん!本当にあのドジっ娘は何をやったんだ!?
「あの、そのですね。転生中にあの馬鹿がやらかしたのでですね……本来なら生前の肉体を再現した上でその中に魂を移すのですが……ミスをして魂のままそちらの世界に送ってしまったんです……」
……その時、大きな風が吹き、舞った葉っぱが俺の身体をすり抜けた。
…………。
…………あの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何してくれとんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何なの!?あいつなんでそんなミスしたの!?馬鹿なの!?死ぬの!?「乙黒玲」から「乙黒霊」にクラスチェンジしちゃったじゃねーか!!ハハハハハ笑えんわっ!!
「更に、もう1つ……」
まだあんのかよ!今度はなんだ!?もう並大抵のことが来ても驚かねぇ自信があるぞ!!死んでるけど!!
「転生者に付与する能力は、魂の方に付与されるので、本来であればこういったケースでも能力は持って転生できるはずなんです。……でも、あの馬鹿は間違えて違うものに能力を付けてしまったんです」
はい!当然のようにチートも没収!もうなんなの!?ハードモードすぎるだろ俺の異世界生活!!……でも、あいつは間違えて何にチート能力を付けたんだ?
「その……あいつ、何にチート能力を付けたんですか?」
「えっと、……その辺に光ってる植物、ありませんか?」
光ってる植物?あ、足元にあるな。なんか知らんが若干神々しい。……まさか。
「……そこの光ってる植物に、あの子は能力を付けてしまったんです」
「」
……もう言葉も出ない。だって、草だよ?草、生えちゃうよ。草にチート付けてどうすんだよ。酸素を多く生み出して環境良くするのかよ。地味だよ。ていうかどんなドジだよ。もうあいつ、ドジっ娘ってレベルじゃないよね。ドジっ超だよね。ドジっ娘を超越した。
「……あの、大丈夫ですか……?すみません、私達の不手際で……」
「いえ、大丈夫です。もうなんか、諦めの感情浮かんできたんで」
人は、酷く理不尽な状況に置かれて、理不尽さが一定のラインを超えるともはや諦めの境地に至れるらしい。身をもって経験した。まさしく、「ソースは俺」。
「2回も貴方にはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません……そこで、私達は新たな補填として、その世界を生き抜くための強力な助っ人として、強力な能力を身に付けさせた天使を派遣させて頂きたいと思っています」
「……つまり、俺に異世界での仲間をくれるってことですか?」
「はい、そういうことです」
仲間……!そうか、異世界の醍醐味はチート無双だけじゃない。仲間と一緒にモンスターを倒すという楽しみもあったんだ!そう!こ○すばとかそういうラノベみたいな!そう考えると急に仲間が欲しくなってきたぞ!
「あの、その仲間はいつこっちに来られるんですか!?」
「その、大変申し訳ないのですが手続きなど諸々ありまして三日後になりそうなんです……」
三 日 後 。
えーと、つまり。この右も左も分からないような世界を一人でしかも霊体で生き抜かなきゃいけないわけで。……それなんて無理ゲー?あ、「霊体で生き抜く」っていうパワーワード出てきちゃったけどそれは無視してくれ。
「み、三日後……」
「本当にすみません、早く手配するようにしますので……」
「いえ、無理しないで大丈夫です……それより、この世界とかの情報貰えたりしませんか?」
RPG等の鉄則といえば情報収集。この世界のことを少しでも知っておかないと、生き抜けるものも生き抜けないよな。……こういうこと言う度に「死んでるけど」ってセルフツッコミを入れるの疲れてきたから、以後使わないことにしよう。
「あっ、そうですよね。この世界のこと、何も分かりませんよね。では、説明しましょう。貴方が今いる世界は『プレスティア』と呼ばれる世界です。この世界では、魔法と化学が共存していて、魔法適正をもつ魔族、化学適正をもつ化族という生物の分類があります。人間は魔族と化族の中間に位置する生物ですね」
「プレスティア……」
おお!魔法と化学が共存する世界!いきなりファンタジー感が出てきたぞ!
「基本的に平和な世界ですが、悪意を持った生き物、つまり怪物も存在します。特に魔族のものを魔物、化族のものを化物と呼称しますね」
「おお……」
まさしく剣と魔法の異世界!これだよ、俺が求めてたのは!ここに来ることになった経緯はともかく、ここに来れて良かった!ふふふ……これから無双とかやっちゃうのかな?仲間が。え、俺?幽霊が活躍できるとは思えません。
「そして、今貴方がいる街は……あ、『スペランタ』という街ですね。周りにそんなに強いモンスターも生息しておらず、冒険者ギルドもあるので比較的過ごしやすい街です」
「……スペ○ンカー?」
「いえ、スペランタです」
なんかすぐ死にそうな名前だなー。てんててんててんててんててんてんてん♪って感じで。まぁいいか。それより、冒険者ギルドか!The・ファンタジーって感じだな!……幽霊でも、冒険者になれるのかという問題はとりあえず置いておくか。
「ざっくりとした世界の説明はこんな所ですかね。これで、大丈夫そうですか?」
「あ、はい。すごく参考になりました。ありがとうございます」
「お役に立てたのなら幸いです。……あの、そろそろ天使としての業務があるので、よろしいでしょうか?」
「あ、ごめんなさい。大丈夫です」
「では、本当に申し訳ありませんが……三日間、なんとか頑張ってください。失礼します」
その声を最後に、セスタさんの声が聞こえなくなる。……さて。これからどうしようか。とりあえず、冒険者ギルドに行ってみるか?冒険者になれればお金だって調達できるだろうし。よし。あっちの声が聞こえる方に行ってみよう。さあ出発……
「ねぇ、そこの幽霊さん。貴方、一体そこで何をしているの?」
……しようとすると、突如後ろから女の子の声が聞こえてきた。当然、振り向いてみる。するとそこには……
「は?」
……異世界には似つかわしくない、トラックに乗った少女がそこにいた。
次回も1週間以内には上げられると思います。(たぶん)
次回は新キャラ登場です。