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異世界便利屋、トゥットファーレ!  作者: 牛酪
一章.便利屋トゥットファーレ、開店!
19/110

18.力を合わせて掴むもの

「とらっかちゃんたちが……生き返った(死んだ)……?」


七賢者が突如唱えた呪文。それはこの辺一帯を包み込み、ゴーレム、とらっかを機能停止に追い込んだ。


「ふっふっふ、今まで私がネクロマンサーの敵と戦ってこなかったとでも?ネクロマンサー対策は心得ているのです!こうして蘇生魔法を掛けてあげれば一発ですよ!」


蘇生魔法。それは、死者を死の淵から呼び戻す魔法。そう言えば、前にライカが魔王城のドアに対して使っていた!この世界では無機物に対しても使用出来るんだ!クソっ、してやられた!

これはかなりまずいぞ、作戦が根底から破綻した!一体どうすれば……


「やられた……でも、もう一回ぶっ壊せば!」

「とらっか、いたいけどがまん、してね……!」

「させませんよ!!」

「きゃっ!?」

「ちっ……」


もう一度とらっかたちを壊してネクロマンスが発動させようとしてくれたルミネとフェルも、即座に拘束されてしまった。まずいまずいまずい!考えろ、考えるんだ俺……この状況を打破する案を……!


「……おーっと、忘れ物を思い出しました!取りに行ってきまーす!!」


ライカァァァァ!!てめぇ何一人だけ逃げとるんじゃゴルァァァァァァ!!


「ふっ……ふはははは!!あそこの自称天使は腰抜けですね!!でも自分の事が可愛くて仕方がないその精神は嫌いじゃありません!特別に見逃してあげましょう!……ただし、そこにいる連中は八つ裂きで」

「あの野郎……逃げやがって……!」

「それは違うわ」

「……リヴィ……?」

「あの子は、()()()()()()()()()って言ったのよ。逃げるとは言ってない。絶対、絶対に帰ってくるわ」

「お前……」


……そうだな。唐突な行動に血が上り過ぎた。バカだけど、なんだかんだあいつは頑張れる奴だ。何より、今まで自分が爆発したり木の下に長時間埋められたり散々身体張って戦って来たんだ!なら、今はそれを信じて戦うしかない!


「あ、あわわ……どうすれば……」

「とらっかさんもやられてしまいましたし……私達姉妹は一体何をすれば……」

「……心配する必要はないわ。ここからの戦い……レイが何とかしてくれるわ!!」

「そうそう……ってえぇぇぇ!?」


俺!?え、俺!?何言ってくれちゃってんの!?俺に出来ることなんて……

あ、あったわ。一つだけ。


「レイ!憑依って対象物が生きててもその意識と通じ合えれば使えるのよ!やってやりなさい!」

「何だと!?そんな手段があったんですか!?」


何それ俺も初めて聞いた!そういう重要な事はぶっつけ本番じゃなくて早めに言ってくれるかなぁ!?まあ、やるけどね!!


「どの道やらなきゃ死ぬんだ、一か八かだ!『憑依』ッ!!」


その術を使った瞬間、俺の意識は暗転する。そこは、何も無いようで温かい空間。もう感覚で分かる。そうか、ここは……


「ここが、ゴーレムの意識か……」

「ハァイ、そうよ~♡」

「ファッ!?えっちょっ、誰!?」

「さっき自分で言ってたじゃない、私が、皆のゴーレムお姉さんよ♡」


予想外!キャラが予想外すぎる!俺これと通じ合うの!?若干無理臭いんだけど!?


「私も本当はひと暴れしたいんだけどね、ルミネちゃんの作ってくれた魔力回路魔力流すと筋肉が爆発する程のパワーが出るから使えないのよぉ」

「はぁ、そうっすか……」


そんな理由であいつのゴーレム動かなかったのか……二人目の爆弾魔が登場するとは思わなかった……


「それで、貴方に取り憑いて貰えば動けるようになるのよね?」

「あ、まぁはい、多分」


魔力回路に魔力通さないで直接動かすから、多分大丈夫……だと思う。うん、多分。


「それじゃあ、いいわよぉ!じゃんじゃん取り憑いちゃって頂戴!」

「分かりました、んじゃ……よいしょっ!!」


力を込めた瞬間、空間と溶け合うような感覚がした。その感覚が病むと、そこはさっきまでの戦場。つまり……


『お、動くぞ!!』

「レイ……なれたのね、ゴーレムに」

「ちっ……このまま勝てると思ったんですけどねぇ……詰めが甘かったですか……」


おいリヴィ、ゴーレムにはなっとらんぞ。取り憑いてるだけだからね。そこ、勘違いしないでね。


『それじゃあ、やっちゃうわよ~♡』

「「「「「え」」」」」

「レイさん……そんな趣味が……これは……ゴクリ」

『いや違うこれゴーレム!ゴーレムの言葉!俺じゃない!』

『そうよぉ!ここからは、ゴーレムお姉さんに任せなさい!』

「……私の作ったゴーレム、あんなキャラだったんだ……」


うん、同感。俺も超びっくりしてる。もっと屈強な戦士みたいな性格してると思ってた。


「うふふ♡それじゃあ……そこの酢豚野郎からブチ殺してくれるわァァァァァ!!」


豹変したぁぁぁぁ!?こ、怖い!!まさに屈強な戦士の貫禄!!俺これを制御して戦うの!?無理でしょ!?


「ヒィィィィ!?ぼ、ボスコポルコ、やってしまいなさい!!」

「ゥ……グ、グォォォォォォォォォォォ!」


ビビってる!幻獣がビビってる!!こんな(動けるなら)超強い戦闘マシーン創り出すルミネ何者だよ!そっちのが怖いわ!


『死ねやァァァァァ!!フェルコン・パンチィィィィィ!!』

『お前もそれかーい!!』


恒例の 一話に一回 フェルコンだ

……思わず俳句読んじまったぞ、コノヤロウ!季語?えーっと、フェルコンで!


「グォォォォォォォォォォォォォォ……!!」

「くっ……ネタみたいなのに普通に強いとかどういうことですか……!」

『失礼ね、ネタみたいだとか!妬ましいほど美しいと言いなさい!』


お姉さん、顔、ただのゴーレムですよ。美しさ、あんま無いですよ。


「レイさん……頑張ってください!」

『これでも頑張って手足動かしてるぞ!?あのゴーレムさんのインパクトの前に全てが印象薄くなってるだけで!』

「純粋に頑張ってくださいって応援しただけですよ!?」

『醤油拳!食もう拳!竜田揚げ旋風脚!!』

「グォォォォォォォォォォォ!!」


わあすごい、とってもストリートなファイトだ!ってアホかー!!いや、アホだ!!このゴーレム、強いけどネーミングセンスが壊滅的だ!!……でももはや、勝てればいいか。どっかの人も勝てばよかろうなのだって言ってたし。


「すごい……!これなら、倒せるんじゃ……!?」

「……いや、あれをみて」

「?あれって……あぁっ、レイくん!ゴーレムのお姉さん!後ろ!!」

「確かに強い……でも甘いですね!『神聖極光(ホーリー・ブライト)』ッ!!」

『しまった!?』

『衝撃が来るわよ、身構えてっ!!』


咄嗟の回避が出来なかった俺達は、七賢者が放った光に曝される。光の熱と衝撃に飲まれ、息をすることさえも苦しくなる。

そうしているうちに光は止んだが、身体は動かない。四肢が完全に使い物にならなくなってしまったのだ。


『……もろはまずかったわね、身体が……動かないわ』

『そうだな……俺も頑張って動かそうとしてるけど、全然駄目だ』

「……随分と手こずらせてくれましたが、それもここまでです。今度こそ、八つ裂きにしてくれますよ」

「ど、どうしようリヴィちゃん、このままじゃみんなが……」

「……そうはさせないわ」

「リヴィちゃん……?」

「レイ、時間を稼いでくれてありがとう。おかげで、ここまで持ちこたえられたわ」

「……あぁ、そうだな」


リヴィがこういうってことはつまり……秘策の発動だ。根拠は無いし、どうやって勝つか検討もつかないけど、それでも、信じられる。

それが……それが、仲間ってもんだよな!


「時間を稼いでくれたおかげで……()()()()()()()()()()()()()()

「……待たせてごめんなさい!皆のアイドルライカちゃん、忘れ物取ってきましたっ!!」

「ライカちゃん……!」

「……全く、来るのが遅いんだよ!」

「えへへ、すみません……でも!秘策、持ってきちゃいましたよ!!」


俺すらも知らない秘策、今その全貌が明らかに……!


「酢豚さん、あの蘇生魔法、凄かったですよね。この辺一帯だけじゃなくて、森からも死者が消えてましたもん」

「……何が言いたいんですか」

「そう、貴方は()()()()()()()()()()()だったら、どうなるかわかりますね?」

「……どうなると?」


こいつ……こんな事言うってことは……まさか!?


「分からないならこう言って上げましょう。お前は……」


何やら背後から大きな足音が聞こえる。これは……大きな獣の足音じゃない、沢山の足音。例えるなら、軍隊が行進するような……なら、やっぱり!!


「……お前は今までに倒したライカチャンの数を覚えているのか!?」

「っ!?」

「「「「「「「「「ライカちゃんだよー」」」」」」」」」

「正解は百二十八体です!!」


やっぱりそうだ!こいつ、森ごと生き返らせたのが分かってたから、量産型ライカチャンC.Cを集めるために逃げたフリして前線から離脱したんだ!!

でかしたぞライカ!こんだけライカチャンがいれば、アイツだって吹き飛ばせるはず!


「……これはよそうがい。らいか、やるぅ」

「凄いよライカちゃん……これなら……これなら!」

「ライカさん、やっちゃって下さい!」

「後でご馳走作るので頑張ってくださいね!!」

「ふっふっふー……ライカチャン部隊、とっつげきー!!」

「ライカちゃんだよー」

「ライカちゃんだよー」

「ライカちゃんだよー」

「ライカちゃんだよー」

「ああクソっ、数が多すぎます!!これじゃ振り払うのにも限界が……うわーっ!?」

「グォォォォォォォォォォォ!?」


七賢者とボスコポルコは必死に抵抗するも、押し寄せるライカチャンの波、即ち数の暴力に叶うはずもない。そして、どんどん波に飲まれていって……最終的に、ライカチャンの波の中に沈んだ!!


「……この状況で爆発したら、どうなるかわかってるわよね?」

「ま、待ってくれ!私を殺すと言うんですか!?いいんですか!?私はお前達にとって有利な情報だって持っていますよ!?だから、命だけは――――」

「駄目よ」

「え……?」

「貴方は、私の仲間に手を出した。大切で大切で仕方ない、素敵な仲間に手を出した。それは許されることでは無いわ」

「…………」

「トゥットファーレの皆。依頼人の皆。それは、私に初めて出来た大切な仲間達。そんな仲間達に手を出した時点で、あなたの敗北は決まってたのよ!!」

「…………そんな……馬鹿な……私が死ぬなんて……」

「ライカ!やってやりなさい!!」

「はい!みんなー、用意はいいですかー?せーの、芸術はー?」

「「「「「「「「「爆発だー!!!!」」」」」」」」」

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「グォォォォォォォォォォォォォォ!?」


七賢者マハネール&幻獣ボスコポルコ、撃破!!

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