ハロウィン特別編.ハロウィンもトゥットファーレクオリティ!
今日は楽しいハロウィン!ということで、ハロウィン特別編です。時系列的には、喫茶店の依頼を受ける前のお話。それでは、始まります。
「おはよう、レイ」
「……ふぁぁ……もう朝か……おは……よ!?」
いつもの様に起こされて目覚めた俺。その眼前にいたのは……
「お前……何だその格好……」
「何って……今日はハロウィンだから、仮装してるのよ。そんなのも分からないの?」
「どこの世界にハロウィンにオクラの仮装する奴がいるんだよ」
そう、オクラ。見紛うことなき、純度100%オクラだ。ちなみに全体像を説明すると、オクラの断面、そうあの五角形のやつね。そっから顔出してる感じ。まあ一言で言うと、珍妙。これに尽きる。
「お前もうちょっと他になかったのかよ……」
「かぼちゃもオクラも野菜だし、大差ないわ」
「あるわ!」
かぼちゃはウリ科、オクラはアオイ科!そもそも根本からして、全っ然違うからな!?何そんなすました顔してドヤ感出しちゃってるの!?バカなの!?知ってた!!
「とりあえず、ご飯食べましょ。ほら、リビング行くわよ」
「おい……ちょっと待て」
「……?どうしたの?」
「いや、お前……もう三日もまともなもの食べてないの忘れたのか?」
「……実は、今日はもう既に三回ループしていて、前回の今日がご飯を食べられる世界線だったのよ」
「しょうもねぇ嘘つくな」
現在、依頼が全く来ない便利屋(笑)トゥットファーレ。俺達は絶賛困窮生活を強いられている。それもこれも、あのバカがサフランを大量に買ってきたりしたからだ。あんなんだけで腹が満たされるわけないってマジで……あいつ本当に何してんの……。奇跡は起こるよ何度でもってことですかそうですか。魂のサフランだね。うん。
「まぁとりあえず、リビング行きましょ」
「……そうするか」
いつだって、赤貧の謎ネクロマンサーは絶好調です。
「あ、おはようレイくん」
「おうおはよう……って、お前も仮装してるのか」
「うん。折角のハロウィンだしね。それに、こうでもしてないと空腹を忘れられないし……」
「……早く食料手に入れないとなぁ……」
「あはは……」
ルミネがしているのは、オクラマンサーのクソ仮装とは違って、普通の魔女の格好。……ん?待てよ?
「なぁ、この世界って魔法あるだろ?なのに魔女の仮装ってするのか?」
「最近は魔法使いといえばこれ、みたいな服装は無くなってきてるんだ。こういう格好を普段からしている人もいれば、半袖半ズボンの魔法使いもいるんだよ。だから、こういう仮装する人も多いんだ」
「へぇ……そうなのか」
半袖半ズボン魔法使い……なんか、それも珍妙だな。オクラマンサー程じゃないけど。
「ところで、ライカは?あいつまだ寝てんのか?」
「そういえばいないわね」
「じゃあそろそろ起こしに行ってくるね」
そう言って、立ち上がるルミネ。それと同時に、リビングのドアが開いた。全く……あいつ、起きるの遅……い!?
「おっはようございまーす!」
「うわっ!?ライカちゃん何その格好!?」
「えーこれですか?ハロウィンの仮装ですよルーちゃん!そんなのも分からないんですかぁ?」
「いやいや!?それ、ただ布団被ってるだけだから!!」
そう、布団。見紛うことなき、純度100%布団だ。ちなみに全体像を説明すると、布団にくるまって、頭だけ出してる感じ。まあ一言でいうと、怠惰。これに尽きる。
「ハロウィンってステキな日ですよね!仮装してそれになりきることが許されるなんて!じゃあ、布団になりきって、寝ます!おやすみなさーい!」
「ライカ……天才なの……?」
いや、天災なの。ついでに言うと、天債なの。ほぼ返すことの不可能なね。
「私もオクラになりきって、太陽浴びて休むとするわ。おやすみなさい」
「ちょっ!?リヴィちゃんまで!?」
「……お前ら、仕事探さないと今日何も食えないぞ?いいのか?」
「その辺の草がある、問題ないわ」
「その通り!全くの無問題です!」
何だこいつら……理解したくない……とりあえず、力ずくで仕事させるしかないか……それこそめんどくさい。
「そんなのどうでもいいから、仕事し――」
「布団アタック!」
「オクラタックル!」
「ごふっ!?」
「れ、レイくん!?大丈夫!?」
俺が無理やり仕事させようと引っ張ると、二人揃って息ピッタリの反撃。オクラと布団が突撃してくる珍妙な光景の後、見事俺は吹き飛ばされ壁に直撃、激しい痛みに襲われましたとさ。っていうか、その格好でそんだけ動けるんならもっと普段頑張れよ……がくっ。
「さて、邪魔者がいなくなったところで寝るです。ルーちゃん、おやすみなさーい」
「寝るわ。おやすみ」
……というわけで、本日の仕事は俺とルミネだけですることが決まってしまった。……理不尽!!
「はぁ……今日もお客さん、見つからなかったね」
「そうだな……」
今日の仕事は、外での宣伝。ハロウィンで賑わってる街に繰り出したはいいものの、路上のイベントが多くて、全く見向きもされなかった。中でも人を集めていたアレ……なんか、巨大なストロンガーさんっぽいものだったけど、きっと仮装だよな、うん。深く考えないようにしよう。
「じゃあ、そろそろ暗くなって来たし、帰るか」
「……ねぇ、帰る前に、どこか寄り道しない?」
「へ?寄り道?」
ルミネ、一体何でまたそんな提案を……?
「あの二人……あんな形だけど、ハロウィンを満喫してはいたでしょ?」
「まぁ確かに……そうだな」
ただ寝てただけだけど……それも二人にとっては、とびきりのハロウィンの過ごし方だったのかもな。普段依頼を受けるためにやり方はハチャメチャだけど頑張ってたし……ハチャメチャだったけどな。たまには羽を伸ばして季節のイベントを楽しむのもありかもしれない。
「でも、私は仮装しただけで何も出来てないから……だから、これからどこか楽しいものでも見て帰ろうよ」
「……そうだな。俺達もハロウィンをできる限り楽しむか」
「ふふっ、ありがと」
こうして、俺達は仮装している人達のパフォーマンスを見ながら、ゆっくりと帰宅した。パフォーマンスを見て、喜んでいるルミネの顔は……ちょっと、可愛かった。ちょっとな?
「ただいま!」
「今帰ったぞー」
「「ハッピー……ハロウィーン!!」」
「きゃっ!?」
「うわっ!?何だ!?」
玄関に入ると同時、クラッカーを鳴らしながらオクラと布団が俺達を出迎えてきた!?マジでビックリした!何だぁ、一体!?
「ど、どうしたの二人とも?」
「いやー、今日一日ずっと寝てて思ったんです。私達がサボってる間も頑張ってくれたルーちゃんとレイさんに、お礼がしたいなって」
「だから、私とライカでできる限りの試行錯誤でご馳走を作って、こうして大々的に出迎えたの」
ごごごごご、ご馳走!?マジで!?ここ最近まともなもの食べてなかったけど、今日はご馳走食べられるの!?マジで!?二人ともガチでありがとう!オクラマンサーとか天災とか言ってごめんマジで!
「ご馳走……!ご馳走が食べられるの……!?」
「えぇ、そうよ」
「二人とも本当にありがとう!神!天使!」
「ふっふっふ!そりゃあ私、天使ですから!ささ、リビングへどうぞ!」
そう言って通されたリビングの机にあったのは、料理番組とかでよくある食事に被せる銀のあれ……クロッシュとか言ったっけか?が置いてあった。おぉ……あの下にご馳走が……
「……リヴィちゃん、ライカちゃん、これ、開けてもいい?」
「いいですよ!」
「えぇ、いいわよ」
それを聞いたルミネは、クロッシュに手をかけて少しずつ持ち上げていく。遂に……ご馳走が……!
「期待してくれていいわよ。何しろ、あるものを最大限活用して作ったフルコースだもの」
……ん!?ちょっと待て!?あるものを最大限活用!?ここにはまともな食材がなかったはずだろ!?ということは、つまり……
「え……なに、これ」
「ふっふっふ!ライカ&リヴィ特製珠玉の逸品!魂込めたサフランのフルコースですぅ!!」
奇跡が起こったよ!何度でも!!魂のサフラン!!
「……あれ?どうしたんですか?……二人とも固まっちゃいました……」
「きっと、サフランが素敵すぎて固まったのよ」
「そうですね!これこそ、ハッピーハロウィンです!お菓子貰ったり出来なくても、楽しいハロウィンです~!さあ、今夜は楽しみましょ~!!」
「そうね、ライカ。楽しみましょう」
「あははははは!」
「ふふふふふふ」
思考回路は、既に働くことを放棄した。このまま、闇に意識を委ね全てを放棄したくなるものの、まだまだ夜は終わらない。いや、あのバーサーカー二人が終わらせてくれない。
「ほらほら二人とも!固まってないで、ハロウィンを楽しみましょう!」
「ふふふ、今夜は寝かせないわよ、二人とも」
「……ねぇ、レイくん……」
「……どうした、ルミネ……」
「……わたし、ハロウィンという言葉がトラウマになった気がする」
「……俺もだ」
……せめて皆は、いいハロウィンを過ごせよ!俺達みたいなアンハッピーハロウィンにならないようにな!ハッピーハロウィン!!
「さぁ皆でサフランを食べましょう!」
「……その後はどんちゃん騒ぎよ、覚悟しなさい?」
「「もう嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
皆さんはハロウィンをどうやって過ごすor過ごしましたか?作者は都合上11月にハロウィン的な何かをする予定です。ハロウィンの前後一週間は実質ハロウィンなので何も問題ないですね(問題しかない)
次回はいつも通り、月曜夜九時に更新予定です。




