102.帰還、作戦会議
「なるほど、事情は概ね把握したわ」
「良かった!…………本当に分かってるよな?大丈夫だよな?」
「分かってるわよ。要するに『冥府!地上!死ぬ!七賢者!倒す!』って事よね」
「…………まぁいいや、ざっくりとは理解してるみたいで良かった。じゃあ、早速地上に引っ張りあげてくれ!」
「了解よ。とらっかちゃんをそっちに送るから乗って帰って来てね」
テトラによって告げられた真実。それは、あと三日で冥府と花の国が完全に一体化し、世界中の花が枯れ果ててしまうということ。奴の干渉によって地上に戻るにも絶望的…………かと思われたが、俺はどうやらツイているようで。リヴィに冥界とのパスを繋いで貰うという安全に帰る方法を見つける事が出来た。
「お前の仲間にネクロマンサーがいてよかったな。じゃなきゃゲームオーバーだったぞ」
「本当にリヴィがいて助かった…………戦いが終わったら何か奢ってあげようかな」
「ハナさんそれフラグでち」
緊張の糸がとりあえず緩んだのか、皆の態度にも余裕が出来てきた。張り詰めてると思考が凝り固まるからな、これはいい感じ…………といっても、状況は少ししかいい方に傾いてない訳なんだけれど。ここから、作戦を立てないとな…………
『みなさーん!迎えにきましたー!!』
「とらっか!よし乗るぞ、六花!」
「オッケー!フリル、ちょっとここで待っててね!あたし達があいつをボッコボコにしてくるから!」
「私はここから出られないでちが、頑張ってくださいでち!応援してまち!」
「…………人間、これは冥府の今後もかかった戦いだ。…………頼むぞ」
フリルとコレッタに見守られ、とらっかで空を飛ぶ。視界が暗転した後、見えたのはいつもの裏路地だった。
「おかえり。大丈夫だった?」
「リヴィ!それに皆も!」
出迎えてくれたのはリヴィだけじゃなく、ルミネ、ライカ、そしてクッキー。
「いや~、最近怪しいと思ってたらまさか冥府に出向いてたとはね~。クッキーちゃんもびっくりだよ~」
「ホントですよ!しかも冥府の女神様と知り合ったとか、どんだけですかレイさん!ライカちゃんでも会ったことないですよ、天使なのに!」
「いや天使ならむしろ会わないでしょ…………ともかく、おかえり。無事に戻ってこれたみたいで良かった」
皆、暖かい言葉で迎えてくれた。…………仲間って、いいもんだなぁ。この状況下でそんな月並みの感想しか出ない自分はどうかと思うが、それでも感涙ものだ。
「みんな、ありがとう…………って、そんな事言ってる場合じゃないのよ!冥府が!七賢者が!」
「大体リヴィちゃんから聞いたよ。…………とにかく、ボビンさんの強力も仰ぎたいからそっちへ向かおう」
◆◆◆
「ただいまですーってひゃあっ!?」
「ちょっ、ライカちゃん大丈夫!?」
ボビンの部屋に入るや否やすっ転んだライカ。相変わらずこいつはすっとろいな…………って、うおっ!?
「なんじゃこりゃ!?床に本が散乱してる!?」
「つまづいちゃいましたぁ…………なんですかこの状況」
「嵐の後みたいね」
床はぐちゃぐちゃ、読み荒らした本の海状態。かき分けて進むと、奥には部屋の主がきちんと居た。…………襲撃とかじゃなくて良かった。
「あ、君達帰ってきたのか!ちょうどよかった、君達の話を聞いて作戦を纏めていた所なんだ!」
「なるほど、という事はこの惨状は調べ物の過程でってことだったのか」
「いや、途中で飽きて暇潰しに読書してた」
「ちょっと待って」
暇潰しで読み漁る量の本じゃないだろこれ!そこそこ広い部屋ほぼ一面だぞ!どんだけ読むペース早いんだよ!
「フリルくんがいないと片付けサボっちゃうからさー。いつもこんな感じなんだよね」
「汚部屋じゃないの…………」
「汚部屋だねぇはなちゃん」
「う、うるさいぞ!とにかく作戦会議だ!」
「あの、とりあえず本片付けません?」
会議が始まったのは三十分後だった。
「えー、コホン!では、作戦会議を始めたいと思う!早速だが作戦を発表するぞ!」
「会議とは一体」
「まぁそんな事は置いておいてだな、耳よりな情報があるんだ!」
そうして、ボビンは話し始める。自分が考えた作戦を…………
「…………という訳でだな、7日目、つまり明明後日が勝負だ。そこで、一気にカタをつけたいと思う」
「なるほど…………確かにそれならいけそうですね」
「ですです!ライカちゃんやる気出てきました!」
「私の出番、腹が鳴るわね」
「腕だろ」
諸々の作戦を話されたが、共通項は7日目に決着をつけること。タイムリミットギリギリだが、勝負を仕掛けるならそこしかない。
「じゃあそれまでの二日間、あたし達は何すればいいのかな~」
「確かに気になるわねきいろ。ねぇ、ボビン。どうなの?」
クッキーと六花がボビンへ疑問を投げかける。それに対し、不遜な笑みでボビンは答えた。
「そうだね、我々に足りない情報は一つ、奴の弱点だ。どんな攻撃が効果的か皆目見当もつかない。炎も無効化されてたしね。となると、策は一つしかない。リヴィくんとライカくんなら分かるんじゃないかな」
リヴィとライカなら分かる?…………あの、嫌な予感しかしないんですけど。絶対にロクな事じゃないんですけどあの。
「ふっふっふ…………理解しましたボビンさん!ライカちゃん達分かっちゃいましたよ!ねーリヴィりん!」
「無論ね。私もすぐ分かったわ」
「…………で、ライカちゃん、リヴィちゃん。一応聞くんだけど、その策って?」
リヴィとライカは自信たっぷりの表情で。
「「効くまで虱潰しに試す!!」」
ほらやっぱりこんなもん!




