10.喫茶店「エルマーナ」のちょっとスパイシーな依頼
ちまちまと書き続けてきたこの小説も、10話まで来ました。まだまだ拙い文章ですが、楽しんで頂けたら幸いです。これからもよろしくお願い致します。
「レイさーん!見てくださーい!」
「どうしたライカ、また皿でも割ったか」
「違いますよぉ!ほら、これ!お金がたくさん!」
「おー!!これでしばらくは遊んで過ごせるな!でも一体どうしたんだこんな大金?」
「分かりませんけど何故か置いてあったおもちゃ箱に入ってたんです!」
「そうか分かんないか!でもでかしたぞ!流石ライカ!」
「いやぁ~そんな~。あははははは」
「あははははははははは」
「あははははははははは」
「二人とも落ち着いて!それままごと用のお札だよ!」
「無理もないわ、依頼が全然来なくて3日間草しか食べてないもの」
そう、今現在トゥットファーレは困窮に陥っている。そのせいでだんだん思考がおかしくなってきた。ストロンガーさんの依頼から2週間が過ぎて、お金が尽きたんだ。え?あんなに沢山のお金どうしたって?調子に乗って奮発した買い物をしたら、予想以上に高い買い物をしてしまったんだよ。ライカにおつかいに行かせるんじゃなかった……。……何を買ってきたかって?サフランだよ、せめて買うならカニとかお腹に溜まるものにしようよ……
「と言ってるわたしも、そろそろ限界……リヴィちゃんはなんでそんな平気そうなの?」
「慣れてるわ」
「あっ……大変だったんだね」
赤貧のネクロマンサーさんはこんな状況慣れっこの様子。家にこもりっきりのオタクと天界にこもりっきりの天使はそんな気力も余力もありません。
「ルーちゃん……私が死んだら桜の木の下に埋めてください……3日後位に3人に増えて戻ってくるので……」
「そんなことできるわけ……えっ何それ普通に気持ち悪い」
「がーん……がくっ」
この天使、増えるの?それ大災害じゃん。どんな厄災がこの世に降り注いでしまうというのか……
「ていうか本気でそろそろ限界ですぅ……なんか眠くなってきましたぁ……おやすみなさぁい……」
「ちょっ、それ寝たらダメなやつだから!起きろー!」
「次回、ライカ死す」
「何言ってんのリヴィちゃん!?」
依頼スタンバイ。
「俺も疲れた……おやすみ……」
「レイくんまでー!?」
「次回、レイ散る。無敵の空腹ワールド」
「さっきから何の話なのそれ!?」
「俺は社長か……がくっ」
「ちょっ!?おーきーろー!じゃないと死んじゃうよー!」
そうルミネが言ったその時。
ガチャ。
「あのー……すみません……ここ、トゥットファーレで合ってますか……?」
「「「「!?」」」」 ガタッ!!
「ぴぇぇぇぇぇぇ!?」
ドアが開き、1人の女の子が入ってきた!これはチャンスだ!
「あああああの皆さん、どどどうしてそんなに怖い顔をなさっているのですか……!?」
「久しぶりの客……お金……ふふ、ふふふふ」
「やっと草以外のものを食べられる……もうあんな質素過ぎる生活をしなくて済むんだ……」
「あははははは、あははははははは。逃がしませんよぉ~……」
「ひぅっ!?」
「さあ、早く依頼を……報酬は前払いで……さあ早く」
「止めんかー!!」
「「「ゴフッ!?」」」
力65535のパンチ殺戮……じゃない炸裂!当然俺達は3人まとめて吹き飛ばされました。手加減してくれたのか意識はハッキリしてるけど、身体が超痛い。さすが剛腕のゴーレムクリエイター……
「大丈夫?うちの馬鹿たちが迷惑かけてごめんね」
「あっ……はい、大丈夫です」
「それで、どんな依頼が有って来たのかな?」
「はい……私、ドルチェって言います。その……うちのお店が少々困った状況になってしまいまして……依頼を受けてくれるならお礼もしたいし、まずはお店に来て貰えますか?」
「なるほど、同じお店を開いてる身としては見過ごせないね。私達に任せて。ほら、皆行くよ」
「い、いや……俺達はそろそろ限界だ、ルミネだけで行ってきてくれ」
「私も同意見です……」
「私もよ」
「えぇ?……まあ、無理もないか。私だけで行ってくるよ。あ、自己紹介遅れたね。私はルミネ。そっちがレイくん、リヴィちゃん、ライカちゃん」
「はい、ルミネさんよろしくお願いします!」
「それじゃ、行こうか」
「はい!うちは喫茶店なので、飛びっきりのお料理振る舞いま――
「「「是非行かせて下さい!!」」」
「ひぇぇ!?」
貴女が神か!
「お待たせしました。こちら、本日の日替わりランチとなります」
「レイさん……幻覚じゃないですよね?これ、モノホンの料理ですよね?」
「あぁ、めちゃくちゃ美味しそうな香りがする……!」
「ふふふ……じゅるり」
「やっと草以外のものが食べられる……それじゃあ、さっそく!」
「「「「いただきまーす!!」」」」
ドルチェさんに連れてきて貰ったのは、喫茶店「エルマーナ」という店。そんなとてもお洒落な響きの喫茶店、今日のランチは美味しそうなカルボナーラとピッツァ。いただきますを合図にさっそくカルボナーラを口に運ぶと……なんだこりゃ美味っ!口の中で美味しさが弾けるようなこの感覚!今日まで生きてて良かったです、ありがとうございます!
「わぁ……これ、美味しい!」
「このピッツァ生地がもちもちで美味しいです!いくらでも食べれちゃいます!」
「美味しいわ……癖になりそう」
「本当に美味い……ありがとうドルチェさん」
「喜んで頂けて幸いです。あと、私の方が年下ですし、ドルチェでいいですよ」
「ドルチェちゃんの料理とっても美味しいね!本当にありがとう!」
「あ、この料理は私が作ったんじゃなくて、姉が……」
「は~い、姉です♡」
「お、お姉ちゃん!?いつの間に!?」
「おー、貴女がドルチェちゃんのお姉ちゃんさんですかー?」
「お姉ちゃんさんってお前……」
「はい、姉のロッシェです。キッチン担当です。よろしくお願いします」
「ライカです!よろしくです!こっちがレイさん、リヴィり…リヴィちゃんとルミネちゃんです!」
「ライカさん、よろしくお願いしますね。ときにレイさん、ちょっといいですか?」
「えっ?はい、いいですけど……」
そういうとロッシェさんは俺を店の端っこの方、平たく言うと休憩スペースに連れて行った。そして小さな声で……
「リアルハーレムとはやりますねレイさん。どの子が本命なんですか?」
「ちょっと待て」
「はっ!もしかして全員とですか!?まさか全員とセ……」
「ストップストップストップ!何言ってんの!?」
「だってハーレムなんてライトノベルかエロ同人位でしか見ませんよ!?これはもう千人に一人の逸材……キャー!」
「本当に何言ってんすか」
「私そういうの大好きなんです……ふへへ」
おっとり系お姉さんかと思いきや、オタク気質のエロッシェさんだった。っていうかハーレムって……それは普通(以上)の女の子が集まって初めて成立するんだ、うちはポンコツしかいないからそんな高尚なもんじゃねぇよ。
「というわけで皆さんの馴れ初めについて聞かせてください!それでもってラブラブイチャイチャで萌えるエピソードを……」
「お ね え ち ゃ ん ?」
「ひっ!?ど、ドルチェ!?」
「……お客様にそんな話振っちゃいけないっていつも言ってるでしょ?忘れたの?」
「あ、あはははは~……」
「お説教だよ、こっち来て」
「……はい」
ドルチェは常識人っぽいな。この世界に来てからほぼ変態かポンコツにしか遭遇してないからそれは嬉しい……ん?誰かが俺の袖を引っ張ってるぞ?
「おにーちゃん、こんな所で何してるの?」
「……!?ろ、ロリっ子……!?」
「ろり……?なぁにそれ?」
「あ、いや別に気にしなくていいよ」
ドルチェも着てた喫茶店のフリフリエプロンを纏ったロリっ子がこっちをじっと見ている!想像以上の破壊力!……じゃなかった、エプロンを着てるってことは店員さんか?
「俺はレイっていうんだけど、お嬢ちゃん、名前は?」
「シフォンだよ!ロッシェおねぇちゃんとドルチェおねぇちゃんの妹で店員やってるの!よろしく!」
そう言いながら、シフォンちゃんははにかんだ。やべぇ……破壊力高すぎでしょ……クソ可愛い……
「おにーちゃん、もしかしてドルチェおねぇちゃんが呼ぶって言ってたべんりや?の人?」
「あぁそうだよ、シフォンちゃんのお姉ちゃんの依頼を解決するために来たんだ、依頼はまだ聞いてないけど」
「あれ?おねぇちゃん依頼の内容話してなかったの?」
「俺達に食事を振る舞うことを優先してくれて、今はロッシェさんに説教中だからな」
「じゃあ、シフォンが伝えるね!依頼っていうのは……」
喫茶店の依頼……なんだろう?まあ、大した依頼じゃないだろ。今までドラゴンとかドラゴンとか……ってドラゴンしか相手してない!これは「異世界便利屋、トゥットファーレ!」から「ドラゴンスレイヤーズ、トゥットファーレ!」にタイトルを変えないとタイトル詐欺になるやつ!?いや違う、依頼はちゃんと解決してる!メタ発言はよそう!……まあ、そんな大物を相手にしてきたし、今回の依頼は多分大丈夫……
「森を支配してる七賢者を倒して欲しいの!!」
前言撤回!全然、大丈夫じゃないです!!
「『ちょっと』スパイシーな依頼……?かなりの間違いだろ!?」と言うレイくんの意見は無視して、次回へ続きます。




