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〇〇のクセに、✕✕な奴ら。  作者: 若丸一叶
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校内では大人しいクセに、学外でははしゃぎ過ぎな奴ら。

初投稿です。

学校ものです。拙いないところもあると思いますが、頑張ったので読んでみてくだい。

楽しんでいただけると幸いです。

学校というのは、勉強をするための場所だというのに学生間の評価は学力に殆ど左右されない。学生間の「カースト」や「ヒエラルキー」は、どれだけリア充かに左右されるのだ。


「ねぇ」


学力がいくら高くても、コミュニケーション能力が無ければ価値はなく、彼女持ち彼氏持ちのほうが評価が高くなる。


「あのさぁ」


かくゆう僕『松川絵莉(かいり)』は、アニメ大好きのぼっちの為、当然下位に位置する訳である。まず、一切隠してないし、学校の人間と会話なんてまともにしてこなかったのだから仕方ないといえば仕方ない。


「おーい、聞こえてないのかなあ」


で、先程から何度も僕に対して話しかけてきているのが、この学校のヒエラルキーのトップ、『藤堂深幸』である。数日前までは、僕もそれなりに尊敬していた学校のアイドル的存在である。だが、こうやって話掛けれるようになってからはかなりに迷惑している。まず、これだけ無視しているのに諦めない。結果、周りの僕への視線が険しくなり辛くなる。


「無視はやめて頂けますか?私、少し傷つきますよ」


やばい。やばい。やばい。傷つくなんてワードは辞めてくれよ。険しいなんて言葉じゃ済まなくなった周りの目線が、もう刺さるっていうか突き刺さってる感じになっちゃってるじゃないか。辞めてくれよ頼むから。これ以上無視が続けられない状況にしないでくれよマジで。


「……」


からの沈黙とかやめて。勘弁してください。


「あ、あのぉ、藤堂さん。何か僕に用事があるのかな?」


結果、僕が折れることになり返事をする羽目になるのだ。ここ数日で確実に愛想笑いが上手くなったと思う。そんな、僕の気持ちなんて知るよしもない彼女は、


「特にこれといった用がある訳でないんですが、松川くんとお話がしたいから来たって理由ではダメですか?」


これである。ただ声をかけただけだと、これといった用はないのだというのだ。普通なら、可愛い娘にこんなセリフを言われたら嬉しいものだが、実際会いに来たことが目的というのは事実だが、彼女は僕とお話がしたいわけではなくぶっちゃけ釘が指したいだけなのだ。「お前のことは常に見ているぞ」って。


「あ、ありがとう、藤堂さん。そんなことを言ってもらえて嬉しいよ。でも、こう毎日毎日来てたら大変じゃない?」


気づいていながらも当たり障りのない会話をする以外に出来ることなどなかった。


「いいえ、全くそんなことは無いですよ。松川くんに会うのに苦労だなんて。それに、私と松川くんの仲なんですから「深幸」と呼んで欲しいのですが」


周りがざわつく。「羨ましい」とか、「どういう関係?」とか、「何であいつなんかが」とかが方々から聞こえてくる。勘ぐり始める周囲の雰囲気。かなり、まずい状況になった。なんで、そんなこと言うんだよ。きつい。周りの反応がきついにもほどがある。


「い、いや。さすがそれは気恥しいと言いますか。出来れば、これまで通り藤堂さんと呼ばせてもらいたいな、なんて思うのですが。それと、お話をするのはいいのですが、さすがにここでは人目が多すぎますので移動しませんか?」


言い切ったあとになって僕は自分のミスに気づいた。周りから「わー」、「きゃー」と言った声や、舌打ちが聞こえてくる。僕の言葉はどうやら特別な事情で二人きりなりたい的な意味で周りは解釈させてしまったようだ。実際にそうではあるのだが、周囲の人たちと僕との間では理由に大きな格差があった。その上、藤堂さん自身が頬を赤らめ照れる素振りをするもんだから、周りのテンションはいろんな意味で最高潮だった。今日のうちに僕は、殺されるのかもしれない。そう思えるほどの殺気を孕んだ視線は痛すぎる。


「で、どうするんですか?移動するんですか、藤堂さん」


僕は、もうとにかく移動したかった。


「そう、ですね。移動しましょうか」


そして、僕ら教室を後にした。教室出たところで僕の苦労が終わるわけではない。

校内のだれもが知る彼女の隣に居る以上、周りからは教室同様の反応をされるの仕方ないと言うほかない。そんな視線が突き刺さる中、僕らは目的の多目的教室へはいった。人が基本入ってくることのない、秘密の会話をするにはもってこいの場所だった。

僕らは、数度周りを確認してから中に入った。


「で、あのことは一切誰にも話してませんよね、松川君」


さっそく、彼女から話しかけてきた。彼女の言う『あのこと』とは、彼女の秘密のことであり、学校で一切接点のなかった彼女と僕の出会いのことである。




あれは、先日の同人即売会の出来事だった。


その日の即売会は、かなり沸いていた。というのも一時期、レイヤーとオタクを賑わせていながら、突如消えた伝説の美少女コスプレイヤーが復帰するという噂があったからだ。その効果もあってか、撮影会エリアは特に賑わっていた。


そして僕もその場にいた。

帰ってきた元伝説の美少女コスプレイヤー『えりりん』として、カメ子に囲まれていた。


僕は、ゲーム会社を立ち上げたイラストレーターの父、ラノベ作家兼シナリオライターの母、アニメと服飾好きの姉によって育てられた生粋のアニメオタクだった。

仕事で忙しい両親の代わりに面倒を見てくれた姉の影響で、特に少女向けのアニメが大好きだった。そして、その事実を知った姉による英才教育によって、立派な男の娘として育ったのだった。というかぶっちゃけ自身の性別を、勘違いしていた時期があるほどだった。

だが、それが許されない年齢を迎えた僕は、可愛い格好のできないことに苦しむことになる。そんな時に、キャラコスを作っていた姉の勧めで、コスプレイヤーを始める。

僕はわかっていなかったが当時から、かなりの人気を博していたらしい。今考えたら、児童ポルノだなんだで普通にアウトだったかもしれないでもない。

活動は、僕が中学2年生の間まで続いた。が、マネージメントを始めとした服の作成からイベントのサポートに、プロデュースまで行ったいた姉が、服飾の勉強のため海外に留学するのを機に活動をやめたのだった。

そして、此度高2になった僕の目の前に再び姉が現れたことで復帰することになったのだった。

あれからそれなりの常識を学んだ僕としては、それなりの抵抗はあったものの姉の新たな技術によって進化した『えりりん』の可愛さの前に屈したのだった。


そして僕は、、再び数多のカメ子の前でポーズをとり、写真に収められたのだ。


そんな中、見覚えのある方や復帰を喜ぶ人たちの中に、一際目立つ人物がいることに僕は気が付いた。


その人物は、かなりの異彩を放っていた。


まず、女性だった。それもそれなりに巨乳のだった。金髪ツインテで少し幼顔の可愛い女性だった。

女性というだけで目立つというのに、更に容姿が存在を際立たせていた。

その上、そんな彼女をカメ子やレイヤーさんたちが受け入れていることが衝撃だった。どうやら彼女は、僕の知らない間に活動を始めたそれなりの経歴を積んだカメ子なのだろうと思った。


そんな彼女が僕に近づいてくる。あまりの可愛さに、ドキドキしてくる。ぼくは、必死に僕の中の男子の部分を抑え込んだ。いまは、『えりりん』なのだから、可愛いにときめくのは許されても、興奮してはいけないのだ。


「初めまして、『えりりん』です」


僕は、自然に挨拶をする。ここで、注釈を入れると、僕は『えりりん』の時は声音を変えてごまかしている。ばれないようにというよりは、みんなのそして、僕自身の理想像を壊さないためである。


彼女も僕の挨拶に応えてくれた。


「カメ子の『ユキ』です。すでに、取った分の確認と個別で撮らせていただきたいんですがいいですか?」


ユキさんはかなり丁寧な方だった。ただ、僕はユキさんの声がどこか聞き覚えのある気がした。でも撮影をするにつれてそんなことも気にならなくなった来た。


「私、『えりりん』さんの大ファンだったんです!当時は、一度も撮影するとこはできませんでしたが。だから、今日は夢が叶ってすごくうれしいんです」


そんな風に語るユキさんは、本当に幸せそうで見ていて僕自身も嬉しく思えた。それからも、撮影と会話が続いた。同い年で地元も同じらしい言うことだった。

そして、撮影は滞りなく終わった。

改めて見せてもらったユキさんの写真は、かなり上手く取れていた。そのことのお礼を言うとまたユキさんは、嬉しそうに、そして照れくさそうにはにかんだ。

その姿があまりに可愛くて僕は、思わずとんでもないことを口ずさんでしまった。今思えば、あんなことを言わなければ、こんなことにはならなかったのに、なんて思わずにはいられなかった。だが、僕はこう言ってしまったのだ。


「ユキさん、もしよろしければ『えりりん』の専属でカメラマンになっていただけませんか?」


実際に個人でカメラマンを雇うレイヤーはいるのだが、『えりりん』には居なかった。それを勢いでユキさんに頼んでしまったのだ。

手を取り、顔を近づけて言ってしまったのだ。


ユキさんは僕の突然の申し込みに、感激のあまり顔を赤くしてテンパってしまった。ただ、その姿僕はなぜか既視感を抱いたのだった。


「本当にいいんですか?私なんかで後悔しませんか?」


ユキさんは、あまりの衝撃に少し興奮気味に訊ねてきた。その時、僕は違和感の正体に気づいてしまった。思い出してしまった、学園一の美少女の去年学祭で見たテンパり顔とその声を。

そして、気づいた後から見たその顔は、僕には面影どころか本人そのものにしかもう見えなかった。

だからと言って、確認なんてしなければ良かったのに僕はしてしまうのだった。


「はい。これから、よろしくお願いしたいのですが、もしよろしければ本名をお伺いしてもよろしいですか?」


彼女は、僕の問いにきょとんとした顔をした。本来本名など尋ねる必要などないのだから。だが、この時の僕は自身の不安をとにかく解消したかったのだ。違うことを祈っていたのだ。


「えっと、藤堂深幸といいます」


やっぱしご本人だった。どうしよう?こっちのことがばれてないうちに、逃げなければ大変なことになってしまう。そこで、ここは、今後のことはマネージャーを務める姉に話さなければならないとか言っていったん逃げることにした僕が、そう話そうとしたとき運命がとどめを僕らに刺しに来た。


遠くから、僕を呼びに着ながら姉が叫ぶ。


絵莉(かいり)、もう終わりだから着替えなさい!帰るわよ」


そして、僕は思わず地声ででかえしてしまったのだった。


「姉さん、今はその名前で呼ばないで」


と。


そして、背後で何かが落ちる音がした。おそらくカメラだと思われる。落としたのが藤堂さんだということまで分かった。


「か、絵莉(かいり)って。その声って。もしかして、松川君?」


僕が振り向くと、照れて顔を赤くしていたのがウソのような青い顔をした藤堂さんが立っていた。


「あ、えっと。その・・・・・・」


僕は、どもってしまった。


「し、失礼しましたーーーーーー」


藤堂さんはそう言って走り去ってしまった。


その後、取り残された僕は、一応姉に事情を話した。



これが、僕と藤堂さんの隠したい『あの事』である。



彼女が、僕のところにあれから度々現れるのは、即売会に居たことや、カメ子であること、そして何より『学園一の黒髪ロングの清楚系美少女のくせに、金髪ツインテのアニオタ』である事を、僕が言いふらさないように監視するためなのだった。

いかがだったでしょうか?

もしよろしければ感想などをいただけると嬉しいです。

更新に関してはかなりゆっくりになりますがあげるつもりなので、よかったらまた読みにきて下さい。

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