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他称『魔王』の穏やかな日常  作者: 黒宮辰巳
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89話

 ってなワケで、


「成人どころか義務教育も終わってないチューガクセーに一体何を期待してるのか分からないけど、取り敢えず具体的には何をすればいいのか聞かせてくれる?」


 なんてカンジで、軽く探りを入れてみると、


「そうだな。その辺りの詳しい話は担当者も交えてするつもりだから、まずは署まで一緒に来て貰ってから改めて話を聞かせて貰う事になるな」


 そんなカンジで、あの刑事ドラマとかでよく聞く『署まで御同行願う』ってワケらしい。

 うん、ナメてんの?


 ソレってアレでしょ?

 『誘い出してから罠に嵌めて袋叩き(ボコボコ)にしよう』とか、『追い出した隙にこの部屋に居るであろう父さんと母さんを攫っちゃおう』とかってハナシでしょ?

 誰が付き合うかそんなん。


 でもまだだ。

 まだだぞ、黒宮辰巳。

 まだ伯父さんのバックが真黒だってだけで、伯父さん自身が黒なのかどうなのかは分かってないんだから。


 さっき放った魔力ソナーには、フツーの人達からはまず感じない魔力反応が、コチラに向かってる分とこのマンションの周囲に点々と散った分の計三六人分あったし、伯父さんもこのマンションの駐車場に来るまでソイツらと一緒だった。


 けど、伯父さんからは一切全くコレッポッチも魔力反応が無い。

 あの研究所に居た連中みたく、魔力が宿った板切れを持ってる~ってワケでもない。


 となると、このハナシはあくまで伯父さんの意思とは無関係に上司からの命令で持って来たってセンが残ってるんだよね。


 うん、確かにその点だけで言えば伯父さんは特理とは無関係っぽい。


 でも、あの研究所に居た全員が魔力持ってたワケじゃなかった。


 例えば、銃持ってた人達は魔力の宿ったよく分からない板切れとか持ってたけど、あくまでも本人たちからは魔力を感じなかったから、特理の人間全員が魔力持ってるってコトでは無さそうだ。


 つまり、『魔力反応が無い』=『特理とは無関係』ってコトにはならない。


 …………自分で言っておいてなんだけど、メンドくせえなコレ。


 ってか、そもそものハナシ、伯父さん以外の連中は魔力持ちって時点で、もうソイツらは敵認定しちゃえるんだから、多少強引に確認しても良くない?


 それに、その敵共に囲まれてるって状況がスンゲーストレスになってるし……

 うん、決めた!

 この辺で一発仕掛けてみるか(舌の根ぇ……)!


「あ~、うん、分かった。なんでワザワザ伯父さんが僕を訪ねて来たのかは分かったよ。でも、大丈夫。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()さ」


「……なんだと?」


 まずは牽制(ジャブ)――のつもりで放ったんだけど、反応は劇的だった。

 伯父さんは大きく目を見開いて驚いて()()()いたけれど、心音はまるで『最初から想定済みだった~』ってカンジに平穏。


 この反応って、予め『()()父さんと母さんの身柄を確保してる』って知っていないとできないもので、この『()()』の部分まで含めて知ってる人間は、まず()()警察関係者じゃあり得ない。


 そりゃあ、警察でも『父さんと母さんの遺体が無くなった』ってコトは把握できるだろうけど、空間魔法を使って袋も開けないどころか車に近づきもせずに()()()()()んだから、魔法のまの字も知らない――どころか現実に在ると認識してすらいない連中に追えるハズが無い。


 それこそ、伯父さんが言ってた通り事件か事故かも判別できてない――どころか、もしかすると『そもそも、そんな遺体があったのか?』なんて疑ってるかも知れないね。


 さて、となると知ってる人はダ・レ・か・な~……

 ってまあ、特理しかあり得ないよね。


 だって、連中は父さんと母さんを連れ去ろうとした腹癒せに僕の手で()()()()()()させてやったんだから、当然その動機も知っている上にその誘拐が失敗したのも把握してんだろうから。


 ココまで材料が揃ってれば、特理の連中はほぼ確実に僕が父さんと母さんの身柄を確保済みだとアタリを付けてるだろうし、そうと決まれば奪いに来るわな。

 万一奪えれば、僕を言いなりにできるんだし。


「アハッ♪ やっぱり驚かないんだね、伯父さん。で、伯父さんはどうして、僕が父さんと母さんを引き取ってるって知ってるのかな? あの施設には居なかったから、誰かからそう聞かされたんだと思うケド……それってさ――」


 口を動かしながら、徐に手を掲げて見せる。

 分かり易く『今からなんかしますよ~』ってアクションだね。


 では、指ぱっちんと共に――発動。


()()()()からかな?」


「――――ッ!??!!!」


 あ、今度は心底驚いてくれてるね。


 そりゃそうだ。

 この部屋の空間を埋め尽くすような数の空間の歪みから、あの研究施設に居た計一三二人の首がニョッキリ生えてきてんだから!


 まあ、当然使ったのは空間魔法だけど、この魔法はあくまで空間に作用する魔法だから、僕の認識外に居る人間を標的にして発動なんてできるワケがない。


 だから、干渉魔法を使って魔法を改造した。


 主観干渉を使い、空間魔法の発動に必要な『座標情報の入力』――つまり『ドコに作用させるか』ってなるべく具体的に指定すべきな条件を、ネットのand検索みたいに『該当する座標全て』へヒットするように改変し、『あの研究所に居た連中全員の首』ってのを検索情報にブッ込んだ。


 そんでもって、いつも通りに門を開いて――この有様ってワケ。


 ま、この使い方は、さっき行き詰った時に干渉魔法の使い方をイロイロ模索してた時に閃いて今初めて使ってみたんだけど、ぶっつけ本番とは思えないほど上手く行ったね、うん。

 結構数熟して慣れてきてはいてもまだまだ干渉魔法(主力)と比べれば錬度足りてない空間魔法と、一番魔力食う上に自由度高すぎて逆に扱い辛い主観干渉の併用はそれなりにムズイけど、まあ今までやってきたことの延長だからどうにでもなるか。

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