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他称『魔王』の穏やかな日常  作者: 黒宮辰巳
84/186

84話

『例えば、家に警察を寄越してきたりとかは勿論、知らない内にマンション解約されて住む場所無くなったりとか、電気、水道、ガスが止められたりとかだけじゃなく、なんかの角に小指ぶつけたりしても、全部テメエらの所為だと決め付けて、この場の全員に仕返しするのでそのつもりで』


 うん、言っておいて何だけど、ひっでー言い草だよ。

 まったく、暴君か。

 いや、顔面暴君トカゲ(Tレックス)だけれども!


 いやまあ、こうでも言っておかないと『どうせバレないだろうグヘヘ……』ってノリで、何でもかんでも好き放題嫌がらせしてきそうだし。

 ソレこそ、父さんと母さんの死を『僕がやった殺人事件』としてでっち上げるコトだってできそうだし、そうやって社会的に孤立させてから改めて僕を捕らえて実験材料にしちゃるぜゲへへ――なんて展開が簡単に想像できちゃうんだぜ。

 ああ、ホント……反吐が出る。


『まあ、要するにアレだよアレ。アンタらオトナが大好きな忖度ってヤツだよ。今後も突然手足が千切れて出血死したと思ったら治ってたり、心臓が握り潰されたと思ったら生き返ったりとかしたくなかったら、良きに計らうのでおじゃる☆』


 あ、また上手くいったんじゃね?

 なんか良いカンジに楽し気な雰囲気が伝わった気がする。

 うんうん、やっぱしどんな分野でも上達の近道は反復練習だね♪

 ま、こんな腹話術擬きを上達させたトコで、次に使う機会なんて無いだろーけど。


 さて、んじゃそろそろ家に戻ろうか。

 父さんと母さんが待ってるし、特理の連中といっぱい遊んだおかげで()()()()()()()()()()魔力ドバドバ湯水の如しだからね。

 早く、父さんと母さんを起こさないと!


『さてさて、そんじゃまあそろそろ行っちゃうけど、オレちゃんとしてはこれ以上君たちと関わり合いにならないで済むコトをキボンヌどすえ? ま、アレだ。ココは見逃してやるが次は無いと思え――ってコトで。んじゃサイナラ~』


 なんて、『こーゆー慢心的見逃しパターンって、あとでメチャクチャ仕返しされる的なフラグじゃね?』などと脳裏の端のそのまた隅の方でチラリとだけ考えつつも、眼下に広がる建物とヒロビロ駐車場とそれらを囲う山々から視線を切る。


 バサリと広げた翼で空気を叩いてソコで生まれた揚力で体勢を整えると、そのまま前方に見据えた金見市市街地方面へ向けて魔力放出ビューンッ!!


 流石に父さんと母さんへ魔法使おうってのに、二人をちゃんと視認せずってのは成功率下げそうだからね。ホラ、()()干渉なワケだし。

 ココで空間魔法を使わないのも、この距離の移動なら魔力放出で飛んだ方が魔力の節約になるからだし。


 それに、もしこの移動中に何かしらの手段で捕捉されちゃったとしても、どうせ僕の個人情報なんて割れてると()()()()()状況なんだから、今更目的地(僕の家)がバレたトコで問題無し(の~ぷろぐれむ)


 だからそう、この移動中に考えるべきは拠点防御の方法だね。


 今あのマンションの一室を守ってるのは、物理干渉を使って運動エネルギーの浸透を遮断する対物理結界的なのだけど、今後あの特理とか言う連中がちょっかい出してくるのなら魔法関係の防御は必須だし、そもそも運動エネルギーしか防げないんじゃあ熱とか電気とかに対しての防御に不安が……


 いや? 熱って確か赤外線の放射? とか分子の振動とかが関係してるとかだったと思うし、電気が流れる仕組みだって一言で言えば『電子? の移動』で片付くらしいから、何もかも全部の運動エネルギーを遮断してるなら防げるのか……?

 父さんも母さんも息してないから換気する必要無いでしょってコトで『この部屋に侵入するなら何も通さない』って気で撃ったからワンチャン……?


 ま、その辺は帰ってから確かめれば良いか。

 幸い、()()()()()()()で展開した干渉力が消費された感覚は無いから、今もキッチリ残ってるハズだし。


 っと、ちゃうちゃう。

 今気にするべきは魔法関連やったか。

 はてさて、どないしはりまひょか?


 な~んて言いつつも、もうアテはついてるんだけどね。

 だってそもそも、()の《、》干渉方法は魔法対策で考え付いたんだし。

 そんなワケで、さっさと帰ってソレで結界張ったら、じっくり時間を掛けて全身全霊で取り組むとしよう。



「――――ゴギャァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」



 『機嫌良く』なのか、それとも『怒りのままに』なのかは分からないけれども、とにかく叫ばずにはいられなかったので、誰も聞いてないとタカを括って――いや、もし聞かれててもどうせ変身体だすぃ~、ってコトで思いっ切りかましたワケでありました。

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