82話
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――さて! これで一応は一巡したかなっと。
ま、実のトコロ、途中で数えるのがダルくなっちゃったから、十数人纏めてを十回くらいに全員纏めてを三回ほど繰り返しちゃったので、ワザワザ確認するまでも無く全員経験済みだろうけど。
「「「……………………………………………………………………………………………………」」」
なんか、殺《寝》まくって蘇《起》きまくったデブがブヒィーと突っ伏してやがる?
オイコラ、テメエ土下座はどうした、土下座はよお。
他の連中もまあ、それなりに殺《寝》て蘇《起》きたからか、雰囲気が妙に大人しい?
この程度でなんか悟った気でいるのかね?
まだまだココからだろうに……
でもま、コレで『死』を標的設定した主観干渉はソコソコ上達できたと思う。
と言うか、主観干渉自体がぶっつけ本番で編み出した裏技だから、こうして大量に練習できたのはグッドだ。
御蔭で、主観干渉がホントに僕の観方次第でなんにでも照準できるってのが確定的になったワケで、更には同種の複数対象へ一辺に干渉効かせられるってのも分かったし……
いやホント、ココまで来るとありきたりなオレtueee主人公過ぎて酷いね。
こんなだと、初期はたっぷりオレtueeeできても、他キャラが増える中盤から出番激減で最後に問題解決の為のオチ要員が回ってくるってだけになるか、他の成長系キャラと主役交代させられそうだ。
或いは、何かしらの致命的弱点設定が後付けされちゃうとか、更にスゲーのが出てきてカマセ役に堕ちるとか?
うん、嫌な話だよまったく。
――なんて、下らない脱線はココまでに致しまして、実際的な話に移ろうか。
総じて言うと、まあ……一時の感情に流されて盛大にやらかしちゃったワケだけど、コレからどうしよっか?
いやまあ、ココでの練習の成果を父さんと母さんと兄さんの復活の為に発揮しまくっちゃうのは決定事項だけれども、ソレはあくまで今後の方針だ。
僕が聞きたいのは、直近の問題として目の前に居るこの特理とか言う連中はどうしてやればいいのかな? ってコトについて。
さて、ホントにどうしようか?
そりゃあ、デブの所業(未遂だけれども)も含めれば二、三回は息の根止めてやっても許されそうなくらいに迷惑かけられたワケだけど、だからってこのままオネムして貰っちゃうのもどうかと……
散々練習に付き合ってくれたワケだし、殺人は犯罪だし……
え、今更?
キコエナーイ。
かと言って、このまま放置するってのも問題だ。
いや、別に僕だけだったらどうでも良いんだよ?
例えば、今ココに居る連中は僕にとって取るに足らない程度の暴力しか持っていないけれど、特理とやらに僕なんか指先で軽く消せちゃうカミサマ的なのが居たとしたって、別にもうこれ以上失って困るものなんかないからね。
だけど、今来られたらマズイ。
何せ、父さんと母さんを保護したばっかりで、ソコに蘇生が何もかも上手くいけば兄さんまで加わるんだから、せめて特理とやらの戦力を把握できるまでは時間を稼ぎたい。
となると、ココで選べる選択肢で最も単純で確実だけど最悪に愚かな方向性の、喉掻っ切ったり心臓抉ったり干渉魔法で全身押し潰したりで、お口ミッ○ィちゃんになって貰うってカンジなんですが……
う~ん、元研究所現瓦礫の山な有様と人数分の血溜りを見せれば、ケーサツも動かせちゃう国家規模の組織相手でも脅しと牽制にはなるだろうけど、逆にソッコー排除な脅威認定されて徹底抗戦されちゃうかもだし。
じゃあやっぱりコイツらはこのままってすると、今度は僕の個人情報から戦闘能力までをペラペラ喋り流して、ソレを受けた特理とやらの総本山が僕対策に魔法だったり行政だったりな、ありとあらゆる手段駆使して追い詰めてきそうだし。
……いや、僕の情報についてまだ外部に伝わってないだなんてのがそもそも楽観過ぎるか。あのキューブタワーと違って簡単に情報を遣り取りできる現代なんだから、研究材料である魔物の情報なんて逐次共有が当たり前でしょ。
大体、特理とやらがホントに国家規模の組織なら、衛星でも使ってこの施設をリアルタイムにモニタリング中だったりしそうだし、なんだったら千里眼とか遠見とかの魔法技術での超長距離監視もあり得そうだし。
なら、コイツらを脅して特理を探るスパイに仕立て上げるって案も止めた方が良さげか。
衛星にしろ千里眼的魔法にしろ、僕の動きが筒抜けならヘタに小細工すると裏掻かれるだけ……
いやまず、僕を言いなりにさせたいが為に父さんと母さんに手を出すようなゴミとソレに従うクソが持ってくる情報なんて信憑性ゼロか。
――ん~、ん~~、ん~~~、考えろ考えろ……今秤に掛けられてるのは、魔物なんかの下らねえ命なんかじゃなく、父さんと母さんと兄さんなんだ。
最悪を想定して、最善手を打て。
じゃないと、また失敗するハメに――
顎の鱗をジョリジョリと逆撫でて『下手の考え休むに似たり』をするコト主観時間で十分ほど。
結局、全てを一発解決する天才的な最良案なんて浮かばなかったので、ココは無価値で無才な凡人らしく『現状から僕の貧困な知性と想像力で想定しうる問題を一つ一つ丁寧に潰して、父さんと母さんと兄さんの安全を確保しよう!』作戦に決定~!
わ~い、泥臭~い☆
天才で傑物な兄さんとは大違いだ♪




